地方局アナウンサーの親近感を利用し…SNS“偽アカウント増” 県警「地元住民をターゲットにした犯罪が容易にできる」アナ「漠然とした怒りや不安、申し訳なさ」【大分発】

SNS上で著名人になりすまし嘘の投資話を持ちかけて金をだまし取るといった「SNS型投資詐欺」

今、地方局のアナウンサーになりすます手口の詐欺が横行している。実際にTOSのアナウンサーの偽アカウントも確認されている。その実態や見分けるポイントなど取材した。


地方局アナの偽アカを利用した詐欺が増加

偽の広告から誘導したり偽のアカウントを使ってメッセージのやり取りをするなど、手口が巧妙化しているSNS型投資詐欺。

県警によると、大分県内での被害は2025年、127件確認されていて被害額は約8億6000万円に上っている。

そして今、新たに広がっているのが地方局のアナウンサーの偽アカウントを利用した手口である。

TOSのアナウンサーの偽アカウント
TOSのアナウンサーの偽アカウント

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こちらはTOSの藤村晃輝アナのインスタグラムの公式アカウントと偽のアカウントを比較したもの。

左が公式で右が偽物。

顔写真は同じで紹介文にも大きな差はないが、ユーザー名をよく見ると…本物は「fujimura」なのに対し、偽のアカウントは「fujiimura」と「i」が1つ多くなっている。

TOS藤村アナのインスタグラム 公式と偽アカウント比較
TOS藤村アナのインスタグラム 公式と偽アカウント比較


自分の偽アカウントをつくられたアナウンサー「漠然とした怒りや不安、申し訳なさ」

ーーTOS藤村晃輝アナウンサー
「驚いた。なんでっていうのがまず最初に思った。まさか自分のまであるんだというのがあった」

この藤村アナの偽アカウントを悪用している人物はフォロワーに対し投資話などを持ちかけていたと言う。

ーーTOS藤村晃輝アナウンサー
「なりすましは何者かがわからないし、結局どういう被害が出るかというのも未知数だしその辺の漠然とした怒りとか不安とか。あとは皆さんに迷惑をかけることになりそうだから、申し訳なさとかいろんな感情があった。自分の投稿でいまなりすましがあるのでというのをすぐに呼びかけて注意喚起はした」

なりすましについて話すTOS藤村アナ
なりすましについて話すTOS藤村アナ

TOSのアナウンサーの偽アカウントは藤村アナ以外にも…。

ーーTOS刀祢優月アナウンサー
「こちらは、私のアカウントなんですが公式のユーザー名は「yuzuki」となっているのに対し偽物は「yucuki」と「z」が「c」になっています。新しくアカウントを作ったのではないか?と勘違いされるかもしれません」

TOS刀祢優月アナウンサーの偽アカウントも
TOS刀祢優月アナウンサーの偽アカウントも


本物と勘違いし偽アカとやり取りした女性に当時の様子を再現してもらった

実際に藤村アナの偽アカウントとメッセージのやり取りをしたという女性を取材した。

その女性は相手から複数回に渡って「電話」もかかって来たという。

大分市に住む70代の女性。9月末、藤村アナの偽アカウントを本物と勘違いし、次のようにメッセージを送った。

「頑張っていますね。いつも応援しています」

すぐに反応はありませんでしたが、その数日後…。

「ありがとうございます」とメッセージが返ってきた。

藤村アナの偽アカウントとやりとりした女性は「最初はもちろん返事が返ってきてうれしかった」と当時の気持ちについて話した。

藤村アナの偽アカウントとメッセージのやり取りをした女性
藤村アナの偽アカウントとメッセージのやり取りをした女性

さらに、後日、再びメッセージが…。

「年齢はおいくつですか?良かったらライン教えてください」

女性は不審に思い、やり取りをやめたが、アプリの機能を使って何度も電話がかかってきたという。

当時のイメージ
当時のイメージ

アナウンサーが生出演中に偽アカからの電話「全部嘘だったんだ」

ーー藤村アナの偽アカウントとやりとりした女性
「やりとりをやめたあとも、何度か電話がかかる削除しているのにそれも怖いと思っていたら電話がちょうど鳴った。テレビを見ていたら晃輝くん(藤村アナ)が生出演している。ゆーわくワイドに。これ絶対おかしいよねって。ちょっとドキッとした最初は。今までのは全部嘘だったんだと思った」

藤村アナがテレビに出演しているタイミングで電話がかかってきたので詐欺と確信し被害にはあわなかった。

当時の様子を再現
当時の様子を再現

偽アカウントを見分けるポイントは

こうした偽アカウントとやり取りを続けていると嘘の投資話を持ちかけられるということで、県警も注意を呼び掛けている。

大分県警のサイバー犯罪対策課真部文寿次席は「地元のアナウンサーは番組などでよく見る町や店を紹介したり、距離が近く親近感を持ちやすい。逆に言えば犯人にとっては地元の住民をターゲットにした犯罪が容易にできるので、こういった種類の事案が進んでいる。SNSについては特に会ったことのない相手から金の話が出たら詐欺だということで見極めてもらいたい」

こうした偽アカウントを見分けるポイントとして県警は「フォロワーの数が極端に少ない」、「過去の投稿がほとんどない」、「プロフィールの内容が本物と少し異なる」といった点を挙げていて注意してほしいと呼びかけている。

大分県警サイバー犯罪対策課真部文寿次席
大分県警サイバー犯罪対策課真部文寿次席