名古屋の主婦殺害 26年後に逮捕の容疑者の動機「鵜呑みにして発表できる段階ではない?」元刑事が解説

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 1999年11月に名古屋市西区の主婦・高羽奈美子さん(当時32)が殺害され、発生から26年後に出頭した同市港区のアルバイト安福久美子容疑者(69)が殺人容疑で10月31日に逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が5日、デイリースポーツの取材に対し、見解を語った。

 小川氏は「未解決事件を専属で担当する部署ができて捜査に力を入れるようになったことに加え、DNA鑑定が今回の逮捕に至った決め手の一つとなった。“混合DNA”といって複数のDNAが混じりあった状態があり、事件発生当時はまだ個人識別ができなかったが、今は複数のDNAが混じっている状態でも、そこから個々のDNAを判別できるようになっている。そうした科学捜査の著しい進歩もあると思います」と指摘した。

 奈美子さんの夫・悟さん(69)は会見で、新たに赴任した刑事から力強い言葉を得て、犯人逮捕の希望が膨らんだといったコメントを残した。捜査員の交代による効果があったのか。

 小川氏は「刑事が変わると、現場の見方やご遺族や関係者への聞き方も変わるので、ほんのささいなことから新たなことが分かったりする。また警察に届けられた様々な情報を元に、今回、新たに引き継ぎを受けた刑事が捜査本部にあるリストの中に必ず犯人かいると確信を持ったのだろうと思います」と推測した。

 悟さんは高校の同級生だった安福容疑者からバレンタインデーのチョコレートや手紙をもらっていたことが報じられている。高校卒業後は事件5か月前にあった部活動のOB会以外では会話したことはなかったという。実際に容疑者による詳細な動機はまだ明らかにはされていない。

 小川氏は「今の段階で、容疑者がDNAの採取に応じたことから自ら出頭し、犯行を認め、反省の弁も述べているようです。動機についてもある程度は話していると思われますが、その内容を鵜呑みにして発表できない段階ではないかと思われます」と指摘した。

 さらに、同氏は「容疑者は悟さんと同じ高校のソフトテニス部に在籍していたということですが、仮に、事件の動機が高校時代にまでさかのぼるとすれば、26年前に起きた事件から、さらに17歳頃までの26年ほど前にさかのぼることになる。その頃の動機が、それほど長い間、実際にあり続けたのか?他の動機はなかったのか?容疑者に絡んで被害者の夫のお名前が出ている以上、そこは裏付けを取りながら慎重に捜査が進められると思います」と付け加えた。