愛知県名古屋市で10月31日、発生から26年が経過していた殺人事件の容疑者が逮捕された。
この衝撃的なニュースは連日報道され、長期間未解決だった凶悪事件の解決に大きな注目が集まっている。
こうした長期に及ぶ未解決事件は山陰地方にも存在しており、捜査を続ける警察官たちの思いに迫った。
名古屋市主婦殺害事件 26年越しの容疑者逮捕“希望の光”に
名古屋市内のアパートで1999年に発生した殺人事件。
2歳の長男の目の前で主婦が殺害されるという凄惨な事件だった。
発生から四半世紀以上が経過した10月31日、被害者の夫の高校時代の同級生だった69歳の女が逮捕された。

名古屋市での事件は、警察庁が有力情報提供者に最高300万円を支払う「特別報奨金制度」の対象に指定されていた。
同じくこの制度に指定されているのが、2009年に鳥取市で起きたタクシー強盗殺人事件だ。

TSKの取材に応じた鳥取警察署刑事第一課の福田将之課長は「鳥取のタクシー強盗殺人事件については発生から16年。それ以上に時間の経っている(名古屋市の)事件の解決は、捜査員にとってすごく希望になる」と語った。
発生から16年経過も未解決 鳥取市タクシー強盗殺人事件

2009年7月17日午後9時40分頃、鳥取市内でタクシー運転手の下田和雄さんが営業中に車内で拳銃によって殺害され、車内から現金などが奪われた。
そして犯人はタクシーを奪って逃走、その後約2キロ離れた住宅街でそのタクシーが発見された。

警察は、これまでに延べ8万2000人の捜査員を投入。
事件の概要を紹介する動画を作成したり、発砲の現場となったタクシーを報道公開したりするなど、様々な手法を用いて捜査を続けている。
しかし…未だ犯人の特定には至っていない。

福田課長は「『これはもう警察が知っているだろう』とか『この程度の情報だったら言わなくていいだろう』と自分の中で蓋をしてしまっている方がおられるのではないかと考えている。ちょっと言ってみようかなと思っていただければありがたい」と、些細な情報でも提供してほしいと呼びかけている。
発生から21年経過 島根・浜田市の高齢女性殺害事件
一方、島根県にも未解決の殺人事件がある。
2004年2月5日に浜田市黒川町の住宅で、当時77歳の岡村登喜子さんが頭を鈍器のようなもので殴られて殺害された。
警察によると、これまでに474件の情報提供があったものの、犯人特定につながる有力な手がかりは得られていない。
また年月の経過とともに情報提供も減少しており、2024年はわずか6件にとどまっているという。
警察は現在も40人体制で捜査を継続しており、些細なことでも情報提供を呼びかけている。
長期未解決事件の解決に向けて

名古屋市の事件が26年の時を経て解決に向かったことは、山陰地方の未解決事件の捜査に携わる警察官たちにとって大きな希望となっている。
時間の経過とともに情報提供は減少する傾向にあるが、些細な情報でも事件解決の糸口になる可能性がある。
警察は、引き続き捜査を続けながら市民からの情報提供を待っている。
名古屋の事件での犯人逮捕は、どんなに時間が経っても真相究明をあきらめない捜査の姿勢と、市民の協力の重要性を改めて示した事例といえる。
(TSKさんいん中央テレビ)