
12歳の少女に性的マッサージをさせていた
東京都・文京区のマッサージ店『リラックスタイム』でタイ国籍の12歳の少女を働かせたとして警視庁保安課は11月6日、同店経営者の細野正之容疑者(51)と従業員のホームジャン・ギタヤポーン容疑者(32)を労働基準法違反(最低年齢)の疑いで逮捕したと発表した。容疑の認否は明らかとなっていない。
警察によると、少女はタイ北部の出身で、妹や祖父母と暮らしていた。6月下旬に母親とともに短期滞在の在留資格で来日。そのまま同マッサージ店に到着すると、翌日には母親は姿を消し、訪れた客に性的サービスをさせられていたという。少女は日本語が話せず、店舗の台所で寝泊まりをしていた。
「少女は来日当日に、マッサージ店で母親から性的サービスのやり方を教えられ、約1ヵ月で約60人の客を相手にして、63万円ほどの売上があったとのことです。少女の売り上げは細野容疑者が全額受け取り、半分を母親の関係者名義の口座に送金していました。店を辞めた8月以降も母親の紹介で、他県にて性的マッサージなどをしていました」(全国社会部記者)
9月に少女は東京出入国在留管理局に助けを求めて保護された。「家族の生活のために我慢するしかなかった。タイに帰国して中学校に通いたい」と話していたという。その後、母親のほうは台湾で別の売春事件に関与して現地の警察に拘束されており、タイに引き渡される方向で調整がすすめられている。
少女が働かされていた店舗を訪ねると、地下鉄千代田線・湯島駅から徒歩1分ほど、8階建ての雑居ビルの7階にあった。店のHPには住所や電話番号などが記され、ビルのポスト部分にも『Relaxation Time』と貼り紙がされている。HPに掲載されていた性的マッサージが行われていたと思われる部屋には、椅子が一脚とシングルサイズのマットレスが設置されており、少女はこの部屋で生活させられていたという。
明らかに中学生ぐらいの女の子が深夜に
ビルの関係者は夜間に不特定多数の男性がよく出入りしていたと話す。
「夜の7時ぐらいになると、きょろきょろとしながらビルに入る男性をたまに見かけました。明らかに部外者っぽかったです。オートロックのビルではないのであまり気にしてはいませんでしたが、報道を知ってからマッサージ店があるのだとわかりました。アジア系の女性の出入りもあります。彼女たちは薄着でサンダルのような格好なのですぐにわかります」
また、近くのコンビニの店員によれば、保護された少女と思われる人物が「たまに薄着姿で来ていた」そうだ。
「事件があったビルが近くなので驚いています。深夜の11時~3時ごろになると、明らかに中学生ぐらいのアジア人の少女がご飯などを買っていくことがあったので、彼女かもしれません。湯島はアジア系の人が多いのであまり気にしませんが、12歳が出歩く時間じゃないですよね……。本当にかわいそうな事件だと思います」
店の住所を検索すると、『リラックスタイム』という店名以外にも『タイホームマッサージ』、『タイトーンスパ』といった複数の店名がヒットする。どの店も概ねサービス内容は変わらないが、いずれも「ジャップカサイ」と呼ばれるマッサージを提供していたようだ。
アジア系のマッサージ店に詳しい風俗ライターによれば、店で違法行為が行われていたことは確かだろうという。
「ジャップカサイとは陰部のマッサージのことで、本来はタイの古式マッサージの一種で、血流を改善して男性機能を高めるための施術です。しかし、アジア系マッサージに通っている人たちにとっては、違法な行為を意味する言葉として使われています。『性的なマッサージをします』って隠語みたいなものですね」
HPには12歳の少女と思われる顔写真があった。風俗店を扱う掲示板では「X(少女らしき人物の源氏名)はサービスがいいよ」「Xは確実にデキる」「若い人がよかったらXだね」などと書き込まれていた。少女が味わった地獄を思うと胸が苦しくなる。
「客が求めれば何でもできてしまう」
湯島近辺にはアジア人コミュニティがあり、タイ人やフィリピン人が施術をするマッサージ店も数多く存在している。湯島で「ジャップカサイ」施術ができるという店に記者が試しに電話をすると、事件の影響もあるのか、どこも反応は冷ややかだった。
「今やってない。予約もできない。普通のマッサージもできないのですみません」(A店)
「若い子いないし、今日は予約で埋まっています。またお願いします」(B店)
このようなマッサージ店の対応について、前出の風俗ライターは事件の影響だろうと推測する。
「アジア系マッサージ店は、日本人が施術するメンズエステとは違って、国内にいる身内が国外から身内を呼ぶ、といったように知り合い同士で営業をしていることが多い。コミュニティのような感じで雰囲気が緩いんですよね。もちろん、健全に営業している店も多いですが、違法なことに関しても〝寛容〟で、客が求めれば何でもできてしまう店も存在します。
そういった店は1店が摘発されるとコミュニティのつながりで、芋づる式に摘発されることを危惧して、慎重なんだと思います。働いている人の中にはビザが切れている人もいたりするので、なおさら摘発は怖いのでしょう」
警視庁は性的搾取を目的とした人身取引事案の可能性も視野に入れ、捜査をしている。警視庁が摘発した人身取引の被害者で12歳は最年少だという。アジア系マッサージというある種、都会の〝闇〟のような場所だからこそ起きてしまった事件なのかもしれない。




