88歳・山﨑努が仲代達矢さん珠玉の追悼 「タバコの吸い方まで真似する奴が」

山崎努
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俳優の山﨑努がXで仲代達矢さんを追悼し、俳優座養成所時代の思い出や黒澤明作品での共演を語りました。仲代さんを「僕らのヒーロー」と称賛し、多くのファンから反響を呼んでいます。

俳優の大ベテラン、山﨑努(88)が自身のX(旧ツイッター)で仲代達矢さんを追悼し、映画・演劇ファンから「胸が熱くなりました」など反響が広がっている。俳優座養成所時代からの思い出や黒澤明監督作品での共演について触れた内容に、多くの共感と敬意が寄せられている。

山﨑は「仲代達矢さんのこと 俳優座養成所時代、四年先輩の彼が僕らのヒーローだった」と回顧。当時を振り返り「同級生のなかには、タバコの吸い方まで真似をする奴がいた」と明かした。さらに、「若手有能演劇俳優が同時に映画スターになった第一号が彼、ナカダイタツヤ」などと、言い尽くせぬ思いをしたため、先輩を称えている。

黒澤明監督(右)と仲代達矢さん=1979年7月25日

「僕らのヒーローだった」

11日の投稿全文は次の通り。

仲代達矢さんのこと

俳優座養成所時代、四年先輩の彼が僕らのヒーローだった。(仲代さんが四期生で僕は八期)同級生のなかには、タバコの吸い方まで真似をする奴がいた。

その頃から彼は、舞台、映画両方で大活躍。若手有能演劇俳優が同時に映画スターになった第一号が彼、ナカダイタツヤ。

映画で一緒になると先輩後輩の意識が強くなったように思う。とはいえ共演の機会はあまり無かった。『天国と地獄』『影武者』くらいか。

映画の世界では先輩、後輩の関係はあまりないものだが、我々はお互い四つ違いを大切にして、それを楽しんだ、と思っている。

よい旅立ちであることを願います。

グッドラック。ありがとうございました。

2025年11月11日山﨑努

名作『天国と地獄』で見せた二人の演技

共演作に挙げた『天国と地獄』は1963年公開。黒澤明監督の代表作のひとつで、山﨑は誘拐事件の犯人の竹内銀次郎役、仲代さんは捜査担当主任の戸倉警部役で共演。この映画は当時の誘拐罪に対する刑の軽さに憤りを感じた黒澤監督が、小説「キングの身代金」をもとに制作した作品。その後の刑法改正のきっかけにもなった社会的影響力の大きい作品だった。

この投稿に、ネットユーザーには追悼とともに、感慨深い思いが広がっている。

「深い敬意と温かさが伝わる文章だね」「山﨑さんの言葉に胸が熱くなりました。仲代さん、本当に素晴らしい俳優であり、多くの人の心に生き続けると思います」

「『新・平家物語』で平清盛(仲代達矢氏)が平時忠(山﨑努さん)に『院の君にまともに抗し得るのは時忠、おことのみぞ』『龍の爪を研がしむ勿れ』と伝え、平時忠が復唱するシーンに緊張しました」

こうした声とともに、『天国と地獄』で息子の身代金を要求される製靴会社常務・権藤金吾役の三船敏郎さん(1997年12月24日没)を想うファンからこんな書き込みもあった。

「三船敏郎さん『おう来たか、待ってたぞ、先ずは一本タバコを吸っていかないか』」

日本を代表する二人の俳優の関係性を垣間見る機会となり、多くのファンにとって貴重な追悼の言葉となった。

仲代達矢(なかだい・たつや) 1932年12月13日-2025年11月8日。東京都出身。高校卒業後、千田是也の演技に感銘を受け、1952年俳優座養成所合格。第4期生。同期には宇津井健、佐藤慶、佐藤允・中谷一郎ら。『七人の侍』(黒澤明監督)にセリフなしの浪人役で映画デビュー。俳優座の看板俳優だった1975年に妻・宮崎恭子と無名塾を創立。自ら出演し、神崎愛、役所広司、益岡徹、若村麻由美、真木よう子、滝藤賢一、村上新悟ら後進を要請する。

山﨑努(やまざき・つとむ) 1936年12月2日生まれ。千葉県出身。高校卒業後、俳優座養成所を経て、1959年文学座に入団。1960年岡本喜八監督の『大学の山賊たち』で映画デビュー。1963年、映画『天国と地獄』で一躍注目を集める。1984年『お葬式』以降、伊丹十三監督作品に連続して起用される。2024年2月にステージ4の食道がんが見つかったが、抗がん剤治療で生還したことを明かしている。