
14年の時を経て変化が生じている
当時、吉本興業の社長だった大﨑洋氏(72)の鶴の一声で14年前に始まった「あなたの街に住みますプロジェクト」。香川県に派遣された梶剛(44)がプロデュースする『かじ祭り2025』が9月20日に開催され、1万5000人が来場する大成功を収めた。
「当初は″47都道府県に無名の芸人を派遣したところで売れるわけがない″ ″ただ住んでるだけになる″と失笑されましたが、″住みます芸人″は吉本グループの収益に大きく貢献する事業になりました。梶のように県を代表する人気タレントとなった者もいれば、地方自治体と太いパイプを築き、社業に貢献した者もいます」(吉本関係者)
大﨑氏が地方自治体とのパイプ作りに注力した背景に「’00年代後半に浮上した沖縄県のカジノ構想があった」と広告代理店関係者は言う。
「大﨑氏は’09年に『沖縄国際映画祭』をスタートさせましたが、これもカジノ利権に食い込むためだと言われています。毎年、巨額の赤字を出しながらも続けていたのはそのためでしょう。沖縄へのカジノ誘致が白紙になった後、彼が注目したのが大阪・関西万博でした」
『ダウンタウン』を万博アンバサダーに就任させ、人気芸人をフル活用してアピールに協力。パビリオン『よしもと waraii myraii館』もオープンさせた。大﨑氏自身も万博催事検討会議共同座長に就任している。
「期間中に会場で開催した人気芸人による『万博カラオケ』も大盛況でした。『週刊文春』は、日本維新の会が吉本興業と蜜月で、大阪府・市から吉本に41億円もの事業の発注があったと報じています」(制作会社ディレクター)
国の事業にも関わるなど存在感を増している吉本だが、行政との関係性を強めるきっかけとなった″住みます芸人″たちに変化が生じているという。
「当初は各都道府県の芸人につくマネージャーと、北陸、東海などのエリアを統括するエリアマネージャーが1人ずつ配置されていたのですが、徐々にマネージャーが減り、現在はエリアマネージャーだけになっているようです。″住みます芸人″単体でやっていけると吉本が判断したのでしょうか」(ローカル局関係者)
BSよしもとでは″住みます芸人″をフィーチャーした番組が放送されているが、「勝ち組と負け組の差がハッキリ出ている」と放送作家は言う。
「地方でレギュラー番組を多数持つ勝ち組勢がいる一方、負け組勢は時間を持て余していますから、地元の名所やグルメを紹介する企画では、芸人が撮影から動画編集までやっていますよ。担当マネージャーがいないということは、テレビ局への売り込みなども芸人が自分でやらねばならない。勝ち組との差はますます広がるでしょう。吉本としても仕事になる地方に注力したいところ」
一方で、自分で仕事を取ることができる勝ち組の″住みます芸人″たちの独立志向が強まっているという。
「初代の青森″住みます芸人″先川栄蔵(42)は’21年に独立。JA共済アンバサダーに就任するなど、青森では知らない人がいないほどの活躍ぶりです」(同前)
今後は勝ち組勢の″脱・住みます芸人″が進む――かもしれない。
2025年11月14日・21日合併号