数多くのエッセイでも知られるフランス文学者の内田樹氏が16日、中国政府による「日本留学の慎重検討」呼びかけに関して、自身のX(旧ツイッター)に「中国からの留学生が来なくなったら、日本の大学院は自然科学分野も含めて定員割れしますよ・・・」と投稿した。この発言に対し、ネット上では「留学生頼りの大学は潰れて良い」「そもそも大学多すぎる」などの批判的な意見が相次いでいる。
内田氏の投稿は、共同通信が配信した「中国、日本留学の慎重検討を呼びかけ」というニュースを引用して警鐘を鳴らしたたもの。中国政府は16日、日本の治安状況が不安定だとして、日本への留学は慎重に検討するよう国民に呼びかけた。これは高市首相の台湾有事を巡る国会答弁への対抗措置の一環とみられている。
この中国政府の措置に対し、大学教員の経験もある内田氏は日本の大学院、特に自然科学分野における中国人留学生の重要性を指摘する形で反応。しかし、この見解に対してネット上では批判的な声が大多数を占めた。
「留学生頼りの大学は不要」ネットで批判殺到
「日本の大学院が『中国人の為』に存在してんだったらそれこそ不要やろ」「いいじゃないか、定員割れしたって。そもそも中国人留学生によって定員が維持されている現状が異常なんだよ」といった反論が目立つ。
また、日本の高等教育機関の在り方そのものに疑問を投げかける声も多い。「留学生頼りの大学は潰れて良いわ」「そもそも留学生をカウントしないと成り立たない大学って必要あるのか?今の日本の子供に対して大学多すぎるんじゃない?」といった意見が散見される。
さらに「え~中国からの留学生が12万人以上居たの?で、そういう大学や大学院に補助金やら奨学金支援とかしてたわけ?良かったね、こういう問題がちょうど炙り出されて」と、日本の教育行政の在り方にも疑問を呈する声もあった。
津田大介氏も事態を憂慮するが…
日本の少子化問題と大学の存続問題を絡めた意見も多く、「そもそも名ばかり大学が多すぎなんだよ。要らないわ」「弱腰なことを言ってないで、『日本への留学は禁止!』って言えよ~~~お願いだから~。中国人留学生が来なくて破綻するような大学は、そもそも無くなって良い」といった声も上がっている。
一方、ジャーナリストの津田大介氏は「日本の大学関係者の多くが『なんてことしてくれたんだ』って頭抱えてそう。経営的に立ち行かなくなるところ(とりわけ大学院)も出てくるんじゃないかな」と内田氏と同様の懸念を示していた。
中国政府の「日本留学の慎重検討」呼びかけは、日中関係の動向を映し出すと同時に、日本の高等教育機関の構造的な課題も浮き彫りにした形だ。留学生に依存せず、日本国内の学生を惹きつける魅力ある教育機関の構築が求められている。
■内田樹(うちだ・たつる) 1950年9月30日生まれ。東京都出身。フランス文学者・武道家・翻訳家・思想家・エッセイスト。神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想。立憲民主党パートナー。東京大学文学部卒業。旧東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。
