樋口日奈は乃木坂46出身の逸材の1人 光を与えられて輝く月のような女優として、着実に歩んでいる

樋口日奈(「できても、できなくても」/テレビ東京系)

樋口日奈(C)日刊ゲンダイ

乃木坂46の卒業生からは生田絵梨花、齋藤飛鳥、白石麻衣、西野七瀬、山下美月といった、グループのセンターを担っていた、おなじみの人気女優だけでなく、いろんなタイプの女優が生まれ、主演級で活躍している。

忘れてはならない乃木坂46出身の逸材としては、伊藤万理華、樋口日奈、能條愛未、若月佑美らが挙げられる(能條愛未は11月10日に歌舞伎俳優・中村橋之助との婚約を金屏風の前で発表した)。いずれもシブめで通好みの女優だが、彼女たちを輩出したことは、乃木坂46の大きな功績と言っていい。

このうち、樋口日奈は、今秋、元TBSアナウンサーの宇垣美里が主演するドラマ「できても、できなくても」(テレビ東京系・毎週木曜深夜0時30分~)でメインキャストのひとりを演じている。建設会社で働く主人公の幸せを邪魔してくる後輩社員、という役だ。

1998年1月31日生まれ、東京都出身。2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格して加入。2022年に卒業するまでに発売された30枚のシングル表題曲で選抜メンバーに選ばれたのは8回だけだが、アンダーライブという選抜以外のメンバーによるコンサートでリーダーシップを取って、後輩メンバーから慕われていた。

乃木坂46時代、グループのメンバー個別のインタビュー取材で、樋口日奈を担当する機会が割と多かった。素直な言葉で自分の気持ちを表現してくれるので、彼女にインタビューするのは楽しかった。

取材の中で「自分から輝ける人もいますけど、私は輝かせてもらわないと見つけていただけない人だったのかな」(「日経エンタテインメント!アイドルSpecial2017」2017年2月発売)と語っていたのが、印象に残っている。謙虚な性格がよくわかる言葉だと思う。

ソロで女優として活躍するようになってからも、彼女にふさわしい作品と役との出会いによって、光を与えられてより輝く月のような女優として、着実に歩んでいる。

2024年夏に「初恋不倫~この恋を初恋と呼んでいいですか~」(BSテレビ東京)で連ドラ初主演。今年1月には、多くの芸人を見いだしてきた元テレビ東京・佐久間宣行がプロデュースしたドラマ「ノロイヲアゲル」(テレビ東京系)で主演した。

今はまだ知名度が高くないので、もっとたくさんの人に知ってほしい女優だ。今秋のドラマで、彼女の演技の深煎りコーヒーのような味わいを感じてほしい。