藤本コーチの白髪が増えて……
「今しかないと思って、すべて自分からお願いした形になった」
2年ぶりのリーグ優勝を果たすも、日本シリーズでソフトバンクにまさかの4連敗を喫した阪神の藤川球児監督(45)。就任2年目となる来シーズンの組閣が11月10日に正式発表されたが、和田豊コーディネーター(63)の一軍ヘッドコーチ入りという人事がファンを驚かせた。
和田ヘッドは現役時代に阪神の中心選手として活躍し、引退後はコーチを歴任。2012年から2015年までは一軍監督として阪神を指揮した。
「監督最終年となった2015年は残り10試合までリーグ優勝争いを演じましたが、中村勝広GMがシーズン最終盤に東京都内のホテルで急死。そこからチームは後退してクライマックスシリーズ(CS)も敗れ、和田さんは責任を取って退任しました。
プライベートでは在任期間中、大ファンだった松田聖子のモノマネ歌手との不倫が週刊誌で報じられ大騒動に。就任会見で発したパワーワード『スパイス』がネットでは和田監督の隠語として有名になりました」(球団関係者)
監督退任後は球団オーナー付シニアアドバイザーとしてフロント入り。2023年からは二軍監督を務めた。
「引退後、ずっと球団での肩書を持ち続けていることからも、経営陣の和田さんへの信頼がうかがえる。とくにバッティングの技術指導はお手のもので、昨シーズン全試合出場を果たした一方で打率が.232と低調だった中野拓夢内野手(29)を熱心に指導して今季.282にV字回復させて優勝に貢献しました。
現役時代、中継ぎや抑えでほぼベンチにいなかった藤川監督は野手については放任主義なので、技術屋として白羽の矢を立てたということでしょう」(同前)
だが、藤川監督は昨年の監督就任直後、ヘッドコーチについては「置かない」とわざわざ明言していた。たった1年で〝前言撤回〟した形となるが、その理由はなんなのか。
「一つ目は、藤川監督に野手陣を任された藤本敦士総合コーチ(48)が心身共に相当な負担を強いられたこと。現役時代から明るくお調子者だったのに、今シーズン中は白髪が増えて険しい表情を浮かべることも多かった。『病気していないか? 大丈夫なのか?』と心配する球団OBも多かったんです。
二つ目の理由は、球団フロントから日本一奪還のためのテコ入れ策として『ヘッドコーチを置いた方がいいのでは』と助言されたこと。今シーズンは、良くも悪くも藤川監督の権限が強く、監督とコーチ陣が衝突するケースが少なくなかった。人格者として知られる和田ヘッドは、ベンチ内の緩衝材としての役割も担うのです」(チーム関係者)
さらに、球団フロントに近しい関係者は別の見方を指摘する。
「藤川監督はメディアへの情報統制を行ったり、OBとの接触を断ったりと徹底した秘密主義で選手を守っています。たとえ相手がフロントの重鎮であっても、その方針は変わりません。しかし来季以降、フロント陣は和田ヘッドから逐一、チーム状況などに関する詳細な報告を受けることが可能となった。いわば監督の『お目付け役』という役割も担っているのです」
和田ヘッドの手腕によって、阪神打線が強化されれば、日本一奪還はさらに近づくことになるだろう。
