バカリズム脚本で朝ドラ 現役芸人は史上初「僕にオファーがある現象が面白い」タイトなスケジュールなんの

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 NHKは21日、都内の同局放送センターで、2027年度前期の連続テレビ小説の制作発表会見を開催した。タイトルは「巡る(まわる)スワン」で、脚本はお笑い芸人のバカリズム(49)が担当。ヒロインは俳優・森田望智(みさと=29)がつとめる。現役の芸人が朝ドラの脚本を担当するのは史上初で、長野県諏訪市と諏訪湖周辺をイメージした架空の街「長野県佐和市」が主な舞台。森田が演じる、生活安全課につとめる警察官をとりまく日常を描くオリジナルストーリーとなる。

 制作発表会見の場となったスタジオが、にわかにざわついた。脚本担当として姿を見せたのは、お笑い芸人としてもトップレベルの知名度を誇るバカリズム。「よくドラマになる刑事課ではなく、これまではほとんど舞台になっていなかった生活安全課が舞台。事件を未然に防ぐ部署ということで、事件が起こらないことが仕事。僕はそこに魅力を感じてドラマを書き始めることになりました」と、あくまで淡々とあいさつした。

 史上初の現役お笑い芸人による朝ドラ脚本となるが、その実力は折り紙付き。これまで多くの作品を手がけており、今年1月期に放送され多くの話題を集めた日テレ系ドラマ「ホットスポット」は記憶に新しい。さらに「架空OL日記」(17年)では向田邦子賞、同「ブラッシュアップライフ」(23年)では東京ドラマアウォード脚本賞や橋田賞も受賞。満を持してのNHKドラマ初執筆となる。

 芸人として“プレーヤー”が本業なだけに、タイトなスケジュールの朝ドラ脚本を受けるかは悩んだ。それでも「なかなかチャンスがあるものではない。あと僕にオファーが来る、芸人が朝ドラの脚本を書くという現象が面白いなと」と決断。数多くのアイデア出しの中で、生活安全課の警察官の日常を描く設定が固まったという。

 制作統括をつとめる桑野智宏チーフプロデューサーは、オファーについて「私が制作に関わることになって、毎朝笑って明るくなれるドラマが良いなと思い、自然にバカリズムさんが浮かんできた」と述懐。「過去作ではSF的な要素に目が行きがちだが、日常をしっかりと描いている。朝ドラにマッチするのではないかと」と期待した。

 本格的な執筆開始は年明けから。「僕も現場で本が届いていないということで困ったこともあるが、どこの現場でも脚本が遅いとめっちゃ悪口言われる。こんなに言われるんだったら絶対に守ろうと。締め切り厳守で頑張ります」と笑わせた。

 ◇バカリズム 本名・升野英知(ますの・ひでとも)1975年11月28日生まれ。福岡県田川市出身。日本映画学校在学中の1995年に松下敏宏とお笑いコンビ「バカリズム」を結成。2005年11月に解散し、ピン芸人としてバカリズムを名乗る。06年にR-1ぐらんぷりに出場し、フリップネタ「トツギーノ」で4位となりブレーク。大喜利日本一を決めるフジテレビ系「IPPONグランプリ」では優勝6回、準優勝5回とともに歴代最多を誇る。19年12月に元でんぱ組.incの夢眠ねむと結婚。