東京・赤坂で女性歌手が刺され重傷を負った事件で、警視庁は陸上自衛隊の大津陽一郎容疑者を逮捕しました。彼は容疑を否認し、事件当日に赤坂に行っていないと供述しています。警察は事件の詳しい経緯を調べています。
東京・赤坂のライブハウス前で女性歌手が刺され重傷を負った事件で、警視庁捜査1課は、殺人未遂の疑いで、東京都練馬区土支田、陸上自衛隊朝霞駐屯地所属の2等陸曹、大津陽一郎容疑者(43)を逮捕した。「私はやっていません」と容疑を否認している。産経ニュースが22日報じた。
逮捕容疑は16日午前10時半ごろ、港区赤坂のビルで、40代女性に対し、刃物のようなもので左脇腹などを刺し、殺害しようとしたとしている。女性は内臓に達するほどの傷を負った。
捜査1課によると、大津容疑者と女性は知人関係とみられる。大津容疑者は逮捕前の任意の調べに、女性とは約9年前にSNSで知り合い、その後、自身に配偶者を含む家族がいることを伏せて交際していたと説明。「今年6月ごろ、女性から別れを切り出されたが、円満に別れた。トラブルは一切ない」と供述したという。
大津容疑者はこのほか、「(事件当日に)赤坂に行っていない」とも供述。捜査1課は2人の間に何らかのトラブルがあったとみて、詳しい経緯を調べている。
約25年のキャリア持つ仕事熱心な自衛官が…
大津容疑者は、約25年のキャリアを持つ陸上自衛隊の中堅隊員で、プライベートでは家庭を持ち、仕事熱心な人柄で知られていた。「事件を起こすなんて信じられない」。知人や近隣住民には、驚きと動揺が広がった。
陸上自衛隊によると、大津容疑者は2000年3月に入隊。2024年3月から朝霞駐屯地の第1施設大隊に所属し、重機などの管理を担当していた。
勤務態度に問題はなく、事件当日の16日は休み、翌17日は通常通り勤務していたという。陸自関係者は「駐屯地外に居住しており、休日の行動を報告する義務はない。確認もしていない」と説明。朝霞駐屯地第1施設大隊長の安保直之2等陸佐は「心から被害者の回復を祈ると共に、警察の捜査には全面的に協力し、事実関係に基づき厳正に対処していく」とコメントした。
自宅前で子どもとプール遊びも
「寡黙だが、仕事の話になると熱を込めて話すこともあった。事件を起こすような人ではない」
知人の1人は、大津容疑者の逮捕を受け、驚きを隠せない様子でこう語った。出勤前日は酒を飲まず、休日は2、3時間程度ランニングに出かけることもあったという。知人は「体力があってまじめな人だった。何で事件を起こしたのか経緯を知りたい」と口にした。
近所に住む建築業の男性(58)は、夏になると、自宅前にプールを出して子供たちを遊ばせている様子を見たことがあるといい、「明るいにぎやかな家庭の印象だった。どうしてこんなことになってしまったのか」と話した。
■朝霞駐屯地(あかさかちゅうとんち) 1960年開設。東京都練馬区大泉学園町ほか、敷地は埼玉県朝霞市・和光市・新座市にまたがる。陸上自衛隊の以下の部隊・機関がある。陸上総隊司令部、東部方面総監部、第1偵察戦闘大隊、第1施設大隊、第2高射特科群(第335高射中隊)、東部方面システム通信群、東部方面後方支援隊、東部方面衛生隊、 東部方面会計隊、東部方面指揮所訓練支援隊、東部方面情報処理隊、東部方面音楽隊、女性自衛官教育隊、東部方面警務隊、中央情報隊、電子作戦隊、システム通信団(一部)、 中央音楽隊、輸送学校、自衛隊体育学校、朝霞駐屯地業務隊。1940年、日本陸軍予科士官学校の移転用地として東京ゴルフ倶楽部の用地が陸軍省により買収されたのが前身。

