《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」

役者でタレントの山口良一さん

役者でタレントの山口良一さん

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1989年にスタートした長寿番組『噂の!東京マガジン』(TBS系)。山口良一さん(70)は、第5回から出演し、あれから36年が経った現在、もっとも長く出演する古株リポーターとなった。番組は2021年にBS-TBSへ移動して大きく様変わりしたが、出演者の絆は今も色褪せないままだ。

山口さんが70歳の節目に盟友・笑福亭笑瓶さんと出会った『噂の!東京マガジン』への想い、これから仕事について語った。【前後編の後編。前編から読む】

──笑瓶さんとの思い出がたくさん詰まった『噂の!東京マガジン』ですが、北野誠さん(~2012)、志垣太郎さん(~2014)、風見しんごさん(~2022) 、笑瓶さん(~2023)、清水国明さん(~2024)と、以前は多くのリポーター陣が現場を取材していましたが、現在は主に山口さんと深沢邦之さん(59)の2人になっています。

「それぞれの事情もあって、いつの間にかリポーターの数が少なくなっちゃってね。今は僕と深沢君、新しく喜入友浩アナウンサー(TBS)が入りましたけど、リポーターを 10年以上やっているのはもう2人だけ。

去年は(清水)国明先輩が選挙(都知事選出馬のため番組を卒業)とか出ちゃうから(笑)。でも本人の人生ですからね。仕事の都合とかもあるし、人がちょっと少なくなって寂しいですけど、変わらず現場の事件を届けていきたいですね」

以前は多くのリポーター陣が現場を取材していた『噂の!東京マガジン』(番組HPより)

以前は多くのリポーター陣が現場を取材していた『噂の!東京マガジン』(番組HPより)

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──古株として意識が変わったりしますか?

「前に司会の森本毅郎さん(86)から『山口さんは潤滑油みたいな人だね』って言われたことがあって、自分ももともとみんなを引っ張ってガンガン前へ行くようなタイプじゃない。

観察力や分析力のすごい笑瓶ちゃんと、思わぬ方向から口撃を仕掛けてくる国明先輩のようなことは自分には似合わないんで。僕はちょっとインチキ臭い空気を出していく自分のペースで行きたいと思います」

──30年以上続く『噂の!東京マガジン』ですが、2021年に地上波からBSに移動する際に番組存続の危機があったと聞きました。

「あのときは森本さんから『ちょっと話がある』と言われて、ドキッとしたのを覚えています。いよいよ終わってしまうのかなっていう不安のまま、楽屋にみんなが集まって。森本さんが『地上波は一旦区切りとなるけど、BSから誘いがある。どう思う?』って。『いいじゃないですか、是非行きましょう』と、全員一致で即答でした。

収録が隔週になって出演料が多少下がるとかありましたけど、そんなことは関係ありませんでした。仕事をこえた身内のような仲間でしたので」

19歳で広島から上京(事務所提供)

19歳で広島から上京(事務所提供)

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芸能生活46年の歴史

51年前、山口さんは19歳で広島から上京し、1977年に東映演技研修所に入所。1979年に佐藤B作氏(76)が主宰する『劇団東京ヴォードヴィルショー』に入団。以来、ラジオや、テレビドラマや舞台で活躍を続けている。

──劇団員となってからから今年で芸能生活46年を迎えました。

「最近思うんですけど僕、俳優じゃないんですよ。ただ面白いことが好きなだけの人間で。上京するときの志が“自分が楽しくて周りの人も楽しく、生きて笑ってくれればいいな”と思って出てきたんで、もうそのままなんですよ。

俳優の方ってものすごく身を削るような努力をしてお芝居を一本作るんですけど、僕の最近は“楽はしないが努力もしない”っていうのがコンセプトなんです」

──“楽はしないが努力もしない”というのは独特の表現ですね。

「思い返すと、笑瓶ちゃんからはよく『山口さんは劇団いうバックボーンがあるからええなあ』って言われたことがありました。彼は僕のことを劇団の役者だと思っていたのかもしれませんけど、職業欄に “楽しいことが好きな人”って書きたいと思っている俳優って、それはもうおこがましいなと。

今はうちの劇団の大森博君が年に3本、4本プロデュースする人情喜劇やコントに誘ってくれるのでありがたいです。その合間に落語会や『イモ欽トリオ』のライブに出してもらったりしていて、自分で何かプロデュースするというのが苦手なので、誘われたお仕事で年間のスケジュールが埋まっています」

──70歳となって立つ舞台はどうですか。

「今年、白内障の手術をしまして、6月には肺炎になりました。年を取ってセリフがなかなか入らないというなかで稽古をやっていました。

今回出演しているのは人情喜劇でドタバタしているところもありますし、最後にちょっとほろっと泣かせ笑ってほろっとする舞台ですね。共演するのも面白いメンバーで、熊谷真実さんも初出演です。11月の公演中に笑瓶ちゃんの月命日を迎えるので、報告を兼ねて行こうと考えています」

(了。前編から読む)

文/千島絵里香(ジャーナリスト) 撮影/山口比佐夫

舞台『家族、片恋』

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