
歌舞伎俳優の片岡亀蔵(かたおか・かめぞう、本名片岡二郎=かたおか・じろう)さん(64)が24日、都内で火災に巻き込まれて死亡した。
同日午前4時ごろ、東京都足立区東伊興3丁目の3階建て菓子工場兼住宅で「3階から煙が出ている」と近隣住民から119番があった。警視庁竹の塚署などによると、建物の一部が燃え、約2時間後に消し止められた。3階で亀蔵さんが倒れており、搬送先で午前5時7分に死亡が確認された。煙を吸った住民の60代男性1人も搬送された。亀蔵さんは知人宅である現場を訪れていた。
署や東京消防庁によると、搬送された住民男性は兄との2人暮らし。兄は出火時に2階におり、逃げて無事だった。亀蔵さんと住民男性が3階にいて、いずれも一酸化炭素(CO)中毒になったとみられる。
亀蔵さんは五世片岡一蔵の次男で、兄は六代目片岡市蔵。1965年、歌舞伎座「仮名手本忠臣蔵 十段目」の一子由松で、本名の片岡二郎で初舞台。69年の歌舞伎座「弁天娘女男白浪」の丁稚三吉ほかで四代目片岡亀蔵を襲名した。95年、歌舞伎座で名題昇進。98年、真山青果賞助演賞。2001年には重要無形文化財に認定された。
大きな目に面長の浮世絵の役者のような顔立ちによく通る声で知られ、時代物、世話物、新作などジャンルを問わず敵役から老け役、滑稽味のある役など幅広い役柄をこなし、存在感のある確かな演技力で歌舞伎に厚みを加える名脇役だった。最後の舞台は10月の名古屋・御園座。12月には京都・南座「吉例顔見世興行」に出演予定だった。
妻は元福岡放送アナウンサーの中村明美さん。