「朝生」出演の田原総一朗氏、動画謝罪と問題発言の“真相”

田原総一朗氏

ジャーナリストの田原総一朗氏(91)が、自身の不適切発言による騒動の渦中で、BS朝日の看板番組「朝まで生テレビ!」(毎月最終日曜午後7時)の司会として26日放送回に登場した。同局の別の番組での発言を巡る批判が止まず、番組が終了決定となる中、田原氏の言動とその背景に注目が集まった。騒動にどう向き合ったのか。

高市首相へ問題発言後も「朝まで生テレビ」で通常司会

「朝まで生テレビ!」のこの日のテーマは「激論!高市政権誕生! ド~なる?!ニッポン」。田原氏は、与野党の国会議員とジャーナリストが囲むテーブルの司会席で、「どうも、こんばんは、よろしくお願いします」といつも通りのあいさつでスタートした。

19日に放送されたBS朝日の別の討論番組「激論!クロスファイア」で、高市早苗首相について、「あんな奴は、死んでしまえと言えばいい」と放言し、大問題となって番組終了が決定したことには一切触れなかった。

連立政権を離脱した公明党の上田勇参院議員が、田原氏から向かって左の野党側に座っていることから、「あの位置付けで不満はないの?」と語りかけた。つづいて、テーブルを囲む与野党の議員らに向けて、「高市さんが総理大臣になったことに賛成の人、手をあげて」と質問。自民、維新や一部ジャーナリストから手があがると、田原氏は「けっこういるんだ…」と話した。

実は、この放送の直前の午後6時32分、田原氏は自身のX(旧ツイッター)で動画を公開し謝罪していた。

田原氏は「先週放送の『激論!クロスファイア』で不適切な発言をしたことを謝罪いたします。高市総理、そして視聴者の皆さん、関係者の皆様、本当に申し訳ありませんでした」と述べ、頭を下げた。

田原氏は23日にも自身のX(旧ツイッター)で不適切発言を謝罪。「発言の主旨は、野党に檄を飛ばそうとしたものでしたが、きわめて不適切な表現となり、深く反省しております」と釈明した上で「本当に申し訳ございませんでした」と陳謝していた。

騒動の舞台裏 事務所側は「カットしてほしいと願い出た」?

だが、内心はどうだったのか。田原氏の発言がSNS上で糾弾される中、“真相”を告発しようとする動きがあったというのだ。

SNS上で広い人脈を持つジャーナリストが明かす。

「田原さんの身内が相談する内容が、ネット上で流布しています。田原さんの問題発言については『誤解を招く発言だった』と猛省した上で、収録後、発言部分を『カットしてほしい』と願い出たにもかかわらず、制作スタッフは『大丈夫、大丈夫』と取り合わなかったとしています。田原さんの事務所は『何度も編集をお願いした』とも。これが真実なら、責任を田原さん一人に負わせるのは酷でしょう」

BS朝日は24日、「激論!クロスファイア」の終了を発表。臨時取締役会で「田原氏の発言は政治討論番組としてのモラルを逸脱していると判断」とし、番組終了が決定したと報告した。併せて「番組はVTR収録のため不適切発言を編集でカットすることができましたが、それを怠った番組責任者ならびに管理監督者である編成制作局長を懲戒処分としました」と伝えている。

「吐いた唾は呑めぬ」のことわざ通り、たとえ収録の問題発言がカットできていたとしても、その場に居たゲスト、スタッフは共有している。内容が漏れないとも限らない。長年、歯に衣着せぬ発言で議論を沸かせてきた田原氏だが、今回はその舌鋒が自らを縛る形となった。

田原総一朗(たはら・そういちろう) 1934年生まれ。滋賀県出身。早稲田大学卒。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経て、フリーランスに。テレビ朝日「朝まで生テレビ!」などの司会で知られ、1998年に城戸又一賞受賞。早稲田大学特命教授、「大隈塾」塾頭を務める。