松本明子の仰天副業!貸キャンピングカー屋「儲からない」も続ける理由 激安賃料が凄かった

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 タレントの(59)が“もう一つの顔”で輝いている。それは東京・杉並区で軽専門のレンタカー店を営む「店主」の顔。一見、とっぴに見えるこの事業には「タレント・」としての規格外の行動力と「人間・」としての切実な悩みと堅実さが複雑に絡み合っていた。松本自身の「節約魂」と「人を楽しませたい」というサービス精神が融合した意外な副業に迫った。

 事業が始まったのは2021年3月。その原点は、2019年末に始めた登山にあった。「もともとは、膝に水がたまってしまって。いろいろな人に相談する中で『負担がかからないハイキングとかウオーキングを』と勧められたのがきっかけです。低山から登り始めたら、膝の痛みも消えて、体調も良くなった」とハマったという。

 芸能界きっての倹約家として知られる松本。低山を踏破していく中で「これはケチな私でもお金をかけずにできる節約レジャーだ!」との喜びもつかの間、北アルプスなど本格的な山を目指し始めると、大きな壁にぶつかった。

 「長野や山梨まで行くと新幹線代、前泊のホテル代、登山口までのレンタカー代と、結局お金がかかるんです。これはイカン。登山口の近くで仮眠できる車があれば、全部解決するのに…と思ったんです」

 この「人間・」としての切実な悩みが、「タレント」としてのアイデアと行動力に火をつけた。「軽トラックに、キャンプ用のテントを乗っけたようなものがないかなぁ~と思って、イラストを描いたんですよ」。イラストを頼りにネットで探し当てたのが、青森県のCAR FACTORY TARBOWが製作する「Bug-truck(=バグトラ)」だった。

 自ら電話をかけ「気に入ったんですけど、青森に行かないと買えないんですか?」と問い合わせ。紹介された神奈川県内での販売先で実物を目にした瞬間、気に入った。「こんなに小回りが利いて、車中泊もできるなんて最高!」。ただ、それだけでは終わらない。「自分だけで使うのはもったいない。よし、レンタカー屋をやっちゃおう!って」

 規格外の行動力は加速する。所属事務所の社長に「副業をやらせてほしい」と直談判。さらに、香川の同級生のつてから専門のレンタカー事業の経営者に話を聞くため、福岡の本部へ突撃。加盟を懇願した。「前年度の9月から計画を立てて、司法書士さんや運輸局への許可を取りに行ったり…。もろもろ半年くらいかかりました」。驚異的なスピード感で、タレント業と並行してレンタカー屋開業への道を切り開いた。

 自身の芸能活動を長らくサポートしている運転手・廣田芳直さんと二人三脚で事業をスタート。開業から4年半を「あっという間ですねぇ」と振り返りつつ「やっぱり…なかなかもうからないですね」と苦笑いする。四季のある日本の美しさを求め、春秋は長期利用する外国人旅行者もいる。ただ冬場は予約が減り、都内の駐車場代、保険代など維持費は待ってくれない。

 「そんなに黒字にはならないですよね」とありのままを明かす。それでも「でも、本当に楽しいんですよ」と笑う。タレントとしての仕事がない日は、自ら車の点検や清掃を行い、利用客を見送る。「お客さんが喜んで帰ってきて『楽しかった~!』『松本さん、お土産買ってきたよ~』とサツマイモやキノコを渡してくれるのが本当にうれしくて」。その瞬間、二つの仕事が交差する。「芸能の仕事も、お客さま商売も同じ。喜ぶ顔を見たいというのが、元気の原動力」。タレントとしてのサービス精神と、店主としての実直なやりがいは、見事なまでに重なり合う。

 40~60代の客は、出発前に「タレント・」として記念写真を求め喜んでくれる。一方で「10代や20代の学生さんたちは、を知らない世代もいて。『店員さんとそんなサービスがあるんですか!?』ってぽかんとしたり、『家に帰っておばあちゃんに聞いてみます』なんて言われたり(笑)」。そんな交流を心から楽しんでいる。利用者との飾らない交流は、店主としてのサービス向上に直結する。「お客さんの『4人家族で寝たい』『たき火がしたい』といった声に応えて、布団セットやたき火セットを導入したり。お客さまのリクエストにお応えしてその都度やっています」。どこまでも実直な「人間・」が事業面でも生きている。

 1983年デビューの「不作のアイドル」仲間とは「みんな売れていないから、みんな仲良いんですよ」と今も自主ライブを続けるなど、タレント活動にも衰えはない。最後に、二つの顔が融合した大きな夢を語ってくれた。「今はバラバラの駐車場に置いている4台を、いつかまとめて置ける事務所を持つのが夢ですね。あとは、地球に優しいEVのも扱ってみたい」。そして「今度はステージ付きのレンタカーを作って、不作の仲間たちと全国を旅しながら歌いたいですね!」とらしい言葉で締めくくった。

 「健康」、「節約魂」という誰もが抱く動機から始まったささやかな事業が、今では「タレント」としての新たな夢を生む。走り続ける原動力は一つ。「お客さんの喜ぶ顔が見たい」。そのシンプルな思いが、のエンジンを全開にさせている。

 ◇松本 明子(まつもと・あきこ)1966年4月8日生まれ。香川県出身。1982年にオーディション番組に合格。83年に「♂×♀×Kiss(オス・メス・キッス)」でアイドル歌手デビューを果たした。90年代に入って、テレビ東京系「TVチャンピオン」日テレ系「電波少年シリーズ」などでMCとして活躍。バラドルの第一人者として君臨。副業としてのレンタカー業の経営以外でも、本業で歌唱活動も、情報番組のコメンテーターもこなすなどマルチに活躍中。