「(客は)40、50代くらいが多かった」12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「床にマットレス直置き」

文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)

文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)

写真一覧

「(客は)ひっきりなしでした。毎日夜には見ましたね。だいたい夜中でした。40、50代くらいが多かったと思う」──そう明かすのは、文京区湯島のマッサージ店「リラックスタイム」が入る雑居ビルに出入りする男性だ。このビルの1室で、幼い少女に対する性的搾取が行われていたと報じられ、衝撃が広がっている。

11月6日、警察は、タイ国籍の12歳の少女を働かせたとして、労働基準法違反(最低年齢)容疑で同マッサージ店経営者の細野正之容疑者(51)を逮捕したと発表した。少女は人身取引の被害者として保護された。

大手紙社会部記者が解説する。

「捜査関係者によると、少女はタイで妹や祖父母と暮らしていましたが、今年6月下旬に母親と来日。そのままマッサージ店に連れてこられ、店の中で寝泊まりをしながら男性客に性的サービスをさせられていたようです。

母親は店に到着した翌日には姿を消し、7月中旬に出国。少女は1人で取り残され、6〜7月の約1か月間で約60人の客を相手にしたと見られています。売上は約62万7000円で、経営者の男や母親にわたっていたといいます」(大手紙社会部記者)

「朝日新聞」は、「少女は性的サービスの知識がなく『いやだ、やりたくない』と思ったが、母親の指示に従わざるを得なかったという」とも報じている。少女は店の台所に寝泊まりし、客に対して性的サービスを伴う仕事をさせられていたという。

少女が地獄のような日々を強いられたのは、どんな場所だったのだろうか。

部屋の角には、サイドテーブルと1人掛けの椅子が1脚置かれていた

部屋の角には、サイドテーブルと1人掛けの椅子が1脚置かれていた

写真一覧

◆床にマットレスを敷き…

マッサージ店が入居するのは、湯島駅から徒歩1分ほどの大通りに面した8階建ての建物。管理人室やオートロックはなく、かなり古びた印象のビルだ。住居用の部屋もあるが、別のマッサージ店や事務所として使われている部屋もあり、人の出入りは多くない。外に看板はなく、ポスト投函口に店名が掲出されているのみだった。

店のホームページによると、本場のタイ古式マッサージが体験でき、冷え性や便秘、食欲不振の改善など約60種類以上の効果を実感できるとのこと。またセラピストとして、11月6日現在で5名の女性が顔写真とともに紹介されている。リラックス効果や、体の歪み矯正などを謳う文章が並ぶが、この店の一番の“ウリ”は別にあったという。

この店を知る人物がこう明かす。

「店のSNSでは頻繁に『カサイできます』って宣伝していました。カサイとは、タイ式の睾丸マッサージ『ジャップカサイ』のことで、性感サービスとは違い、血流を良くして男性器全体の活性化を促す、あくまでタイ式のマッサージ。男性が男性に対して施術することもあります。しかし、この店の利用客は違った意味に捉えていたと思います。

利用者が集まるネット掲示板には〈性的サービスを受けたい場合は“カサイコース”で入るといい〉とか〈どの子が“寛容”か〉などの情報交換も盛んに行われており、非健全なサービスを受けられるお店として認知されていたようです。また、店のSNSで〈知り合いに、東京で唯一の本物の“カサイ”学ばせます〉と投稿されていることもありました」

ホームページには施術する個室の写真も確認できた。ごくごく普通のマンションの一室に、シングルサイズのマットレスが1枚、床に直で敷かれていた。また、部屋の角には、サイドテーブルと1人掛けの椅子が1脚置かれていた。

東南アジアの児童売春に詳しいジャーナリスト泰梨沙子氏が語る。

施術する個室はシングルサイズのマットレスが1枚、床に直で敷かれていた

施術する個室はシングルサイズのマットレスが1枚、床に直で敷かれていた

写真一覧

◆日本は“最大の市場”

「タイで働くセックスワーカーの女性は、現地の風俗関係者や知人などのいわゆる“ブローカー”を通じて、日本に渡航しているとみられます。1980〜1990年代には『日本の飲食店で働かないか』などと騙されて強制売春の被害に遭う事案が問題となっていましたが、昨今では自らの意思で渡航してくる人が多い。彼女らは観光客として入国し、査証(ビザ)が免除されている約2週間、不法就労しているようです。

一方で今回のように、母親によってタイから連れてこられた少女が店に置き去りにされ、自らの意思に反して働かされるケースは珍しいように感じます。一方で、現地報道によると、2022年までの過去10年間で、タイの女性や子供が年間1万〜1万5000人も売春のため日本に人身取引されているとの調査結果が報告されており、日本は“最大の市場”ともいわれている。明らかになっていない被害も相当数あるのかもしれません」

朝日新聞の報道によると、少女は「私が働かなければ家族が生活できなくなると思った」と話しており、この店を辞めた8月以降も、母親から紹介された都内の店で働かされていたという。これ以上の被害を出さないためにも、事件の真相究明や実態解明が待たれる──。

「NEWSポストセブン」では、情報・タレコミを募集しています。情報提供フォームまたは、下記の「公式X」のDMまで情報をお寄せください。

・情報提供フォーム:https://www.news-postseven.com/information

XのDMは@news_postsevenまでお送りください!