
異例ずくめの極秘上京
「今日、竹内照明若頭(65)が上京する。午後に稲川会本部で内堀和也会長と会うようだが、目的はまだわからない」
六代目山口組ナンバー2の竹内若頭が急遽上京する――。その情報をFRIDAYがキャッチしたのは10月30日の早朝だった。今年4月に、六代目山口組で竹内若頭体制が発足してから半年余りが経つ。この間、竹内若頭は執行部の若返り人事を断行。友好・親戚団体との積極的な会合などを進めてきた。
通常、他団体との会合情報は1週間ほど前までには漏れ伝わることが多い。だが、この日の会合は当日まで明らかになることはなかった。また、他団体との会合自体は午前中に行われることが多い中、今回は時間帯も「午後」と異例だった。「極秘上京」と言ってもおかしくない状況だったのである。
竹内若頭の会合の目的は一体なんなのか――。10月30日の午後1時、東京・六本木にある稲川会本部会館前には既に警視庁や管轄の麻布署の覆面車が警戒のために待機していた。稲川会幹部の送迎者の車列もできており、サラリーマンらが行きかうビジネス街で、その一角だけ緊迫した空気が流れていた。
約30分後、内堀会長を乗せたセンチュリーが到着。「お疲れ様でございます」という幹部組員の声に迎えられ車を降りた内堀会長の表情は柔らかく、笑顔さえ垣間見えた。本部会館に入る途中、記者に気づくや驚いたような表情を見せたが、そのまま本部会館に入っていった。
その数分後には本部会館前に十数人の稲川会幹部組員が整列。現場の緊迫感はピークを迎える。交通整理役の組員から、「まもなく着きます」「車は2台」の声が流れ、直後に竹内若頭を乗せたセンチュリーが後続車1台とともに到着。「ご苦労様です!」と出迎えの声が流れる中、竹内若頭は厳しい表情のまま本部会館に入っていった。
六代目山口組として正式な訪問
会合が行われている間、稲川会本部会館の外では組員が警戒に当たっていた。本誌カメラも声をかけられ、取材かどうか確認された。
会合は午後1時45分ごろから始まり、竹内若頭が本部会館を出てきたのは午後2時半過ぎ。同行していた幹部が竹内若頭に先んじて本部会館の外に出てきたことから、最後の15分余りは竹内若頭と内堀会長の2人で会談を行ったとみられる。
会合を終え、本部会館から出てきた2人の表情はともに柔らかく、竹内若頭が車に乗り込んだ後も、内堀会長が右手を軽く上げて、「じゃあ、連絡しますわ」と声をかける場面もあった。ヤクザ業界に精通するジャーナリストが言う。
「竹内若頭と内堀会長は『五分の兄弟盃』を交わしています。懇意なのは当然として、会おうと思えば、当たり前ですがいつでもどこでも会えるわけです。それが、竹内若頭は稲川会の本部で会った。本部で会うということは、六代目山口組若頭としての正式な訪問なのです。細かい内容までは分かりませんが、和やかな雰囲気で終わったそうですから、近く何か動きがあってもおかしくありません」
来月中旬、内堀会長は誕生日を迎えるが、竹内若頭は例年稲川会本部にお祝いに駆け付けている。六代目山口組も、来月からは「事始め」や恒例の「餅つき大会」等を控えており、あわただしくなる時期だ。その合間を縫って行われた今回の会合は、両団体の結びつきの強さを改めて示すものだった。












