クマが好む「ガソリンやペンキ」のにおい…近づき体をすりつける様子も 専門家は冬眠の遅れによる「今年いっぱい警戒」を指摘

岩手・盛岡市の動物公園では、冬眠期を前にクマが冬眠の準備を始めている。一方で、専門家は「人里に依存したクマは冬眠が遅れる可能性がある」と指摘。
また、実験によりクマが苦手な臭い、好む臭いがあることも分かった。


動物公園のクマは冬眠準備

岩手・盛岡市にある「盛岡市動物公園 ZOOMO」では野生の生態に合わせ、飼育下でもクマに冬眠をさせている。

この記事の画像(12枚)

現在、2頭のクマが準備を進めている。

1日の餌の量はリンゴやニンジン、サツマイモなど合わせて8kgほど。
クマは冬眠に入ると何も食べないため、秋の間は通常の3倍ほどの餌を与え、たくさんの脂肪を蓄えるという。

盛岡市動物公園ZOOMO 飼育員・丸山正樹さん:
今の体重はマックスの状態。先々週量ったら80kgぐらい。味にうるさい。警戒心が強い動物なので、食べられないものは口にしない。

冬眠の時期は12月から3月まで。
寝室を真っ暗な状態にして保温のためのわらを敷き、暖かくなる春ごろまで眠るという。

盛岡市動物公園ZOOMO 飼育員・丸山正樹さん:
ちょっとした刺激を受けたり、危険が迫るとすぐ起きることがある。極力音を立てないように気を使って管理している。

冬眠を前にした今、大量の食べ物を必要とするクマ。
専門家は今後も野生のクマが出没し続ければ、「冬眠が遅れる可能性」があると指摘する。

岩手大農学部・山内貴義准教授:
本当は11月になれば(クマの出没は)少なくなるはずだが、全く少なくなる気配がない。
人里に依存したクマは遅くまで出てくる可能性は十分ある。場所によっては今年いっぱいまで警戒した方が良い。


窓から家の中をのぞき込むように立つクマ

各地で出没を続けるクマ。

仙台市では、住宅の敷地に侵入し窓の外にいる様子が監視カメラに捉えられていた。
食べ物を探しているのか、立ち上がって家の中をのぞき込むような様子も。

この時、住宅では家族2人が寝ていたという。
3日連続で現れたクマは、庭につるしてあった干し柿60個を全部食べていった。

近隣住民は「外に出るのが怖い。今年に入って一気に5回と驚きの遭遇回数になってる。夜中に不用意に出歩くのは控えている。ゴミ捨ても夜はしないようにしてる」と話す。


クマはガソリンなどのにおいを好む

こうした中、クマを引き付ける危険なにおいが分かった。

秋田県立大学の野田龍准教授が行った、強いにおいのする物質が入った丸太にクマがどのような反応をするか調べた「クマの嗅覚」についての実験映像。
リンゴやワサビ、シイタケを入れた丸太に嫌がる様子は見られなかった。

しかし、丸太の中にトウガラシを入れると、においをかいだクマはくしゃみをするような様子を見せた。
さらに前脚についたトウガラシをなめると激しく頭を揺らし、その場から離れて行った。
こうした「トウガラシ」の成分はクマ撃退スプレーにも使われている。

では、クマの好きなにおいはあるのか。

野生のクマで行われた実験では木のくいに近づくいたクマが体をこすりつける様子が確認された。クマはその後も背中をこすりつけ続けた。

木のくいに塗っていたのはペンキ。
クマはペンキなど油性の塗料やガソリン、灯油などのにおいを好むという。

岩手大農学部・山内貴義准教授:
人工的に作った揮発性の匂いは好きで、ペロペロなめたり体にこすりつけたりする。個体にもよるが、そういうにおいにも一時的に興味を示してしまうことがある。

(「イット!」11月12日放送より)