
お得な日本品質を求めて外国人客が殺到!
「約7割が外国人のお客さんです。これまでは中国からの方が多かったのですが、最近ではぐっと減って、その代わりに台湾の方が増えた印象です。皆さん“日本で買った”という安心感、ステータスもあるようです。
アジア圏の方が中心ですが、近年ではフランス、スペインなど、ヨーロッパからのお客様も目立つようになりました」
そう話してくれたのは、質店の組合による『シッチーのチャリティフェア』を主催する城南質屋協同組合の理事長であり、第1回からの創設メンバーでもある福島豊秋さん。
今年は、’25年11月28日~30日の3日間、東京都大田区で開催される。このフェアは首都圏を中心に北海道や大阪などの質店、計50店が参加し、貴金属やブランドバッグをはじめ、いわゆる“質流れ”となった品々が一堂に集まるイベントで、1972年に初めて開催されて以来、年に2回開催されていて、’25年11月で90回目を迎える。

そして歴史あるこの催しで、近年の目玉となっているのは貴金属、とりわけ『金(ゴールド)』だ。わずかな期間でも値上がりが続いているが、ここに出品される金製品は“数ヵ月前の値付け”となっているものもあるという。そこを見つけるのもこのフェアの楽しみのひとつだ。
「このフェアのいいところは、バッグやブランド品、時計など、さまざまな品が一堂に集う点です。バッグ、時計、貴金属などのカテゴリーごとに販売するので、お客さんは目当ての品を、見比べながら選ぶことができます。
注目の金製品に関しては、主催者側で価格に上限を設けていて、それを超えないように値付けがされます。もちろん現在の相場価格を鑑みて値付けする出品者もありますが、中には数ヵ月前の値付けのままで出品する店も。
同じ貴金属でも、見た目がキレイなほうが欲しいから少し高くてもよい、状態は気にしないから少しでも安いほうがいいなど、お客さんのタイプもいろいろ。宝探しのような感覚で掘り出し物を見つけてほしいです」(福島さん)
さらに、このフェアの特筆すべき点は、それぞれの質店による鑑定が入っているため、“偽物”をつかまされる可能性が極めて低い点にある。そんな“日本品質”を目当てに海外からの来場者が多いのも特徴だという。

バブル期には三千万円のダイヤを現金で購入する客も
個人からバイヤーまでさまざまな人が訪れ、かつては海外からのツアー客が観光バスで訪れることもあったほど、日本の近隣国での認知度、人気が高いフェアとなっている。また、バブル期には現場で多額の現金が飛び交ったり、年代ごとに出品や人気商品が異なったりと、時代が進むにつれて内容が変化していくのも歴史あるこのフェアの特徴だ。同組合の理事で企画広報部の田名網芳美さんがそんな時代を振り返る。
「現在は一回で5億円の売り上げですが、バブル期には一回で7~8億円の売り上げがありました。寄付も年間で一千万円以上をさせていただいていました。
お客さんの中には大阪からリュックに現金を詰めて上京し、三千万円のダイヤモンドを買われた方もいらっしゃいましたね。
出品も50年前は着物や背広が多かったのですが、時代とともに“質草”も変わっていき、今ではルイ・ヴィトンやシャネル、エルメス、グッチなどのブランドバッグやティファニー、ブルガリといったブランドの貴金属が多くなっています。
ほかにも家電量販店の展示品や腕時計なども人気ですね。これらは中古品ということもあって、大体新品の1/3~1/4の価格で購入できます」(田名網さん)

50年以上の歴史を持ち、バブル期の熱狂を経てもなお、多くの人の関心を集めるのは、安さと品質の保証があることが大きい。さらに組合の取り組み姿勢も、出品者や来場者との信頼関係を築くうえで大きな要因となっている。
「質屋っていうのは、隠れてお金を借りに行くというイメージがあったので、もっと明るく、こういうことをやっているんですよという広告宣伝、PRを兼ねてチャリティーフェアを開催したのがはじまりです。
ですから質屋の皆さんにはできるだけ割安にして出してちょうだいよとお願いして、普段は商売敵でしたが、皆さん喜んで、楽しんで参加してくれて、どんどん規模が大きくなっていったんです。もともとが質屋のPR目的だったので、そんなに儲けを考えておらず、経費とプラスαだけもらって、あとは寄付しましょうと。
最初の頃は50万円、100万円でしたが、どんどん増えていきました。バブル期には1000万円を寄付したこともありますが、現在は一回で5~600万円ほど、トータルで2億円以上は寄付させていただいています」(福島さん)
「そもそも質店は、質草を預かってお金を貸し、その利息で利益を得るのが主な収入源です。なので、質流れ品で儲けるという考えはあまりしないんです。ですから、値付けも安くできるのです。
質流れ品はほとんどが、古物市場で業者に買われるのですが、それよりは一般のお客さんに買っていただいたほうが、こちらとしても多少の利益にはなりますから、お互いにメリットがあります」(田名網さん)
組合の方針や品質や値付けなど、質店の鑑識眼や経験が詰まった『シッチーのチャリティフェア』。3日間で6000人ほどの来場者が見込まれているが、掘り出し物は早い者勝ち。貴金属やブランド品を狙っている人はぜひ。

■『シッチーのチャリティフェア』(城南質屋古物商協同組合主催)公式HPはコチラ