
10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックを今ふたたびふり返る【プレイバック・フライデー】。今回は10年前の’15年12月4日号掲載の『ダウンタウン『ガキ使』大晦日特番 これが極秘のロケ現場』を紹介する。
’20年まで毎年大晦日の特別番組として親しまれた『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の『笑ってはいけない』シリーズ(日本テレビ系)。毎年、同番組レギュラーの『ダウンタウン』『ココリコ』、月亭方正(57)の5人が、24時間さまざまなシチュエーションで「笑ってはいけない」というトラップに立ち向かうバラエティーだ。
’15年11月、『FRIDAY』はこのロケ現場を撮影することに成功した。当時の現場ルポを再び紹介する(《》内の記述は過去記事より引用)。
ロケ現場はものものしい空気に包まれていた
《「〝あの番組〟を撮影してると聞きつけ、見に行ったんですが、現場は黄色いテープで囲まれ、立ち入れないようになっており、さらに大勢のスタッフが巡回していたため、500mほど離れた場所から双眼鏡で見るのがやっとでした」(近隣住民)
11月初旬の平日の朝。静岡県内のとある運動公園は、ものものしい空気に包まれていた。そこにいたのは白装束の人々――。彼らの正体は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)の制作スタッフだ。この日、件(くだん)の公園では同番組の大晦日(おおみそか)特番『絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』のロケが行われていたのだ》
この年はレギュラーの『ダウンタウン』松本人志(当時52、以下同)、浜田雅功(52)、『ココリコ』遠藤章造(44)、田中直樹(44)、月亭方正(47)の5人が新人探偵に扮して「何があっても絶対に笑わない」というミッションに挑む企画だった。ロケは静岡県御殿場周辺で400人のスタッフを動員、3日にわたって泊まりがけで行われた。
きつい、危険…ブラックすぎるロケ現場
《今回本誌が目撃したのは、ロケ3日目。スタッフ陣は早朝6時から撮影準備を始め、昼前には本番収録がスタートした。
恒例のドクロのセットが見守る中、5人はオレンジ色のつなぎ服に身を包み登場。周囲にはハリセンを持った男の姿も見える。そしてカメラがまわると、全員必死に公園の中を駆け回り始めた――。
「番組ではお馴染みの藤原寛・元マネージャー(45)が今回も『基礎体力を鍛える』と言って5人を外へ連れ出し、さまざまな訓練に参加させるんですよ」(芸能プロ関係者)
どうやらこうして公園を走り回っているのも、その〝訓練〟の一環らしい。
にしても現場には妙に緊迫した空気が流れている。スタッフは、おどけるメンバーを前にしても無表情を崩さない。時折「何やってんだ!」と同僚スタッフに声を張り上げ叱責する場面も……。ロケをひと目見ようと集まった近隣住民らも、この張り詰めた現場には萎縮してしまい、気軽に写メを撮ることもなかった》
スタッフがピリピリしていたのは、現場があまりに過酷だったからだろう。番組準備期間ですらスタッフは家に帰れず、ADの睡眠時間は1週間で10時間というのもザラだったという。さらにロケが始まると、撮影現場には、まさに〝笑えない〟悲惨な光景が広がっていた。
《「宿泊するホテルが用意されているのは出演者と立場が上の一部スタッフだけで、ほとんどのスタッフはロケ現場に設けられた控え室で寝泊まりします。控え室には大量の布団が敷かれており、眠くて倒れそうになったらそこで寝転がる。風呂や暖房は当然ついていませんが、忙しすぎて着替えるヒマもないほどなので、ニオイや寒さも気にならないとか」(制作会社スタッフ)》
’14年の放送ではCO2ガスを芸人の股間に向けて噴射するというネタがあったが、噴きかけられると低温ヤケドを起こす危険があった。出演者たちもカラダを張って必死に笑いを生み出していたのだ。
《「’13年の放送から、松本(人志)さんが番組途中で監禁部屋に入れられるというのが定番になってますが、これは『走り続けるのがしんどくなってきた』と本人から申し出があったから。
昨年は、三又又三さん(48)のお尻を顔面キャッチするネタの収録後に『ホンマに気持ち悪い……』とボヤいていましたし、松本さんもなんだかんだ五十路(いそじ)を超えてますからねぇ。もう勢いでハードロケをこなすのは難しいのかもしれません」(日テレ関係者)》
だが、そんな過酷なロケでも出演者とスタッフが番組を作り続けるのは「何が起こるかわからない底知れぬ面白さがあるから」(番組スタッフ)だという。この年、放送10回目となったこの番組のクオリティは、スタッフと出演者の涙ぐましい働きによって支えられていたのだ。
『DOWNTOWN+』で復活?
「笑ってはいけない」シリーズは『ガキの使い』番組内の罰ゲーム企画として’03年にスタート。’06年から大晦日の特番に昇格し、15回が放送され、20%近い視聴率を叩き出した年もあった。
豪華なゲストが多数登場することも話題で、フライデー本誌が制作現場を目撃した’15年の『笑ってはいけない名探偵』には、ジャニーズタレントとして初めて『SMAP』の中居正広(当時43)が出演していた。出演したパートはすでに撮影済みだったようで、本誌取材班は中居の姿を見ることはできなかったが、本番では中居もしっかり罰ゲームを受けていた。ただ、番組DVDではなぜかカットされている。
毎年好評だった「笑ってはいけない」は’21年、コロナ禍での収録が困難だとして休止された。しかし、コロナ禍が収束しても制作が再開されることはなく、’24年の1月に松本が芸能活動休止を発表したことで、続編の制作は絶望視されていた。
ところが、11月1日から始まった有料配信サービス『DOWNTOWN+』の生配信に松本が出演。芸能活動を再開したことで「笑ってはいけない」シリーズの復活を望む声もあがっている。『現代ビジネス』は9月24日、シリーズの新作を日テレの協力のもとに同チャンネルで配信する計画があることを報じている。
松本とともに「笑ってはいけない」シリーズも再開となるだろうか。


