【堺屋 大地】主演映画大コケのKōki,と俳優業好調の趣里にあった「決定的な差」…”親の十四光り”も限界か

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木村拓哉さん・工藤静香さん夫婦の次女で、モデルで俳優のKōki,さんは11月4日、「第42回ベストジーニスト2025」で表彰されたが、過去に殿堂入りを果たした木村拓哉さんの娘としての評価が主な理由とされ、彼女単体の人気や実績には疑問が持たれている。2018年に15歳でファッション誌「ELLE
JAPON」の表紙を飾ってモデルデビューすると、その後、ブルガリやシャネルのアンバサダーに就任。ワールドワイドな仕事で華々しく芸能活動のスタートダッシュを決めたものの、今年3月に前編、5月に後編が公開された主演映画『女神降臨』は予想を下回る興行収入に終わっている。

記事前編は【Kōki,のベストジーニスト受賞に覚えた「強烈な違和感」…「親の十四光り」も人気のなさが露呈した「事件」】から。

父・キムタクでさえ地道に助演を重ねていた

“親の十四光り”でモデル業も俳優業も大きな仕事が舞い込んでくるのはいいものの、Kōki,さん自身にまだ人気も実力も備わっていないため、彼女の器に対してキャパオーバーになってしまっている気がしてなりません。

彼女の父・木村拓哉さんが日本の芸能史に名を刻む大スターであることは誰しも異論ないと思いますが、そんなキムタクでさえいきなり主演をばんばんこなしていたわけではないのです。

意外にも木村拓哉さんがGP(ゴールデン・プライム)帯の連続ドラマで初主演を飾ったのは、1996年に山口智子さんとダブル主演した恋愛ドラマの金字塔『ロングバケーション』(フジテレビ系)。

その前年となる1995年に浜田雅功さん主演作『人生は上々だ』(TBS系)にて、主人公のバディ的存在の準主役を務めたり、さらに前年の1994年に萩原聖人さん主演作『若者のすべて』(フジテレビ系)でも、主人公の対となる存在の準主役を務めたりはしていました。

さらに遡ると、1993年には『あすなろ白書』(フジテレビ系)で3番手キャストの当て馬キャラを演じ、1992年にも『その時、ハートは盗まれた』(フジテレビ系)で3番手キャストとして出演。

偉大なる父でさえ、何年も主人公を盛り上げる役で助演しながらじっくりと人気と実力をつけていき、満を持して連ドラ主演を飾っていたわけですが、Kōki,さんはそういった泥臭いプロセスをすっ飛ばして、主演にありついているというわけです。

消えた二世タレントと大成した二世タレント

北野武さんの娘・北野井子さんや石橋貴明さんの娘・石橋穂乃香さんなど、“親の七光り”でデビュー当初は注目を集めるも、鳴かず飛ばずだった二世タレントは枚挙に暇がありません。

三浦友和さん・山口百恵さん夫婦の息子である三浦祐太朗さんや、明石家さんまさん・大竹しのぶさん元夫婦の娘であるIMALUさんは、“親の十四光り”をもってしても芸能界で大成したとは言い難い状況です。

一方で近年、俳優として大成している二世俳優のなかには、親の名前を伏せてキャリアを積んでいたというケースも少なくありません。

例えば、2023年度後期の朝ドラ『ブギウギ』(NHK)で主演したさん。水谷豊さん・伊藤蘭さん夫婦の娘ですが、芸名に苗字を付けていないことが親の力に頼らずに役者として成功しようという覚悟の表れでしょうし、実際デビュー当時は親の名前を隠して活動していたのは有名な話。

2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)で主役の座を射止めた仲野太賀さんも、二世タレントとして注目を浴びることを嫌ってデビュー当初の芸名は「太賀」のみで活動しており、父親が中野英雄さんであることを明かしていませんでした。自分の力で役者として売れてから、「仲野太賀」と名乗るようになったのです。

渡辺謙さんを父に持つ杏さんは、モデル業をスタートした当初は「渡辺杏」を名乗っていましたが、10代後半で俳優業を始める頃に“渡辺謙の娘”と見られることを避けるため、渡辺性を封印。自分の力で役者として成長していくことを決め、人気・実績を高めていきました。

Kōki,さんも苗字のない芸名ですが、デビュー当初から木村拓哉&工藤静香の娘として大々的に売り出していたので、前述の3人とはブランディングのベクトルがまったく異なっていたわけです。

長い目で見て「芸能人・KŌKI,」のために…

要するに、“親の七光り”や“親の十四光り”を使えばデビュー当時は脚光を浴びられるものの、本人に実力が伴っていなければすぐに飽きられてしまい、成功するのは難しいということ。逆に、本人に実力があれば親の名前を隠していてもちゃんと成功できるということ。

主演映画が大コケして背水の陣となっているKōki,さんの場合、もうさんざん“親の十四光り”をフル活用していたので、今さら“・太賀・杏”路線で行くことはできないでしょう。

しかし、まだ活路はあるはず。工藤静香さんはステージママ的に撮影現場に同行したり仕事の選別をしたりしているそうなのですが、そういった母親の敷いたレールの上を歩くのをやめるところから始めてみるといいかもしれません。

とりあえず両親のエピソードを語るといったアピールも封印して、忖度のないオーディションを受けまくったり、映画やドラマにバイプレイヤーで出演して地力を付けていったりすることが、長い目で見たときに「芸能人・Kōki,」のためになるのではないでしょうか。