
大野市内の山際にある集落で20日、80代の男性がクマに襲われました。一夜明けた21日、現場周辺を取材しました。男性は命に別条はないということですが、家族によると頭に大けがを負っていたことが分かりました。市は、現場付近に捕獲用のわなを仕掛けたり、注意を呼び掛ける看板を設置したりして警戒を強めています。
兵藤遥陽アナウンサー:
「あちらの山際の集落できのう、クマによる人身被害がありました。県内では、今年度2例目でず」
20日午前7時ごろ、大野市森山の山際にある集落で、住民から「男性がクマに襲われてケガをしている」と消防に通報がありました。
市によりますと、クマに襲われたのは80代の男性で、頭を負傷し病院に搬送されましたが、意識はあり命に別条はないということでした。
しかし、一夜明けて取材してみると、想像以上に深刻な事態だったことが分かりました。
兵藤遥陽アナウンサー:
「私の後ろに見える小屋の周辺で、きのう、80代男性がクマに襲われました。小屋の周りには木が生い茂り、あたりはうっそうとしています」
21日、現場では襲われた男性の家族が後片づけをしていました。家族は非常に心を痛めていて、映像や音声は使わないという条件で取材に応じてくれました。
家族によりますと、80代の男性は背後から突然クマに頭をひっかかれ、出血しながら
小屋の中に逃げ込み、止血した後に近所の人に助けを求めたということです。
病院に運ばれた後、男性は4時間に及ぶ手術を受けるほどの大けがで、現在も入院しています。
家族は「この地区にクマが出るのは珍しく、この現場に来るのも怖かった」と打ち明けてくれました。
男性を襲ったクマは山に逃げて行ったとみられ、市や地元の猟友会は現場付近の3カ所におりや箱わなを設置しましたがわなにはかかっていません。
また、市は現場周辺に看板を設置したり、車を使ってアナウンスしたりし、住民に注意を呼び掛けています。
この被害を受けて、現場付近にある上庄小学校では、学校からの呼び掛けもあり21日朝はほとんどの児童が保護者の車で登校していました。
増田教頭:
「近くで人身被害が起きたということで、子供たちは怖い思いをしている。その分、安全面案の注意に対してはしっかり守っていると思う」
また、地元の住民は―
「山だから出て当然かな。朝晩は気を付けている。いないかな。ひょっとしてとしてと思って…」
「朝散歩していて、救急車聞こえて…、クマが出たとは思わなかった。身に危険を感じるところはあるんですけど、周りきょろきょろしてクマがおらんかなと気にしてはいる」
Q.今後の警戒については―
「どうしたらいいか教えてほしいくらい」
大野市内の今年度のクマの出没情報は20日までに133軒ありますが、10月以降で78件と半数以上を占めています。
市街地でも出没が確認される中、大野市を訪れた観光客は―
「え、まじですか?全然知らなかった。雲海を見れると思ったけど、それも山の中から見ないといけないので、やめておこうかなと」
「温暖化で、暖かくなるとクマも冬眠しなくなるのでは」
県内では、今年度2例目となったクマの人身被害。クマの出没件数は県内全域で10月に入って急激に増加しています。
いつ、どこで遭遇するか分からない状況で、細心の注意が求められています。