【プレイバック’95】直接カットして30万円…「髪の毛フェチの店」も登場したブルセラブーム最盛期

女性の髪を“生カット”する男性。彼はこの女性の髪に30万円払ったという(’95年12月1日号)

10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックを今ふたたびふり返る【プレイバック・フライデー】。今回は30年前の1995年12月1日号掲載の『ブルセラ超えた!? 「髪の毛フェチショップ」は“女の黒髪10万円”』を紹介する。

’90年代初頭、女子高生の「援交」とともに流行ったのが「ブルセラ」だった。ブルセラショップでは女子高生の制服、ブルマーをはじめ、ファーストフードやCAなど各種制服(使用済み)を取り揃えていたが、その中心は女子高生にまつわるものだった。下着やスクール水着、ルーズソックス、上履き(すべて使用済み)などから、最たるものとしては唾液や尿を売っている店もあった。この記事で紹介していたのは、「髪の毛」を売っていた店だ(《》内の記述は過去記事より引用)。

パンツは売ってくれても髪の毛は売ってくれない

男性が女性の黒髪にハサミを入れているこの写真は、美容室で撮ったものではない。髪フェチの男性(当時30)がブルセラショップに髪を売りにきた女の子の髪を切っているところだ。やはり、下着のように5000円ほどで買ったのか。記者が聞いてみると──。

《「あなたはフェチをご存知ないですね」と記者にため息をつくのは、東京・渋谷にあるこの店『B』の店長。「これら髪の値段は、最低で10万円から。上限はありません。髪は女の命という言葉どおり、女はパンツは売っても髪の毛はなかなか売ってくれません。一度切ると半年はもとに戻りませんから。週10点ほどは入荷しますが、すぐ売れてしまうんで、この値段でもいつも品薄状態です」》

『B』では、髪の毛とカット前・カット中・カット後の写真に加えて、カットをしているところを撮影したビデオを3点セットにして売っていた。写真のようにお客が自分で女の子の髪の毛を切るのはオプションで、お店側がお客さんと女の子のスケジュール調整をしているという。

ちなみに写真の男性はこの髪の毛を30万円で買ったそうで、すでに11人の髪を切ったという筋金入りのマニアだ。給料の多くを髪の毛につぎ込んでいるそうで、1年に300万円ほど使っているのだとか。

店長の話では高額なのは「中年女性の髪」なのだという。「私なんかのは売れない」と思うのか、なかなか切らせてくれないために購入希望者が殺到。超品薄とのことだった。しかし、マニアにしてみれば、毛なら何でもいいわけではないらしい。

《「今、髪を切っているお客さんのように、自分で女の子の髪を切っていった27歳の男性がいた。女の子が『陰毛もOK』というので、下も剃りはじめたんですが、彼は途中で『やっぱりやめます。コレはボクのテリトリーじゃない』って。マニアにとっては、同じ毛でも、髪の毛以外は興味がないんです」(店長)》

この記事で髪の毛を売った19歳・モデルの女の子は、「髪伸びるの早いし、どうせ切るつもりだったから。カレもこのこと知ってます」と、あっけらかんと語っていた。髪の毛を売るのには年齢や体重制限もないそうだ。最後に、この日髪を入手した30歳の男性に使いみちを聞いてみると……。

《「見て、触って……。そしてもちろん“おかず”にもします」》

やっぱり、そういうことになるのだろう。

ブルセラは店舗からネットへ

ブルセラショップの最盛期には女子高生がその場で脱いだ「生下着」を販売する店もあった。過激なサービスに走る店が現れた一方で、ニッチなサービスも登場する。「髪の毛」の販売もその1つだろう。当時でもあまりないサービスだったのではないだろうか。

「髪の毛フェチ」は実はヨーロッパでは古くから知られた存在だという。19世紀から20世紀前半にかけて長い髪の女性をつけ狙って、髪を刈り取る犯罪が多く存在したらしい。日本での愛好者も一定数はいるようだ。

ブルセラは多くの女子高生たちが小遣い稼ぎのために出入りするようになって社会問題になり、1993年には初めて古物営業法違反容疑で摘発される。その後も青少年保護条例が改正されるなど、18歳未満が出入りできなくなったことで下火になっていった。現在ではブルセラショップは都内でも数軒しか存在しない。

ブルセラショップに取って代わったのがインターネットによる売買だ。ネットでは店だけでなく、個人で売買する者も現れた。’00年代半ばには売る側と客の個人取引を仲介するプラットフォームが出現。その後はSNSによる売買も登場する。個人間での取引ゆえに扱われる“商品”のバラエティは格段に増えており、もちろん“髪の毛”も取引されている。

人間の数だけ嗜好の数は存在するのだ。

この店の常連の髪フェチはおよそ50人。20~50代と年齢も幅広かった(’95年12月1日)
「生カット」はオプションで、店頭や通販で購入する人もいたという(’95年12月1日)