
視線を逸らさせない″無知な絶妙トーク″
寺家「(サグラダ・ファミリアは)140年工事しているけど未完成なんや」
エース「なんでスペインまで行って工事現場見なあかんの? 人足りてないから働かせようとしてるやろ。途中見て楽しいのは、お餅焼いている時だけ!」
これは『M-1グランプリ 2024』(テレビ朝日系)の最終決戦で、お笑いコンビ『バッテリィズ』が披露(ひろう)したネタの一部だ。サグラダ・ファミリアなどの世界遺産を紹介するボケ役の寺家に対し、「無知」なエースがツッコむ。二人の軽妙なやり取りが、視聴者をクギづけにした。テレビの視聴データ分析会社『REVISIO』(以下、R社)の広報/マーケティング担当の安武早織氏が語る。
「最近は高学歴の芸人が考えた、知的でキレイにまとまったネタが多くなっています。『バッテリィズ』が披露するのは、そうした洗練さと一線を画す漫才。無知を前面に出した絶妙なトークが、視聴者の視線を逸(そ)らさせないんです」
主要お笑い賞レースでは『キングオブコント』(TBS系)の決勝が、10月11日に行われた。R社は他にも『M-1』、『THE SECOND』(フジテレビ系)、『R-1グランプリ』(同)、『THE W』(日本テレビ系)で、視聴者がどれだけテレビ画面にクギづけになっていたかを独自調査。年代別に表をまとめた(測定法は下参照)。
「テレビに慣れ親しんだ50歳以上の男女『MF3』層は、どのレースもクギづけ度が高いです。とくに『M-1』や『キングオブコント』は、視聴者でなくプロの審査員がジャッジするので、彼らの判定方法やコメントも注目されるのでしょう。一方でピン芸人の『R-1』グランプリは、20〜34歳の『MF1』層を中心に数値が低い。優勝してもブレイクした芸人が少ないことが、注目度に影響していると思われます」(安武氏)
後編【徹底分析して分かった!視覚効果も注視度を高める要素?お笑い芸人「クギづけ度ランキング」大公開!!】
「お笑い賞レース&芸人」測定法
テレビの前の人々がどれだけ画面を見ているかをR社が独自に調査したのが「クギづけ度」(注視度/注目度)。注視度は画面を見ていた秒数、注目度は画面を見ていた人数を基準に測定している。料理などの作業をしながらの「ながら見」では、画面が見られていないことが多いのでクギづけ度は上がらない。関東で2000世帯(約4800人)、関西で600世帯(約1500人)ほどの協力を受け、視聴者がどのお笑い賞レースやお笑い芸人にクギづけとなったかを独自調査。賞レースは世代別、お笑い芸人は視聴者の注目度が高い『M−1』と『キングオブコント』の’22〜’24年の決勝戦出場者を対象に分析した。「世帯テレビオン率」は視聴率のことを指す
『FRIDAY』2025年10月24・31日合併号より
