作家・鈴木涼美が描く27歳の生と性、初長編小説が話題 どんな話?
作家の鈴木涼美さん この記事のまとめ βAIにより本文を要約しています 鈴木涼美さんの初の長編小説『典雅な調べに色は娘』が刊行されます。27歳のカスミを主人公に、現代女性の「生」と「性」を描いた物語です。書店員から高評価を受け、電子書籍版も近日配信予定です。 河出書房新社は、作家・鈴木涼美さんによる初の長編小説『典雅な調べに色は娘』を12日に刊行する。本作は季刊「スピン/spin」で連載され人気を博した作品で、“夜職上がり“の27歳・カスミを主人公に、現代社会における女性の「生」と「性」を鮮やかに描き出した物語である。全国の書店員からも共感と絶賛の声が寄せられており、新たな女性像を提示する注目の一冊となっている。 長編小説『典雅な調べに色は娘』 本作の主人公は、大手鉄道グループの子会社で広報を担当するカスミ。27歳で祖父のコネ入社、そして“夜職上がり“という経歴を持つ彼女は、先輩女性社員との微妙な友情関係や、SMホテルではしゃぐノリのいい課長補佐、離婚した上司との関わりを持ちながら日々を過ごしている。 さらにカスミの周囲には、不幸自慢を繰り返す経済記者や、彼女を「最後の恋人」にしたいと宣言する鼻毛の目立つ還暦の環境学者など、様々な男性が登場する。そんな気だるい日常を洗い流すように、カスミは新宿のアフターバー「ナスティ・シューズ」に足を運ぶ。 ある日、同じマンションに住む38歳の男性・小宮と出会ったカスミは、何かが始まる予感を覚えるが——。 芥川賞候補にもなった作家が描く「男が喜ばなそうなセックスシーン」 著者の鈴木さんは、『ギフテッド』(2022年上期)と『グレイスレス』(2022年下期)で2期連続芥川賞候補となり、『YUKARI』(2023年度)では三島由紀夫賞候補となるなど、常に高い評価を得ている作家である。 本作について鈴木さんは、「男やお金が嫌いなわけじゃない(でも多分そこまで好きでもない)、感情がないわけではない(でも性愛とか恋愛とか言うとしっくりこない)、計略があるようでちょっと頓珍漢でもある、そんなカスミが男と出会ったり寝たり嫌ったり寝たりするお話です」と説明している。 また、「男が一切喜ばなそうなセックスシーンと、愚かで小股が緩いけど、バカじゃないし弱くもないヒロインを描いてみたい」という思いから執筆に臨んだと明かされている。 本作は発売前から全国の書店員から高い評価を受けている。 TSUTAYA サンリブ宗像店の渡部知華さんは「『その男はやめといた方が…』なんてのはいらん世話! ある意味真っ直ぐで、性へ性へと突き進む! あっという間に読み終えてしまいました」と感想を寄せている。 また、紀伊國屋書店さいたま新都心店の大森輝美さんは「数多の男たちの体を舞台に、これからも鮮やかに自由に!舞ってください」と絶賛。 くまざわ書店調布店の山下真央さんは「恋敵としては絶対に嫌だけど、友達だったら超仲良くなりたいタイプです。カスミ、一緒に長い夜を明かそうよ」と主人公への親近感をコメントしている。 「バカじゃないし弱くもない」ヒロインが紡ぐ、現代女性の「生」と「性」の物語 『典雅な調べに色は娘』鈴木涼美 装丁はミルキィ・イソベ、装画は須川まきこが手がけ、表紙には「まだ0時前、夜は長い」というキャッチコピーが添えられている。 『典雅な調べに色は娘』は、従来の女性像にとらわれない新たな女性の生き方を、率直かつ鮮明に描き出した作品として注目を集めている。電子書籍版も近日中に配信される。 ■鈴木涼美(すずき・すずみ) 1983年7月13日生まれ。東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部卒業。在学中にセクシー女優デビュー。日本経済新聞社で都庁や総務省などを担当。東京大学大学院社会情報学修士課程修了。修士論文は『「AV 女優」の社会学』として書籍化。2022年『ギフテッド』『グレイスレス』( 両作とも「文學界」発表・書籍化)が芥川賞候補、24年『YUKARI』が三島賞候補に。他の主な著書に『娼婦の本棚』『不倫論』『愛と子宮に花束を』『浮き身』『ノー・アニマルズ』など。
