
テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」にレギュラー出演するなど活躍を広げているタレントで昆虫学者の牧田習(29)。「国民的美少女コンテスト」で知られる大手芸能事務所オスカープロモーションに所属する一方で、幼少期から虫オタクで、北大理学部から東大大学院農学生命科学研究科の博士課程を修了した正真正銘の「昆虫博士」だ。面白すぎる“珍イケメン”の成長過程を聞いた。
くりっとした瞳で幼さの残るカワイイ系の美男子。さぞモテた半生を送ったかと思いきや「歩いて虫がいると、そっちに興味が行っちゃって。挙動不審と昔から言われてます」と首をひねった。
牧田が虫と出会ったのは、兵庫県宝塚市で育った3歳のとき。「祖父がミヤマクワガタを虫かごに入れて持ってきてくれたんです。姿が格好良くて、興味が湧いて、のめり込んで」。小学生の間は虫を捕り、育てるだけだったが、中学に入ると標本をつくり、報文や論文を書き、専門誌に成果を発表するまでになった。
「当時、三線(さんしん)を習っていて、中2の夏休みに、石垣島の三線の先生の家に泊まり込んで。10日間、毎日、自転車で倒れるまで虫捕りをしていた。本当に倒れて農家のおじさんにトラックで運ばれたり…」
ぶっ飛んだ少年時代ながら、中学受験で大阪の名門、清風中学に進学。北大に進む道は、北海道への修学旅行から始まる。
「他の子が牧場とかに行っている間に、先生が僕だけ虫捕りをする時間を作ってくれて」。本州とは違う虫と出会い「ここで虫捕りをしたい!」と北大受験を決意した。そして「勉強は好きじゃなかったけど」と虫捕りのための受験勉強を開始。2年半、猛勉強の末に難関の北大理学部に見事、合格した。
入試本番では奇跡もあった。「センター試験で大失敗。親や先生からも別の大学を勧められたけど『北大に行くって決めてるから』と」無謀に出願。すると「生物の試験問題になんとクワガタの問題が出たんです」。運命を引き寄せ、晴れて“北海道での虫取り権利”をつかんだ。
入試科目的に最も受かりやすかった理学部数学科に入ったものの、虫にしか興味がないため、授業はサボりっぱなし。「昆虫の研究室には入り浸って、論文だけは黙々と書いている…みたいな」と学生生活を省みた。それでも虫研究の最高の環境が整う東大大学院を志望。大学受験と同じ突破力で院試に合格した。
北大時代には、テレビで魚類博士のさかなクンを見て「虫版のさかなクン」を志し、オスカーに履歴書を送り採用。現在はタレントと昆虫博士の二刀流で活躍している。現在はメディアや著書を通じて、虫の素晴らしさを伝えている。
強烈な個性と学歴、そして無自覚なイケメンを兼ね備えた、感じのいい青年。親の教育法については「のめり込んだものについては頑張れ!って応援してくれたけど『勉強は頑張っておいた方がいいよ』と言われた」と振り返る。
「僕はめちゃくちゃに生きているようで、大学とかある程度の環境を手に入れたことで許されたと思うので」と話す牧田。大胆なようで、したたかに。自然を生き抜く虫の生き様を人間界で体現していく。
◇牧田 習(まきた しゅう)1996年10月14日、兵庫県生まれ。大阪・清風中高から、北海道大学理学部数学科卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻博士課程修了。一方で2018年にオスカープロに入所し、タレントに。NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」、テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」にレギュラー出演。「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)など著書も多数。