クマで被害の温泉施設が営業再開へ 露天風呂は閉鎖 代表が決断への思い語る 岩手県北上市

10月に従業員がクマに襲われ死亡する事故が起きた岩手県北上市の瀬美温泉が、安全対策を進めたうえで、11月7日に営業を再開することになりました。
悲しみの中、決断に至った思いを代表の男性に聞きました。

休業が続く北上市和賀町岩崎新田の温泉旅館・瀬美温泉。
代表取締役の岩本和裕さんは、長年利用してくれた客や従業員のため、11月7日から営業を再開することを決断しました。

瀬美温泉代表取締役 岩本和裕さん
「温泉自体は悪くないので、続けられる限り続けていきたい」

瀬美温泉では10月16日、従業員の笹崎勝巳さん(60)が露天風呂の清掃作業中クマに襲われ、翌日、近くにある林で遺体で見つかりました。

それ以降、瀬美温泉では笹崎さんを失った深い悲しみに沈んでいましたが、休業していても発生する多額の維持費がのしかかる状況となっていました。

こうしたなか、岩本さんは目玉の一つだった露天風呂は閉鎖する一方、内湯の利用に限定するなど野生動物への対策を進めた上で、11月7日から当面、宿泊客だけを受け入れることにしました。

瀬美温泉代表取締役 岩本和裕さん
「『やめた』というのは簡単だけど、続けていればおそらく浮かばれる。笹崎さんやここに携わった人たちが」

5日は営業再開を決めた後、初めての宿泊予約が入り、岩本さんは感謝の思いを口にしました。

瀬美温泉代表取締役 岩本和裕さん
「ありがたいですよね、ありがたい」

瀬美温泉は今後、野生動物への対策をさらに進めるため、施設の一部に鉄格子や防犯カメラの設置を検討していて、利用客の安全確保に努めていくとしています。