クマの出没が相次ぐ中、北海道のヒグマ対策に関する専門家会議が行われた。
人里への出没を防ぐために、冬眠から明けたいわゆる「春グマ」の捕獲についても話し合われた。
ヒグマ対策の専門家会議―「春グマ」も議題に
11月5日に行われた北海道のヒグマ保護管理検討会では、2025年度に発生した人身事故について報告があった。
それによると、これまでの北海道内での発生件数は5件。
2人が死亡し、4人がケガをしている。

10月24日には札幌市西区で、市町村の判断で発砲が可能となった「緊急銃猟」が北海道内で初めて実施された。
会議では、2月から5月にかけて冬眠から明けたクマの「春期管理捕獲」についても話し合われた。

「積極的に取り組む市町村が非常に少ない。徐々に少なくなっていくのが容易に予想される。このままではまずい」(北海道大学大学院 宮内 泰介 教授)

春グマ駆除の変遷
北海道は1966年から被害を未然に防ぐため冬眠明けの春グマ駆除を行ってきたが、個体数が減ったことから1990年に廃止した。

その後、出没が多発したため2023年から「春期管理捕獲」を実施。
残雪にクマの足跡や痕跡を見つけやすく、人への警戒心を植え付け出没を抑制する効果があるという。
2025年は22頭が捕獲され、2023年以降最多に。

「北海道内で初めて緊急銃猟がされた事例からおよそ2週間がたちました。クマが駆除された公園では、いまだに立ち入り禁止の規制線が張られていて閑散としています」(八木 隆太郎 フィールドキャスター)

付近の住民はクマの駆除について。
「駆除は仕方ないと思う。クマが人に危害を与えるので」
「難しい問題。個体数も増えているのだろうが」(いずれも付近の住民)

春期管理捕獲の参加は減少傾向に
2025年にクマの「春期管理捕獲」を実施した自治体は48市町村で、1700人あまりが参加した。
いずれも前の年を下回っている。

その大きな要因が。
「努力はしているが、人材の確保が課題。制度を広めていく必要がある」(北海道の担当者)
「春期管理捕獲」に携わるハンターが少ないという。
クマを人里に寄せ付けないために有効な、この制度を維持するためには。

「従事者への報償費のような経済的な補助は行政が努力しているが、捕獲することに対してインセンティブが低い状況がある。それを根本的に考えていかなければならない」(酪農学園大学 佐藤 喜和 教授)
今後の春の捕獲のあり方が注目される。
