高配当を謳い、無登録で株式の購入を勧誘した疑いで東京都の会社役員の男ら3人が逮捕された。全国約900人から110億円を集めたとみられている。福岡の出資者が手口の実態を明かした。
「メタモ社は証券取引所に上場する」
金融商品取引法違反の疑いで逮捕、送検されたのは、AIスマートカメラの開発などを謳う会社『メタモ』の代表、佐藤由太容疑者(41)だ。

警察によると佐藤容疑者は、他に逮捕された飯塚裕子容疑者(67)、越田一徳容疑者(61)と共謀し2021年、福岡県内に住む女性など4人に対し、国の登録を受けずにメタモ社の株式の購入を勧誘した疑いが持たれている。

その謳い文句は『将来的に何百倍にもなって利益が出ます!』というもの。

佐藤容疑者ら3人は、被害者4人に対し「将来、メタモ社は証券取引所に上場する。何百倍も利益が出る」などと謳って、合計1000万円を集めたという。
900人以上から集めた金額 約110億円
メタモ社の代表、佐藤容疑者とは、いったいどんな人物なのか。

メタモのホームページによると佐藤容疑者は、2017年に東京でメタモ社を設立。創業から僅か2年で、海外に拠点を開設するなど事業を拡大したと記されている。起業家を自称していた佐藤容疑者は、自身の考えや想いをインターネットで公開していた。

佐藤容疑者のウェブサイト『note』には「経営は社長に責任がある。これは間違いない。起業家は出資者を恨むことをしない方が幸せになると思う」(2020年1月16日)や「天の邪鬼かもしれないが、僕は社内で『社長』と呼ばれるのを嫌う。普段の業務の中で『佐藤社長』と呼ばれると、時の流れが一瞬だけ止まったように感じる。社長は社長として堂々と胸を張っているべきなのだろうか」(2020年8月30日)などと記載されていた。

起業家としてどうあるべきかなどの悩みも綴っていたとみられる佐藤容疑者。警察によると佐藤容疑者らは、メタモ社の設立から2年後には、全国の投資家に向けたセミナーを開催し「グループ会社が国際企業に買収予定なので、メタモ社の株価も将来的に何百倍にもなって利益が出ます!」などと謳って、全国の900人以上から株式の取得名目などで約110億円を集めていたとみられている。
福岡県内在住の40代男性は
メタモ社に出資した福岡県内に在住する40代の男性とコンタクトを取ることができた。
40代の男性は「『株式を上場する』と。まだ公開されていない株式を譲渡します。『公開される時はある程度の倍率になる』(と言われた)。出資額は、およそ1000万円です」と話す。さらにオンライン上で佐藤容疑者からも説明を受けたという。

「かなり信憑性が高い、手の込んだ、登場する会社の名前とか…。あんまり疑うようなことはなかったですね。佐藤容疑者は、東京大学とかJAXAとか、プロフィールに書いてあったが、よくよく聞くと虚偽だった。そういうデータも信憑性を高めることに拍車をかけたのかなと思う」(40代・県内の出資者)。そして―。

『メタモ社の株式を購入したが、連絡が取れなくなった』

2021年10月、別の出資者の男性がメタモ社の株取引について大牟田警察署に相談したことから事件が発覚したという。警察は3人の認否を明らかにしていない。

警察は、全国の出資者から集めた資金の流れなど実態の解明を進めるとともに詐欺容疑も視野に捜査している。
(テレビ西日本)