殴るたたく、口に押し込む…2カ月で98件の虐待 “不適切保育”の保育園で3回目の説明会 多くが2人の保育士に集中 福岡・田川市

福岡県田川市の保育園で保育士10人が園児に虐待など「不適切な保育」をした問題をめぐり16日、3回目の保護者説明会が開かれました。

2カ月間で100件近い虐待が行われていたことが明らかになりました。

◆記者リポート
「保護者説明会が開かれています」

田川市の松原保育園で16日に開かれた保護者説明会。

◆出席した保護者
「前回の説明会は、全く話が分からないというか。他の保護者も誰1人と『納得しました』っていう保護者はいないと思います」

3回目は、警備員が配置されるなど厳戒態勢が敷かれました。

この保育園ではこれまでに14人いる保育士のうち10人が、園児を殴ったり叩いたり口に食べ物を強引に押し込んだりする身体的な虐待行為を行っていたと県が認定しました。

園側は保護者説明会を2回開きましたが、いずれも紛糾しました。

◆以前の説明会での保護者の発言
「どんだけ頭にきとうか分かっとうね!ふざけるな、ほんと!」

「口の中に食べ物を詰められて、『おえおえ』って言っているところを、後頭部叩かれたらどう思いますか!それを見た私たちはどう思いますか!」

「不安に思っちょる保護者がここに集まっちょんよ!正直、腹が立つ!」

3回目で保護者への説明責任は果たされるのか。

◆理事長(16日の説明会)
「大変、心よりお詫びを申し上げます。大変申し訳ございません」

理事長の陳謝で始まった16日の説明会では、県と田川市から11月20日までの提出を求められている改善報告書の内容が明らかにされました。

◆弁護士(16日の説明会)
「確認された『不適切な行為』、これは全部でこの園の中で2カ月間だけなんですけれども、132件ありました。毎日1.5回っていう数になります」

2カ月間で確認された132件の「不適切な行為」のうち、虐待にあたるものが98件、不適切保育にあたるものが34件あったというのです。

さらに…。

◆弁護士(16日の説明会)
「全体の74.2%ですから、約4分の3が保育士Aと保育士Bの2人によるものだったということになります」

132件にのぼる「不適切な行為」のうち98件が、すでに懲戒解雇となっているAとBの2人の保育士によるものだったことも明かされました。

◆弁護士(16日の説明会)
「私たちの調査の範囲では保育士AとBは明らかに質が違う。ビデオを見る限りひどい」

また、「不適切行為」のほとんどが給食の時間中だったということです。

この調査結果を受けて弁護士は改善案として、
▽外部研修の実施
▽給食の完食義務の廃止
▽現場をとりまとめる保育士の採用
▽1クラス2人担任制の導入
などをあげました。

◆弁護士(16日の説明会)
「園と保育士と保護者が一体一丸となって園児の皆さんを見守って保育する、こういう意識、そして仕組みを作っていく」

約2時間半にわたる説明を聞き終えた保護者たちは…。

◆説明会に出席した保護者
「『何のための保護者会をやったん?』って私は思うんですよね。時間の無駄」

「園?なんにも求めません。つぶれてください」

「ここはつぶれてほしいけど、保育園の行き場を探してほしい」

一方、園の理事長はTNCの取材に対し…。

Q.どういう対応を考えている?
◆松原保育園 理事長
「大変ご迷惑をおかけしております。弁護士などにもご相談してやっていますので」

Q.責任の取り方は?
「県が終わらないと…」

園は、改善報告書を11月20日までに福岡県と田川市に対して提出する予定です。