
「こんな形でキャリアを終えてしまうなんて…」
国民的大女優、(50)が表舞台から姿を消して久しい。
『文春オンライン』によると、8月20日に、麻薬取締法違反容疑で厚労省関東信越厚生局麻薬取締部、いわゆるマトリの家宅捜索が米倉の自宅マンションに入り、違法薬物と使用器具を押収したという。以来、彼女は予定されていたイベント出演をすべてキャンセル。SNSの更新も途絶え、もはやその消息すらも知れない。また、薬物事件の続報も文春報道以降はなく、捜査が進展しているのかどうかも不明。ファンをやきもきさせる結果となっている。
このままだと米倉は俳優生命を終わらせてしまうのではないか──。事の真相は杳として分からないものの、仕事で彼女の人柄を垣間見てきた人たちからは、「あんなに頑張ってきたのに、こんな形でキャリアを終えてしまうのだとしたらあまりにも気の毒」という声が多く聞こえてくる。
あるベテランライターは、20年以上前に彼女から聞いたある言葉が忘れられないという。
「当時の米倉さんは30歳前。まだ『黒革の手帳』(’04年・テレビ朝日系)で新境地を開く前で、アイドル女優の印象が強かった。だから彼女自身も焦りを感じていたのでしょう。結婚や出産についてどう考えているのか伺ったとき、『今は産めない、今は産めない』と何度も繰り返したことを強烈に覚えています。今、出産で仕事がストップすれば、簡単に他に取って代わられると痛いほど感じていたようでした。
でも39歳で駆け込むように結婚したことを見ると、決して願望がなかったわけではないと思うんです。その後離婚をしてからは、吹っ切れたように、さらに仕事に邁進していきましたよね。そんなふうに、いろんなものを犠牲にして必死の思いで築いたキャリアだっただけに、こんな形で突然終わってしまうのかと思うと気の毒で気の毒で……」
「これから一回りも二回りも大きくなる人」
彼女の飾らない人柄も、関係者たちに、そのキャリアの突然の終わりを嘆かせる理由の一つになっているようだ。
「いくつかの記事でも書かれているように、米倉さんはイメージと違って、決して“強い女性”という感じではありません。あれだけの容姿を持っているのに自己肯定感が低く、インタビューでもコンプレックスばかり吐露するんです。それも謙遜という感じではなく、『美脚なんかじゃない、O脚だし、ひざ下だって短いし』などと、かなり生々しいことを言う。
米倉さんは正直な人で、こう言っては何ですが、ちょっと迂闊なところもあるというか。適当なきれいごとで自分を取り繕えず、つい本音をさらけ出してしまう。こちらが、そんなこと話しちゃって大丈夫? と心配になるくらいです。そんな真っすぐで、どこか不器用な彼女の生きざまをずっと見てきたので、今回のことは本当に悲しくてなりません」(別のインタビューライター)
メディア研究を専門とする同志社女子大学教授の影山貴彦氏も「このままいなくなってしまうとすれば、本当にもったいないです」と語る。
「米倉さんについて教え子の学生に聞くと『画面に画力(えぢから)があります』『女性として尊敬してます』と言います。米倉さんは、これまでいろんな逆境がありながらも、立ち上がって人生を切り拓いてきた人で、そのありのままを視聴者や観客に見せてきた人だと思います。だからこそ、米倉さんの演技には代えがたい爽快感がある。
とくに『ドクターX』(テレビ朝日系)では内山聖子プロデューサー、脚本の中園ミホさんとの女性3人の力があったからこそ、権力に右往左往する男たちの中で活躍する一匹狼の米倉さんの演技が、より爽快感を生んだのでしょう。そして教え子の言葉にもつながっていくのだと思います」
『私、失敗しないので』がフィーチャーされがちな『ドクターX』だが、影山氏は別の点に米倉の魅力を感じるという。
「僕が大好きだったのは、手術を終えて、患者がまだ麻酔で眠っているときに、患者の体に触れながら、じっと顔を愛おしそうに見つめるというシーン。動と静でいえば静のですね。
また、これからの米倉さんのさらなる可能性が垣間見えたのが『エンジェルフライト』(Amazon Prime
Video)でした。同作品では、部下の松本穂香さんをフォローしたり見守る役柄で、これまでの周りを気にせずに突き進むイメージだった米倉さんが、いい意味で速度を落として、周りをしっかり見ながら人を思いやるといった演技を見せていた。それは50代を前にした米倉さんの可能性を感じるものでした。まだ女優として、これから一回りも二回りも、大きくなられる方だと思います」
“ガサ入れ報道”の真相はいまだ闇の中。我々にできることは、ただその口から真実が語られるのを待つことだけだ。しかし、彼女がこのままいなくなってしまうには惜しい女優であることは確かなようだ。
※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。
情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips
公式X:https://x.com/FRIDAY_twit
取材・文:奈々子