尾上左近が来年5月に三代目尾上辰之助を襲名「継がせていただくからには生涯を掛けて芸道に精進」 父・松緑は「呪縛に捕らわれずに自由な辰之助を作って」と期待

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 歌舞伎の尾上左近改め三代目尾上辰之助襲名披露の記者会見が21日、東京・銀座で開かれ、来年5月に東京・歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」で三代目尾上辰之助を襲名する尾上左近(19)、左近の父の尾上松緑(50)、七代目尾上菊五郎(83)、松竹の山根成之副社長が出席した。

 左近は「祖父が初めて名乗りまして、父が若くして名乗り、命を懸けて守りつないでくれた、私にとって大切な名前。継がせていただくからには生涯をかけて芸道に精進し、一生懸命歌舞伎に打ち込んでまいります」と辰之助への思いを吐露。祖父の初代辰之助さんは自身が生まれる19年前に死去しており、「憧れでヒーローのような存在ですけれども、その分自分の色を出していける、そのような道を歩んでいきたい」と述べた。

 襲名の演目と役は代々の辰之助の襲名狂言「寿曽我対面」の曽我五郎、「鬼一法眼三略巻 菊畑」の虎蔵。「『寿曽我対面』の五郎というお役は祖父も父も襲名で演じている役ですので、この演目で襲名したいという気持ちは強くありました。父にしっかり習い、この荒事を汚さぬよう精いっぱい勤めたい。虎蔵は個人的に好きな演目、好きなお役でございまして、菊五郎のお兄さまに教えていただき、精いっぱい勤めたい」と話した。

 松緑は「二代目松緑、初代辰之助の加護が彼にはあるのかな」と語り、「曽祖父(二代目松緑)、祖父の足元に一歩でも近づけるような役者になってもらいたい。呪縛に捕らわれずにがんじがらめにならずに自由な辰之助を作っていってもらいたい」と期待を寄せた。

 初代辰之助さんとは「兄弟というか大親友」の間柄で、初代辰之助さんが40歳の若さで死去した後は松緑の後見人だった七代目菊五郎も「今の研究熱心勉強熱心を忘れずに、ゆくゆくは祖父、父に勝るとも劣らない立派な辰之助像を作ってもらいたい」とエール。

 左近を「ホントに新種ですよ、新種というか珍種。親にもおじいちゃんにも似てない。新種ができた」と評し、「何しろ(女形の)若いのは少ないですからね、育ってくれて本当にうれしい。私みたいに両方できる役者になりたいということを言っておりますのでね」と、立役、女形の両方での活躍を願った。