歌舞伎俳優の四代目・片岡亀蔵さんが火事で亡くなりました。64歳で、一酸化炭素中毒が原因とみられます。名脇役として知られ、同業者からも哀悼の意が寄せられています。妻は元アナウンサーの中村明美さんです。
歌舞伎俳優の四代目・片岡亀蔵(本名・片岡二郎)=東京都文京区=が24日、東京都足立区の菓子工場兼住宅で起きた火事で死亡していたことが分かった。64歳だった。死因は一酸化炭素(CO)中毒だとみられている。
亀蔵さんは、知人宅である現場を訪れていた。他に煙を吸った住民の60代男性1人も搬送された。いったい何があったのか。
火災について、警視庁竹の塚署などによると、24日午前4時ごろ、足立区東伊興3丁目の3階建て菓子工場兼住宅で「3階から煙が出ている」と近隣住民から119番があり、建物の一部が燃え、約2時間後に消し止められた。3階で亀蔵さんが倒れており、搬送先で死亡が確認された。署が出火原因を調べている。
署や東京消防庁によると、搬送された住民男性は兄との2人暮らしで、兄は出火時に2階におり、逃げて無事だった。亀蔵さんと住民男性が3階にいて、いずれも一酸化炭素(CO)中毒になったとみられる。
亀蔵さんは1965年、本名の二郎で初舞台。大きな目に面長の役者顔、よく通る声で知られ、歌舞伎に厚みを加える名脇役で、今年12月には京都・南座の吉例顔見世興行に出演予定だった。
最後の舞台は今年10月名古屋・御園座「京鹿子娘道成寺」所化妙念坊、「鼠小紋春着雛形」辻番与惣兵衛などだった。
亀蔵さんは、自身のブログ「松島屋ないまぜ帖」を24日付で更新していたが、公式サイトでは、「【令和7年11月24日片岡亀蔵は急逝致しました。本人に代わりまして生前に賜りましたご厚誼に心より御礼申し上げます。お問合せ等は歌舞伎座宣伝へお願い致します】」と亀蔵さんの急逝が伝えられている。
松竹も歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」で、「 歌舞伎俳優の四代目片岡亀蔵<かたおか かめぞう、本名:片岡 二郎=かたおか じろう>さんが、11月24日(月)、ご逝去されました。64歳。謹んでご冥福をお祈りいたします」とコメントを発表した。
俳優、笹野高史(77)は24日、自身のX(旧ツイッター)で、「なんてことだ、どうしてこんな、、、。片岡亀蔵さんよぉ、そんなあっけなくいかないでくれよー!」と吐露。
歌舞伎俳優、坂東彌十郎(69)も自身のブログで、「間違いであることを祈ります」「えっ二郎ちゃん 嘘でしょ」「二郎ちゃん ダメだよ~」などと言及した。
歌舞伎俳優、片岡孝太郎(57)も自身のブログで、「信じられません」「数日後に稽古で会うはずが、 ただ真実を受け止め 皆んなで力を合わせ乗り越えていきます」と反応。
歌舞伎俳優、市川門之助(66)も自身のブログで、「亀蔵さん 本当ですか? 天国へ行っちゃったって、冗談じゃ無いんですか? 55年前初めて舞台でご一緒したこと、よく覚えています」「この喪失感は、ちょっとだけ世界が欠けたような大切なアルバムが引きちぎられたような虚しさです心よりご冥福をお祈り申し上げております」と追悼した。
亀蔵さんは24日のブログでは、「モジュラージャケット」と題した記事で、「#美術展ナビ取材の際はニューヨーカーさんに衣装協力をお願いしている。プレス担当のO氏が展覧会のイメージに合わせて洋服をコーディネイト」「次回の美術展ナビは 『大絶滅展』で 監修の先生による解説付き。 先生に失礼になってはいけないからと このモジュラージャケットを選択。 12月に入ったら配信されると思うので ご期待ください。 by 亀蔵」などとつづっていた。
22日には、東京ドームで開催された「ミスタージャイアンツ長嶋茂雄さん『お別れの会』」を訪れたことを明かし、「読売巨人軍終身名誉監督で今年6月に89歳でご逝去。物心ついてからずっと長嶋ファンだったので純粋におまいりしたかった」「大きなプロジェクターの中央に笑顔の長嶋監督が。感謝の気持ちを伝え監督のご冥福を祈って手を合わせた」と記していた。
亀蔵さんには、同じく青山学院出身で、この校友会のパーティーで知り合い結婚した、元福岡放送(FBS)のアナウンサーの妻、中村明美さん(56)がいる。
■片岡亀蔵(かたおか・かめぞう) 本名・片岡二郎。1961年9月15日生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優。妻は元福岡放送(FBS)のアナウンサー、中村明美さん。1965年に歌舞伎座で初舞台を踏み、1969年に四代目片岡亀蔵を襲名した。時代物や世話物の脇役で知られ、圧倒的な声量とコメディセンスを発揮。国立劇場奨励賞や歌舞伎座賞などを複数回受賞し、伝統歌舞伎保存会会員としても活躍。歌舞伎界きってのゾンビ映画マニア。
(zakⅡ編集部・小野田聡)




