【全文】販売会社「売り上げ金を持ち逃げされた」…元『ジャンポケ』斉藤慎二に金銭トラブル勃発

11月上旬、埼玉県春日部市でバームクーヘンの販売を行っていた斉藤

「いつまで経っても振り込まれない」

「不同意性交と不同意わいせつで書類送検された際、彼は涙ながらに『食い扶持がなくて困っている』と我々に相談してきたんです。彼のそんな姿が不憫で“少しでも生活費の足しになれば”と有志でバームクーヘン販売業のT社を立ち上げました。ところが……そんな僕たちの好意を彼は踏み躙った。決して許すことはできません」

バームクーヘンの販売事業を行うT社の現役社員であるA氏は、怒りを押し殺しながら記者にそう打ち明けるのだった。

昨年10月、元『ジャングルポケット』の斉藤慎二(43)は吉本興業から契約を解除され、表舞台への復帰は困難となった。そんな斉藤が今年4月からバームクーヘンの販売業で生計を立てているのは周知の通り。

だが、斉藤の再起のために起業した「恩人」であり「拠りどころ」であるT社を、斉藤は裏切ったというのだ。

A氏が業務委託契約書を手に訴える。

「バームクーヘンの販売利益を、T社と斉藤で折半するという契約でした。売り上げは悪くなかったのですが、10月8日と9日に福岡で売り上げた約160万円とレジに入っていた釣り銭の準備金が、いつまで経っても会社の口座に振り込まれなかったのです。

福岡での売上金は一旦、斉藤の個人口座に振り込まれ、そこからT社口座に送金。売り上げ報告は斉藤が担当し、精算はT社が担当。売り上げから経費などを差し引いた利益の半額を報酬として翌月末に支払うーーという約束になっていたのですが、催促しても返答がなく、いまだに彼が160万円を持ったまま。こちらからすれば、売り上げを持ち逃げされたも同然です」

斉藤とT社が結んだ業務委託契約書の一部

なぜ、斉藤は売り上げを送金しなかったのか。後日、彼の代理人弁護士からT社に対しこんな趣旨の連絡があったという。

〈支払われるべき報酬の一部が未払いになっており、今後の報酬も未払いとなる懸念が生じた。したがって、この問題が解決するまで、売上金を一旦、斉藤氏の手元に留め置いている〉

A氏が憤る。

「斉藤への未払いは一度もありません。それどころか、斉藤がカネに困っているのを見かねて報酬の前払いをしてあげていたんですよ。損益計算をして経費を引いた額を折半して報酬とするので、前払い金の領収書が必要なのですが、彼は一向に提出しない。言っていることとやっていることが全然違うんです」

だがその後、斉藤が取った行動は、T社社員の感情を逆撫でするものだった。

「金銭トラブルが解決していないにもかかわらず、斉藤は10月末からT社を通さずにバームクーヘンを仕入れて、個人で販売を始めたのです。中身は同じで、商品名やパッケージのデザインだけを変えて。悪質ですよ……」(A氏)

にわかには信じがたい話だが、T社は本誌取材にこう回答するのだった。

「斉藤氏と金銭トラブルが起きているのは事実です。業務上横領の罪として警察に被害届を提出する予定です」

斉藤側も徹底抗戦

一方の斉藤に持ち逃げ疑惑を質すと、代理人弁護士同席のうえでこう答えた。

「福岡でのバームクーヘンの売上金約160万円が私の手元にあるのは事実です。ただ、それは8月分と9月分の報酬が支払われていないからです。この売上金をT社に送金したところで報酬は払われないだろう、という不安が強くなったので、問題が解決するまでは160万円を送金しないと決めたのです。私の手元にあるのは売上金だけで、レジの準備金は預かっていません」

斉藤の代理人弁護士が補足する。

「10月の福岡での販売を除き、バームクーヘンの売上金はT社が管理していました。しかし、T社は8月以降の売上金や経費の内訳を明らかにしていません。売上金や経費の詳細がわからなければ、斉藤さんの報酬がいくらになるのか我々にはわからない。未払い以前の問題なのです。だから我々はT社に対し、売上金や経費の内訳をすべて開示するよう依頼しているのですが、応じてもらえません。

ですから、こちらは同時履行の抗弁権(契約の相手方が債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことが認められる権利)に基づき、売上金を斉藤さんの手元に留め置いているのです。あくまでも留め置いているだけなので、横領という指摘は当たらない。斉藤さんの行為が法的に咎められる理由はありません」

10月末から個人で同じバームクーヘンを販売していることについては、こう反論する。

斉藤が現在販売しているバームクーヘン。T社と共に販売していた商品とは、名前やデザインが異なる

「T社と交わした契約書には、競業避止義務(企業の利益を損ねる競業行為を行わない義務)の記載がありません。また、T社と販売していたバームクーヘンと混同しないよう、商品名も変えて販売している。こちらも法的に問題はありません」(斉藤の代理人)

徹底抗戦の構えを崩さないなか、取材の終盤、斉藤本人はT社への思いをこう吐露した。

「自分のためにバームクーヘンの事業を立ち上げてくれたおかげで、今こうして表に出ることができた。その点はT社に感謝しています。だからこそ、未払いがあっても我慢していた。でも、時間が経つにつれて、いつまで我慢すればいいのか、このまま未払いが続くのか、と不安が大きくなっていったんです……」

両者の主張は真っ向から食い違う。確かなのは、またも斉藤が大トラブルを抱えたということ。再起への道のりは今後も険しそうだ。

『FRIDAY』2025年11月28・12月5日合併号より