『酒のツマミ』終了問題の水面下で…フジテレビがまた一つ抱えることとなった大きな〝憂鬱〟

『酒のツマミ』が終了となるまでのウラには何があったのか……?(’20年7月10日号より)

不可解だった「番組差し替え」

〈ノブとも話し合った結果、酒のツマミになる話、やめまーす〉

10月31日に放送された千鳥がMCを務めるトークバラエティー番組『酒のツマミになる話(以下、酒のツマミ)』の冒頭で、番組からの降板を決断したことを明かしたのはお笑いコンビ『千鳥』の大悟(45)だ。

コメントの最後に〈はい、それでは面白くなければテレビじゃない、フジテレビ。ありがとうございました〉と、フジテレビが黄金時代に掲げたキャッチフレーズ《楽しくなければテレビじゃない》を盛り込んで、皮肉を交えて視聴者に番組終了を伝えたのだった。

同番組が終了発表に至った事の発端は、前週10月24日に放送された同番組の放送内容が差し替えられたことだった。

「前週の予告編でも流れていたのですが、24日の放送回ではハロウィンにちなんで大悟が、『ダウンタウン』松本人志(62)を想起させるような金髪&ムキムキのコスプレを披露していました。ところが、このコスプレが局内で問題視され、急遽、過去の放送回に差し替えられることになったのです。

昨年のハロウィンの時期にも、大悟は松本のコスプレを披露していました。同時期に松本は『週刊文春』の一連の報道を巡って訴訟を起こしていたにもかかわらず、その映像は普通にオンエアされていました。それなのに今回番組が差し替えられてしまったことはあまりに不可解でした」(スポーツ紙記者)

同番組は松本がMCをつとめていたが、昨年1月に訴訟に専念するため活動を休止したことを受け、『人志松本の酒のツマミになる話』から2月9日に改題されて、松本が座っていたMCの席に大悟が座ることとなった。

「大悟さんは事あるごとに、『松本さんが戻ってくるまで、この番組を守る』と口にしていたそうです。そんな思いを抱えているからこそ、視聴者に松本さんの存在を印象づけるためにコスプレを披露したのでしょう。それが原因で番組が差し替えられたことには忸怩たる思いがあったのではないでしょうか」(フジテレビ関係者)

『酒のツマミ』の内容が差し替えられた10月24日というタイミングは、11月1日に独自の課金制プラットフォーム『DOWNTOWN+』で松本が表舞台に復帰する直前とあって話題になった。差し替えから放送に至るまでに水面下ではこんな動きがあったという。

誰が「差し替え問題」をリークしたのか

「フジが吉本側に差し替えを伝えたのは、番組放送当日の夕方だったそうです。吉本側は大慌てですぐにフジ側と、差し替えを止めるべく話し合いを重ねましたが、フジ側はまったく取り付くシマもなかったようです」(芸能事務所関係者)

そして一部のメディアが放送内容の差し替えとその理由が〝松本のコスプレ〟であることを報じると、続々と各スポーツ紙やWEBメディアがその件を報じたのだ。

「実は、まだ番組差し替えについて話し合いをしていた24日夕方の段階で、複数のメディアが番組が差し替えられること、その原因が大悟のコスプレであることを把握していました。まだ話し合いをしている段階で、外部にそれだけの話が漏れているような体たらくでは、吉本側がフジに対して不信感を募らせても仕方がないでしょう」(同前)

そして、フジは31日の放送前に『酒のツマミ』の終了を正式発表。終了に至ったのは、『千鳥』の意向だけではなかったという。

「日本テレビは、先日の定例会見で松本さんが出演した自局の番組の過去のアーカイブを『DOWNTOWN+』に提供することを明らかにしましたが、フジテレビでも提供を申し出ていたのです。それにもかかわらず、松本さんのコスプレはNGというちぐはぐな対応。松本さん本人もあきれ果てたようで、『もう(自分の関連番組を)引き上げてええんちゃう』と吉本側に進言したそうです。『千鳥』もその意向を受けて、終了が決定したようです」(前出・フジテレビ関係者)

そして、フジテレビ局内で憂慮され始めているのが『酒のツマミ』終了の今後の余波だという。

「『千鳥』はうちで『千鳥の鬼レンチャン』と『すぽると!』に出演していますが、どちらの番組も降板する可能性が浮上しました。それに伴い、ほかの吉本芸人たちもフジテレビの番組から〝撤退〟する可能性が危惧されています。大みそかにはバラエティー番組『新しいカギ』の特番を放送予定です。同番組のメインには『霜降り明星』『チョコレートプラネット』といった吉本芸人が出演しているだけでなく、制作にも吉本が加わっている。吉本なしでは成り立ちません」(同前)

はたして、今後吉本の芸人がフジテレビから〝撤退〟してしまう可能性はあるのだろうか。前出の芸能事務所関係者は次のように話す。

「吉本という組織としては、個々の番組に対して表向きはフラットな関係で接していくものと思われます。ただ、芸人のほうがフジテレビに嫌悪感を持つと、これまで通りの関係でいるのは難しいかもしれません」

フジテレビはまた一つ、大きな悩みを抱えることになってしまったようだ。

深夜の恵比寿を千鳥足で歩く大悟と『三四郎』相田周二(右)、『インディアンス(現・ちょんまげラーメン)』田渕章裕(左)(’18年5月4日号より)