【まとめ】立花容疑者とはどんな人物なのか?地方選挙や国政選挙に次々出馬し“型破りな選挙戦” 兵庫県知事選挙の『二馬力選挙』をきかっけに激化したSNSでの攻撃

死亡した元兵庫県議会議員の男性への名誉毀損(きそん)の疑いで、9日「NHKから国民を守る党」の党首、立花孝志容疑者が逮捕されました。

SNS上での数多くの“攻撃”。

また、兵庫県知事選挙で物議を醸した立花容疑者のこれまでの言動を振り返ります。

■「NHKをぶっ壊す!」元NHKの経理職員として“内部告発”から始まった政治活動

【記者リポート】「立花容疑者を乗せた車が出てきました。正面を向いていて、歯を見せて笑っています」

捜査車両が報道陣の前を通る間、ずっと笑顔を見せ続けたのは、NHKから国民を守る党の党首、立花孝志容疑者(58)。

兵庫県議会議員だった竹内英明さん(当時50)について、生前と死亡後、「逮捕される予定だった」などと、街頭演説などで、名誉を毀損した疑いがもたれています。

そもそも立花容疑者とはどのような人物なのでしょうか。

【立花容疑者の公式YouTubeチャンネルより】「NHKをぶっ壊す!」

9年前の東京都知事選挙。

【立花容疑者の公式YouTubeチャンネルより】「約20年間、NHKの経理職員をしておりました。私がNHKを退職した理由は、NHKの不正経理を週刊文春で内部告発したからです。NHKをぶっ壊す理由、NHKの職員の給与が高すぎます」

政見放送で古巣を批判したことで注目が集まりました。

■東京都知事選ではポスター掲示枠を1万円で販売

その後は、地方選挙や参議院選挙に次々と出馬します。

【NHKから国民を守る党・党首 立花容疑者(2019年参院補欠選)】「この選挙ね、勝てると思いました。NHKをぶっ壊~す!」

そして去年の東京都知事選挙では。

【立花容疑者の公式YouTubeチャンネルより】「除幕してください。ジャーン!多くの人がポスターを貼りたいという意見が出まして。であれば1カ所1万円の寄付金をいただければ、それぞれ貼っていただくということで」

多数の候補者を擁立して、ポスターの掲示枠を確保。しかし候補者のポスターを貼らず、1万円で売り出したのです。

結果、候補者とは関係のないポスターが貼り出され、「民主主義への冒涜ではないか」と危惧する声が上がりました。

■兵庫県知事選で「二馬力選挙」を展開 百条委員会のメンバーを攻撃

そして立花容疑者が次に注目されたのは、去年の兵庫県知事選挙です。

【NHKから国民を守る党・党首 立花孝志容疑者】「斎藤さんは正しいから謝りませんでした。これは守りにいかなあかん、助太刀しに行かなきゃいけない。圧倒的な得票で、斎藤さんをもう一度、戻さなきゃいけない」

パワハラ疑惑で辞職した、斎藤元彦兵庫県知事の再選を後押しするため、「自らは当選を目指さない」という、いわゆる「二馬力選挙」を展開。

そして、斎藤知事の疑惑を追及していた百条委員会のメンバーを攻撃しはじめたのです。

元兵庫県議、竹内英明さん(当時50歳)もターゲットとなりました。

【立花容疑者の公式YouTubeチャンネルより】「“黒幕”は竹内元県議。竹内さん、こんなこと言われているので、違うんだったら竹内さん、出てきてちゃんと説明してください」

立花容疑者から「黒幕」などと言われた竹内さんの自宅には、抗議の電話やFAXなどが大量に届くようになりました。

去年11月、議員を辞職しても誹謗中傷はやまず、「うつ状態」と診断されていた竹内さんは、ことし1月、自ら命を絶ちました。

【立花容疑者の公式YouTubeチャンネルより】「生前、竹内元議員を中傷していましたよ。だってあいつ、悪いことしてるじゃん」

竹内さんの死後も、このような発言を続けていた立花容疑者。

「竹内さんの死は自分の責任ではない」とし、さらに、竹内さんが生前に「兵庫県警の取り調べを受けていて、逮捕される予定だった」などとSNSなどで発信していました。

■県警本部長が立花容疑者の発信内容を否定する異例の対応

これに対し、兵庫県警の本部長は…。

【兵庫県警 村井紀之本部長(当時)】「(竹内元県議を)被疑者として、任意の調べをしたことはありませんし、ましてや逮捕するという話は全くございません。全くの事実無根でありまして、明白な虚偽がSNSで拡散されていることは、極めて遺憾」

県議会で否定する異例の対応を取りました。

■千葉県知事選挙では街頭演説中に男にナタで切りつけられる被害も

立花容疑者は、兵庫県知事選のあとも大阪府の泉大津市長選に出馬。

【NHKから国民を守る党・党首 立花孝志容疑者】「まさに故郷に錦を飾るって、このことなんでしょうね」

立て続けに出馬した千葉県知事選では、街頭演説中に男にナタで切りつけられる事件も発生しました。

そして先週、12月に行われる静岡県の伊東市長選への出馬を表明していたのです。

■「ほっと安堵した」「区切りになった」と元県議の妻

そんな中、9日、逮捕された立花容疑者。

亡くなった竹内さんの妻は。

【亡くなった竹内元県議の妻】「ひとまずほっと安堵したところ。ちょうど1年前を思い出すことが最近やっぱり多くて。11月3日に主人と用事に参加したのが最後で、その日の午後、奥谷県議の所に立花容疑者が行って、街頭演説をするという件があって。そこから本当に生活が一変した。きょう一つ大きな報告が仏前でできたことは、一つ区切りになったのかなと思っている」

■二馬力選挙で支援 斎藤知事は「コメントは差し控える」繰り返す

そして10日、「二馬力選挙」で知事選挙の支援を受ける形となった斎藤知事が取材に応じました。

【斎藤元彦知事】「報道で承知している。捜査中なのでコメントについては控えたい」

(Q.行政の長としての責任放棄では?)
【斎藤元彦知事】「記者さんの個人的な感想としては承っておくが、答えは同じになる」

「個別の件へのコメントは差し控える」と繰り返しました。

■「逮捕されたことがないから正しい」が立花容疑者の論理

全国の選挙を取材し、7年前から立花容疑者に注目してきたジャーナリストは、今回の逮捕について。

【選挙ウォッチャー ちだい氏(本名・石渡智大)】「立花容疑者の自慢は唯一、『逮捕されたことがない』ということ。『自分たちは逮捕されないから、正しいことをしているんだ』という主張だった」

警察は立花容疑者の認否を明らかにしていません。

立花容疑者は、別の県議への名誉毀損などの疑いでも書類送検されていて、検察による捜査も進んでいます。

(関西テレビ「newsランナー」2025年11月10日放送)