【解説】立花容疑者の逮捕は「前科があって実刑の可能性高まると証拠隠滅や逃亡の恐れ高まる」と元テレ朝アナ・西脇亨輔弁護士指摘 “法廷で対峙”立花容疑者には「計算高さと想定外の行動“二面性”がある」とも

死亡した元兵庫県議の名誉を毀損した疑いで逮捕された、NHK党の党首・立花孝志容疑者。

元テレビ朝日アナウンサーで、自身も裁判で立花容疑者と向き合った経験があるという弁護士の西脇亨輔さんは、その印象について、「計算高さと想定外の行動という“二面性”がある」と語った。

そして兵庫県警が逮捕に踏み切った背景として、「立花容疑者には前科があり、次に犯罪を犯すと実刑になる可能性があり、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断したのではないか」と解説した。


■西脇亨輔弁護士 立花容疑者に感じた「二面性」

【元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士】「私自身も弁護士としてある報道に関する裁判で対峙したことがあるんですけれども、公開ではない場、内々で表に公開されていない場だと、非常に冷静で計算高い面があります。

いろいろ行動は計算しているんだけども、突然その中で突飛なこと、その場で思いついたこと、例えば『この裁判の内容は全部表に探してやる』とか、そういったことを言い始めることがありました。

そういった計算高さと想定外の行動というのが併存していて、“二面性”というものがあって、そこで我々も対峙していて驚いてしまう面もあるんですけれども。

ただそれを冷静に突き詰めていくと、何かそこに穴というか、法律上の問題点が見つかることがあって、そういったところをこちらがついていくというようなことをしていました。

ですから、驚くのではなくて、そこでちゃんと1個1個精査していくということが大事ですし、その結果として今回の逮捕ということにも繋がったのかなと思います」

元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士
元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士

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■なぜこのタイミングで逮捕に

そして逮捕の背景について、次のように解説した。

【元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士】「立花孝志容疑者には、2023年の3月に確定している前科がある。2回目の犯罪の可能性が出てきているということになります。

もしも仮に、この後起訴されて有罪が確定すると執行猶予がつかない実刑、つまり刑務所に行かなくてはいけなくなる可能性が高いと。

すると、『刑務所に行かなきゃいけなくなるんだったら、証拠隠そう』とか『逃げよう』とか、2回目(の犯罪)になるとそういった可能性が高まるということで、逮捕という対応になった可能性が高いと思いますね」 

立花容疑者
立花容疑者


■元兵庫県警刑事部長「証拠隠滅や逃亡の恐れが顕在化したタイミングだったのでは」

また元兵庫県警・刑事部長の棚瀬誠さんは捜査の進め方を示しながら、逮捕のタイミングについて、「証拠隠滅や逃亡の恐れが顕在化したタイミングだったのでは」と述べた。

【元兵庫県警刑事部長 棚瀬誠さん】「告訴事件(今回の容疑は死亡した竹内元県議の妻の告訴を受けたもの)というのは一般的に、告訴状に記載された事実を、いかなる証拠が伴って、どういう証拠関係で立証するのかというのを警察は丁寧に捜査をした上で、検察とも協議をしながら刑事事件の処理をしていきます。

その中で、具体的な逃亡や証拠隠滅の恐れが顕在化したというのがこのタイミングだったと思われます。

証拠隠滅は関係者の口裏合わせをしているとか、関係者に圧力をかけているといったことが一般的に行われますので、そういった具体的な動作が目の前にあったということだと思います」

元兵庫県警・刑事部長 棚瀬誠
元兵庫県警・刑事部長 棚瀬誠

■起訴されたら…どんな刑罰の可能性が?

立花容疑者が今後起訴された場合、どのような重さの刑罰が科せられる可能性があるのでしょうか。前科はどのように影響するのか。

【元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士】「過去の裁判例を見ていると、あくまで参考ですが、前科があって、執行猶予期間中に名誉毀損を繰り返した人の場合、『1年から1年6ヶ月の実刑』という判例が多く見られはします」

立花容疑者が今回逮捕された容疑で起訴された場合、前科による執行猶予は2027年3月までであることから、それまでに判決が確定すると前科による刑「懲役2年6カ月」も受けることになる。

【元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士】「ただ裁判を引き伸ばしていって、2027年3月を過ぎると、今度は『懲役2年6カ月』が消えることになるので。

今後の裁判の行方については、の4年間、1年4ヶ月間、2027年の3月まで粘るかどうか、そういった戦術をとるかどうかというのも、起訴されればポイントになります」

西脇さん
西脇さん

■「死者への名誉毀損」容疑については

また今回、立花容疑者への容疑の中に「死者への名誉毀損」が含まれていることについては…

【元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士】「これまでなかなか事例がないものではあります。

亡くなられた方への名誉毀損は、『これは虚偽だ』ということをわかっていて、犯罪をしたときに初めて成立すると言われています。

ただ通常の名誉毀損よりもハードルが高い理由というのは、歴史上の人物などに関してネガティブな発信をしても、罪に問うのはやめようという考え方があります。

法律上は難しい議論もありますが、亡くなられた方、そしてご遺族の気持ちを傷つけるような行為に対し、厳正に対応するという姿勢を警察側が示したのかもしれません」

竹内元兵庫県議
竹内元兵庫県議

■起訴されるかどうか 可能性は…

さらに西脇さんは今後、立花容疑者が起訴されるかどうかについては、次のように解説した。

【元テレビ朝日アナウンサー 西脇亨輔弁護士】「今回の事案というのは、立花容疑者自身も発言内容自体は認めているということなので、その証拠も残っている。

それに関して、真実相当性=『どれぐらいの根拠があって、そういった発言をしたのか』という部分も気になりますが、もともとの事実と立花氏の発言が違うということ自体は、警察が当事者として一番よくわかっているわけですから。

そういった意味では捜査自体は円滑に進んでいくんじゃないのか。そして争点が絞られていくんじゃないかと思います」

(関西テレビ「newsランナー」2025年11月10日放送)

送検される立花容疑者(10日午前)
送検される立花容疑者(10日午前)