
2022年にピン芸コンクールである「R-1グランプリ」で優勝しブレイクした。今回はハニートラップにかけられた時のことや最近の若者のTV離れや恋愛離れ、さらに復帰で話題のフワちゃんについて話を聞いた。(前後編の後編)
ハニートラップかかりすぎて誰も信用できない
「R-1グランプリ」で優勝したといえば、ハニートラップに引っかかるドッキリが印象的だろう。「地上波で股間が元気になった姿をさらしてしまったのは僕だけ」と語る彼は、現在のテレビ業界に何を思うのだろうか。
――しんいちさんといえば、ドッキリやハニートラップに騙されてはキレるというのがおなじみです。誹謗中傷も多かったと思うんですけど、逆に知名度が上がってモテにつながった…なんてことはないんでしょうか?
(以下、同)ハニートラップにかかってから『私はしんいちさんを騙しません!』っていう女の子がめっちゃ出てきました。…でも全員怪しいんですよ。
――(一同爆笑)たしかに怪しいですね。それで著書『嫌われ者って金になる!』の巻末にもある性行為同意書を作成することに?
そうなんです。女の子を信用できない瞬間もあったんですが、結局「もう騙されてもええか」って思ったんです。ただ僕が騙されても、事務所とかに迷惑をかけるのはだめ。だから“こっちもこっちで対策させてもらうで”ってことで、同意書を作るっていう発想になりました。
――『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)では、FRUITS
ZIPPERの櫻井優衣さんの誕生日を事前に調べていたことが、番組スタッフから「キモい」と言われる展開になっていたことが衝撃的でした。本来なら誕生日って覚えててもらったら嬉しいはずですが…。
アイドルや俳優が同じことやったら絶対「かっこいいー!」ってなるハズなのに、しんいちだから違和感を覚えたようですね、世間様は。しんいちが誕生日調べてたら気持ち悪いっていうジャンルを作っちゃったんですよ。もう僕はそういう星の元に生まれた人間なんだろうなって思います。クロちゃんとか、僕くらいちゃうかなぁ。でも、これを逆手にとって仕事増やしてお金にさせてもらいます!
――最近、バラエティのドッキリ加減が「やりすぎではないか?」とたびたび議論になっていますが、かけられている側のしんいちさんはどう思いますか?
俺が言うのもあれですけど、どんどん過激にやって、どんどん昭和のテレビに戻ってほしい。もうコンプラ無視してやりませんか?やるだけやって、番組作って、後でみんなでスポンサー様に謝りに行きませんか?って思います。
――出演者も全員で謝りに行く?
スタッフさんとか作り手だけが謝りに行くって、ちょっとどうなんだろうって最近思いました。スポンサー様がお金出してくれているからテレビが作れている。だからそこは絶対間違いなく裏切ったらダメなんですけど。攻めたものを作って流して、もし何かあったら演者も一緒に謝りに行くスタイルってまだやってないじゃないですか。
だから僕と、みなみかわさんとか、さらば青春の光の森田さん、高野、クロちゃん、あとウエストランドのいぐっちゃんとか、普段謝らなそうな人が頭下げたら納得してくれるんじゃないかなって(笑)。
――それは斬新な発想ですね!(笑) 最近の若者のテレビ離れや、今後のテレビ業界とかお笑い業界にしんいちさんが望むことってありますか?
いや、望むことも何もみんなテレビ見てるやん!
って思ってます。ちょっと前に行ったキャバクラで「テレビ見ないけど、しんいちさんのこと見たことあります」って言われて、なんで?って聞いたら「TikTokでハニートラップのドッキリ見ました!」と見せられて「いやテレビやんけ!」と、思わず突っ込みました。
――自宅にテレビはないけど、テレビの動画をTikTokで見ている若者は多いですよね。
みんな実はめちゃくちゃテレビ見てるんですよ! だからすごくカッコ悪いこと言ってるのに気がついていない(笑)。僕が出させてもらっているDMM
TVとか、AbemaTV、Amazon Primeも全部含めてですけど、みんなテレビマンが作ってて、大多数の人がテレビで見ているじゃないですか。
ネットの時代とか、配信の時代だとか言われてるけども、場所を変えてテレビ番組をやってるだけだし、見てるやん?って思います。全然テレビから離れられていないと思います。
アプリは味気ない。若者に目と耳と口を使ってどんどん恋愛してほしい
――共演者だろうとガンガン口説きまくっていると公言しているしんいちさんですが、最近の若者の恋愛離れについてどう思いますか?
めちゃくちゃもったいないって思いますね。マッチングアプリとか流行っているじゃないですか? でもコンパをもっとすべきだ!って心から思います。結局、スマホの画面の中で写真見て年齢、職業、年収、休日何してるとかって、説明書じゃないですか。この説明書の内容って会話で聞いた方が絶対おもしろいのにって思っちゃうんですよ。
――アプリは少し機械的すぎる感じもありますね。
何で会う前に、ワクワクをなくしちゃうんやろ?って不思議です。コンパとか行った時に「何歳?」「休みの日何してるの?」って、リアルに聞いた方が絶対楽しいのに…若い子にも、目と耳と口を使ってほしいんですよね。アプリは味気ないなと思っちゃいます。
――コンパだけでなく、いまだにナンパもするって本当ですか…?
ハイ! 道端でも声かけますし、この間は某テレビ局のネタのオーディションの審査員の方がすっごく綺麗だったんで「彼氏いますか?」って聞きました。さすがに「審査員にナンパするとは何事だ!」と怒られましたけど(笑)。
――とはいえ、なかなかコンパもナンパも「ハードルが高い」と感じてしまう男性は多いかもしれません。
男性陣はネガティブになることないんですよ。一瞬でも気になったら絶対に行った方が良い。フラれるのが9割やねんから、別に断られてもええやんって。フラれると思った上で行くべき。もちろん迷惑かけてはいけないし、しつこくしてもいけない。それは大前提として、絶対に守った上でですよ!
仕事も恋愛も同じ。動いたもん勝ちです。あと逆に、男性陣に言えるのは、コンパで「俺すごいで!」って言っちゃうタイプの人は嫌われます。自慢せずに、とにかく下に下に下に行けるやつほどモテます! そこに早めに気づければ勝率は上がります。
結局嫌われ者が勝つし、金を稼ぐ
――10月28日放送の、テレビ朝日系の番組「クロナダル」内で、フワちゃんと食事に行ったことがネットニュースになっていましたね。
はい、行きましたよ。フワちゃんとは元々仲がいいんですよ。
――フワちゃんに対して未だに厳しい意見もありますが、しんいちさんはどのように思いますか。
やっぱりフワちゃんって、ちゃんとおもろかったんですよ。だけども僕、一回干されてよかったなとも思ってて。干されて傷を負ったフワちゃんが、前なら考えられないような過酷なことをしたら、みんな絶対に笑う。「ざまあねえなぁ!」って笑う人が絶対いる。だから、彼女がコケたのは、めっちゃ武器だと思います。絶対前よりおもろなってますから、僕逆にビクビクしてますよ!
――他にもしんいちさんが恐れている芸人さんってどなたかいらっしゃいますか?
JPさんですね。JPさんは松本(人志)さんのモノマネでブレイクして、松本さんが休業したことで仕事が激減してしまった。悩んでるJPさんとご飯を食べた時に「松本さんのモノマネできない今が1番おもろい」って僕が言ったんです。
松本さんが帰ってきた時に一緒の動きが出来るじゃないですか。JPさんが「休業してました」って言ったら絶対にウケる。フワちゃんもJPさんも自虐が出来るのは、めっちゃ強いですよ。だから怖い(笑)。
――お二人の復活を「怖い」といいつつも「一緒に仕事がしたい!」と堂々と話すしんいちさんに男気を感じます!
あんな明るかった2人が真剣に謝るだけでおもろい。1番脂乗ってると思いますよ。正直、ちょっと羨ましいくらい(笑)。マイナスを全部金に換えたらいい! 嫌われ者は金になりますからね!
嫌われることを恐れない。彼の言葉の一つ一つにはどこか優しさが滲み出ている。嫌われ芸人がいつの間にか愛され芸人になる、今がその一歩目なのかもしれない。
(前編はこちら)
取材・文/吉沢さりぃ 撮影/齋藤周造
『【AMAZON.CO.JP 限定】嫌われ者って金になる!(特典:ZAZYからのお手紙)』(徳間書店)
2025年10月29日
1870円(税込)
208ページ
ISBN: 978-4198660772
『R-1グランプリ』2022年王者の。『水曜日のダウンタウン』などで数々の暴走行為を繰り返し、人の悪口を言いまくり、数え切れない炎上騒ぎを繰り返し世間を騒がせている。一体なぜ病まないのか? 本書では、その強靭なメンタル術や、あざとい人心掌握術、ズルして生きる処世術…をすべて公開し、の炎上騒ぎをも「金に変える」したたかさを紐解く。モグライダーの芝大輔、さらば青春の光の東ブクロとの赤裸々対談も収録。特別付録としてが実際に使用している「性行為同意書」が付く。