2016年に長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡したスキーバス転落事故の控訴審の初公判が東京高等裁判所で開かれた。業務上過失致死傷の罪に問われているバス運行会社の社長らは改めて無罪を主張した。
スキーバス転落 大学生ら15人が死亡
2016年1月、軽井沢町の国道でスキーツアーバスが道路脇に転落し、運転手や乗客の大学生ら15人が死亡した事故。
バス運行会社「イーエスピー」の社長・高橋美作被告(64)と当時の運行管理者・荒井強被告(57)が業務上過失致死傷の罪に問われている。

長野地裁で行われた一審では、事故の発生を予見できたかどうかの「予見可能性」が大きな争点となった。
検察側は「事故を予見できたのに不慣れな運転手に必要な訓練を怠った」などと主張。
一方、被告側は「運転手の未熟さは当時、認識していなかった」などと無罪を主張していた。
一審「事故は予見できた」実刑判決
2023年の一審判決で長野地裁は、「運転手が大型バスに不慣れなことを認識しており、事故は予見できた」などとして、高橋被告に禁錮3年、荒井被告に禁錮4年の実刑判決を言い渡した。

被告の2人は、この判決を不服として、控訴していた。
控訴審でも無罪主張
一審判決から2年5カ月がたち、11月17日東京高裁で開かれた控訴審の初公判。
高橋被告は、「通常ではあり得ないブレーキ操作を行ったので事故は予見できなかった」などとして無罪を主張する控訴趣意書を提出。
荒井被告も無罪を主張する控訴趣意書を提出した。

検察側は、控訴の棄却を求めていて、事故で犠牲になった大学生5人の遺族が意見陳述を行うという。
息子を亡くした田原義則さんは「始まっただけで何かが決まったわけではないのでこれからそれに臨むぞ、という決意を新たにした。安全管理が何もできなかったことによって起きた事故だと改めて結論付けられることを期待したい」と述べた。
次回公判は、2026年3月13日に開かれる。