市川團十郎 歌舞伎が新たなフェーズに入ったという肌感覚「もっと学んで楽しもうと思ってくださる方々が明らかに多くなっている」

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 歌舞伎俳優の市川團十郎(47)、長女の市川ぼたん(14)、長男の市川新之助(12)が22日、都内で開かれた東京・新橋演舞場「初春大歌舞伎」(来年1月3~27日)の取材会に出席した。

 演目は昼の部が「操り三番叟」「鳴神」「熊谷陣屋」「仕初口上」、夜の部が「矢の根」「児雷也豪傑譚話」「春興鏡獅子」で、ぼたんと新之介は夜の部のみの出演。

 團十郎は「熊谷陣屋」について「九代目團十郎が形を作った演目でございまして、初めて勤めさせていただく折りには父がいませんでしたので、二代目の中村吉右衛門のおじさんのところに教わりに行こうと思いましてお話をしたらば『これは帰すことだ』と言って。『九代目から預かって初代吉右衛門、そして私。それからあなたに恩返しをして教える』というところから熊谷のお話が始まった」と二代目吉右衛門さんとの思い出を明かし、「播磨屋のおじさまに教わったことを思い出しながらしっかりやりながら、九代目、父がやっていたことを踏まえて今の等身大の私が熊谷直実という人間を演じる」と意気込みを示した。

 親子3人の共演となる「春興鏡獅子」については「胡蝶は九代目が思い立って作りあげた舞踊でございますので一度はぼたんと新之介には体験をさせなければならないという義務感がありまして、ぎりぎり最後の時期かなと思いまして、最初で最後の胡蝶を私が勤められればなと思って設定させていただきました」と説明。「この胡蝶に関しては大きさの話をしている。身長的な問題、子供の時にやっている印象があったので、これは最初で最後かもしれないと言いました」と補足した。

 ぼたんは「父や弟と同じ舞台を踏む機会は、私がすごく小さかった頃以降なかなかなかったので、すごい大事な時間、大事な時だなって思いますし、最初で最後の経験でなるかもしれないこの胡蝶は今まで以上に弟ともたくさん稽古をして合わせて、素晴らしいものに自分たちで作り上げるように頑張っていきたい」、新之介も「お姉ちゃんと僕が最初で最後になるかもしれないので、それを家族全員でできるということがすごい幸せだと思っていて、たくさん頑張らないとなと思いました」と思いを語った。

 また、團十郎は今回の演目に古典を選んだ理由を「今だったらばより歌舞伎が好きだった方も、見たことがない方も、挑戦したい方も学んでみたいと思ってくださるんじゃないかなと。日本に根付いている芸術を楽しんでもらえるような状況、歩み寄っていただくフェーズに入ってきたというふうに私は肌感覚でございますので。そういう意味で古典を並べると決めさせていただいた」と説明。映画「国宝」の影響力にも触れた上で「歌舞伎をもっと学んで楽しもうと思ってくださる方々が昨年のこの時期に比べて明らかに多くなっているというような感覚がございます」と話した。