Author: d3001

【タイ人12歳少女保護】「違法なことにも寛容」…少女が働かされていたアジア系マッサージ店の〝闇〟

12 November 2025

11月7日、裁判官調べのために本富士署を出る細野容疑者。経営するマッサージ店で12歳のタイ人少女を働かせていた疑いだ 12歳の少女に性的マッサージをさせていた 東京都・文京区のマッサージ店『リラックスタイム』でタイ国籍の12歳の少女を働かせたとして警視庁保安課は11月6日、同店経営者の細野正之容疑者(51)と従業員のホームジャン・ギタヤポーン容疑者(32)を労働基準法違反(最低年齢)の疑いで逮捕したと発表した。容疑の認否は明らかとなっていない。 警察によると、少女はタイ北部の出身で、妹や祖父母と暮らしていた。6月下旬に母親とともに短期滞在の在留資格で来日。そのまま同マッサージ店に到着すると、翌日には母親は姿を消し、訪れた客に性的サービスをさせられていたという。少女は日本語が話せず、店舗の台所で寝泊まりをしていた。 「少女は来日当日に、マッサージ店で母親から性的サービスのやり方を教えられ、約1ヵ月で約60人の客を相手にして、63万円ほどの売上があったとのことです。少女の売り上げは細野容疑者が全額受け取り、半分を母親の関係者名義の口座に送金していました。店を辞めた8月以降も母親の紹介で、他県にて性的マッサージなどをしていました」(全国社会部記者) 9月に少女は東京出入国在留管理局に助けを求めて保護された。「家族の生活のために我慢するしかなかった。タイに帰国して中学校に通いたい」と話していたという。その後、母親のほうは台湾で別の売春事件に関与して現地の警察に拘束されており、タイに引き渡される方向で調整がすすめられている。 少女が働かされていた店舗を訪ねると、地下鉄千代田線・湯島駅から徒歩1分ほど、8階建ての雑居ビルの7階にあった。店のHPには住所や電話番号などが記され、ビルのポスト部分にも『Relaxation Time』と貼り紙がされている。HPに掲載されていた性的マッサージが行われていたと思われる部屋には、椅子が一脚とシングルサイズのマットレスが設置されており、少女はこの部屋で生活させられていたという。 明らかに中学生ぐらいの女の子が深夜に ビルの関係者は夜間に不特定多数の男性がよく出入りしていたと話す。 「夜の7時ぐらいになると、きょろきょろとしながらビルに入る男性をたまに見かけました。明らかに部外者っぽかったです。オートロックのビルではないのであまり気にしてはいませんでしたが、報道を知ってからマッサージ店があるのだとわかりました。アジア系の女性の出入りもあります。彼女たちは薄着でサンダルのような格好なのですぐにわかります」 また、近くのコンビニの店員によれば、保護された少女と思われる人物が「たまに薄着姿で来ていた」そうだ。 「事件があったビルが近くなので驚いています。深夜の11時~3時ごろになると、明らかに中学生ぐらいのアジア人の少女がご飯などを買っていくことがあったので、彼女かもしれません。湯島はアジア系の人が多いのであまり気にしませんが、12歳が出歩く時間じゃないですよね……。本当にかわいそうな事件だと思います」 店の住所を検索すると、『リラックスタイム』という店名以外にも『タイホームマッサージ』、『タイトーンスパ』といった複数の店名がヒットする。どの店も概ねサービス内容は変わらないが、いずれも「ジャップカサイ」と呼ばれるマッサージを提供していたようだ。 アジア系のマッサージ店に詳しい風俗ライターによれば、店で違法行為が行われていたことは確かだろうという。 「ジャップカサイとは陰部のマッサージのことで、本来はタイの古式マッサージの一種で、血流を改善して男性機能を高めるための施術です。しかし、アジア系マッサージに通っている人たちにとっては、違法な行為を意味する言葉として使われています。『性的なマッサージをします』って隠語みたいなものですね」 HPには12歳の少女と思われる顔写真があった。風俗店を扱う掲示板では「X(少女らしき人物の源氏名)はサービスがいいよ」「Xは確実にデキる」「若い人がよかったらXだね」などと書き込まれていた。少女が味わった地獄を思うと胸が苦しくなる。 「客が求めれば何でもできてしまう」 湯島近辺にはアジア人コミュニティがあり、タイ人やフィリピン人が施術をするマッサージ店も数多く存在している。湯島で「ジャップカサイ」施術ができるという店に記者が試しに電話をすると、事件の影響もあるのか、どこも反応は冷ややかだった。 「今やってない。予約もできない。普通のマッサージもできないのですみません」(A店) 「若い子いないし、今日は予約で埋まっています。またお願いします」(B店) このようなマッサージ店の対応について、前出の風俗ライターは事件の影響だろうと推測する。 「アジア系マッサージ店は、日本人が施術するメンズエステとは違って、国内にいる身内が国外から身内を呼ぶ、といったように知り合い同士で営業をしていることが多い。コミュニティのような感じで雰囲気が緩いんですよね。もちろん、健全に営業している店も多いですが、違法なことに関しても〝寛容〟で、客が求めれば何でもできてしまう店も存在します。 そういった店は1店が摘発されるとコミュニティのつながりで、芋づる式に摘発されることを危惧して、慎重なんだと思います。働いている人の中にはビザが切れている人もいたりするので、なおさら摘発は怖いのでしょう」 警視庁は性的搾取を目的とした人身取引事案の可能性も視野に入れ、捜査をしている。警視庁が摘発した人身取引の被害者で12歳は最年少だという。アジア系マッサージというある種、都会の〝闇〟のような場所だからこそ起きてしまった事件なのかもしれない。 少女が稼いだお金はすべて細野容疑者が受け取り、半分を少女の母親の関係者名義の口座に振り込んでいたという ストロボが眩しいのか、まだ眠いのか目を細めていた マッサージ店が入っていたビル ポストには『Relaxation Time』と書かれた紙が貼ってあった 少女が働かされていた店のHP。パッと見はごく普通のタイ古式マッサージにしか見えないのだが……

仲代達矢さん悼む“抜き身の真剣”で舞台に立ち続けた名優 印象に残る「舞台は足腰です」何事にも真剣

12 November 2025

 映画「人間の條件」や黒沢明監督の「影武者」などに主演し、主宰する「無名塾」で後進を育てた俳優で文化勲章受章者の仲代達矢(なかだい・たつや、本名元久=もとひさ)さんが肺炎のため死去したことが11日、「無名塾」の公式ホームページで発表された。92歳。東京都出身。娘で歌手・仲代奈緒がみとった。5~6月に石川・能登での復興公演舞台で反戦劇「肝っ玉おっ母と子供たち」への出演が最後だった。通夜・告別式は近親者のみで行い、お別れの会などの予定はないという。   ◇  ◇  仲代さんを取材したのは80歳の時でした。あのぎょろりとした大きな目には力がみなぎり、舞台で鍛えた声には張りがありました。「あと2~3年頑張るつもり」と当時は話していましたが、90歳で舞台に立ち、演出も手掛けていた姿には感動すら覚えました。  ラジオ番組で声を聞くだけでもうれしくなりました。個人的に陰ながら「90歳と言わず100歳まで頑張ってほしい」と願っていたので、突然の訃報、残念でなりません。  仲代さんを一言で表すなら「抜き身の真剣」でしょう。映画「切腹」の中では、実際に真剣を使って撮影したというエピソードもありますが、仲代さんは何事にも「真剣」でした。演技を巡って萬屋錦之介さん、三船敏郎さん、三國連太郎さんらとケンカしたのは有名な話ですが、取材を受ける際にも、仲代さんは真剣勝負でした。  初対面の人には「この人はどこまでオレを知っているのだろう」と探りを入れるし、なじみのライターでさえ「今日はどこまで調べてきたか」と試すほどでした。  仲代さんの言葉の中で、強烈に印象に残っているのは「舞台は足腰です」という言葉です。舞台には自分の足で立たなくてはいけないのは当然ですが、声も舞台用の出し方をしなければなりません。これが、どんなに大変かは仲代さんは熟知していました。90歳を超えてからも舞台に立てたのは、この言葉を肝に命じていたからでしょう。  テレビ・映画と違う、観客との「真剣勝負」が舞台。だから、無名塾で役者の育成に取り組みながらも、舞台だけで飯を食えるのは一握りだけと、ハッキリ言えるのです。そのうえで「舞台では食えないけど、舞台をちゃんとできれば(テレビ・映画にも)適応できます」と強調しました。テレビや映画で主役を演じながらも、この言葉で分かる通り、仲代さんの軸は常に舞台にあったのです。  仲代さんには、インタビューとは別に石川県七尾市の能登能楽堂で公演中、東京からの電話でコメントをいただくという無礼な取材をしたこともあります。これにも、真摯(しんし)に対応していただいたのも忘れられない出来事です。合掌。(元デイリースポーツ芸能デスク・木村浩治)