Author: d3001

日本からスズメが消える…スズメ大好き旭山動物園統括園長が語る「意外すぎる理由」

04 November 2025

そう言えば、最近、スズメがチュンチュン鳴いている声を聞かない…… 環境に優しいはずの“エコ住宅”がスズメを「絶滅」へ追いやっている!? 「朝起きて、スズメがチュンチュン鳴いている声を聞くと、ほっとする。今日もがんばろうという気持ちになります」  こう言うのは、北海道・旭川市旭山動物園の統括園長を務める坂東元さん。動物の自然な姿を観察できるように工夫された“行動展示”の動物園を、日本で初めて提案した人だ。その坂東さんが、いちばん好きな生き物がスズメだという。 「スズメは特殊な生き物で、人間の生活圏で暮らす野鳥なんです。僕たちが人工的に環境を作り替えてきたなかでも、いつも人間に寄り添って暮らしてくれている。  春になったら、ヒナにエサをやるために4時か5時ごろからチュンチュン鳴き始める。そういう当たり前な光景を目にすることに、幸せを感じるんです」  「舌切り雀」「すずめの学校」などの物語があるように、古くから日本人に親しまれているスズメ。日本中どこでも見られる鳥の代表のように思われているが、このスズメに異変が起きている。 環境省・生物多様性センターと環境NGO、研究者、市民らが全国約1000ヵ所で’05年から’22年まで行ったモニタリング調査によると、スズメは1年あたりの減少率が、環境省のレッドリストの中でも、「絶滅の危険が増大している種」に匹敵する値を示したという。 1980年代から’20年代にかけて日本のスズメの個体数は3分の1から半数程度まで減少したという調査結果もある。 「今、温暖化などいろいろ環境問題が取りざたされていますが、スズメと一緒に生きられなくなった環境は、人間も生命の危機に瀕しているということじゃないかと思うんです」 どうしてスズメは少なくなってしまったのだろう。 「まず、スズメが巣を作る場所がなくなった。昔は瓦屋根の隙間や換気口、屋根裏などに巣を作っていましたが、気密性のいい住宅になり、巣が作れるような隙間がなくなってしまったんです。  そして、スズメのエサがなくなった。スズメはヒナが巣立つまでに2000~3000回エサを運びます。そのエサのほとんどは虫です。小さな虫がいなければ、スズメはヒナを育てられない。昔は空き地があれば必ず虫はいましたが、今は空き地が少なくなっているうえ、公園などは虫が出るのを嫌って殺虫剤を撒いているところもある。  スズメが生きられる場所を、僕らはどんどん奪い続けているんです」  そういえば、ツバメの姿も最近見ないような……。 「ツバメは水と泥に唾液を混ぜて、軒裏などを利用して家の壁などに巣を作ります。けれど、最近の住宅は軒裏がなかったり汚れがつきにくいような外壁材を使っているところが多く、ツルツルなんです。ツバメも巣を作れない。 家をきれいに保てるし、気密性の高い住宅なら、僕らは快適かもしれない。でも、その結果として、スズメやツバメと生きていけない空間を作っている。環境に優しい“エコ住宅”といわれているけれど、本当にこれがエコなんだろうかと思います」    今は、あまりにも人のためだけの環境になってしまったと坂東元さんは言う 世界的に自然回帰の動きに これまで人間は、海を埋め立て、川の流れを変え、森を切り拓いて家を建て、人間が暮らしやすいように自然を作り替えてきた。その結果、温暖化が進み、線状降水帯など10年前にはなかったような大雨も降るようになった。 「そういう動きに歯止めをかけようと、世界では今、自然生態系の損失を防ぎ、自然を回復させることを目的にした “ネイチャーポジティブ”という考え方が主流になっています。その目標の一つが『30 by 30』。  これは海や陸の30%以上を人工的な手が加わっていない、本来の自然、そこに住む生き物優先の自然に戻していこうというものです」 陸と海の30%を自然の状態に……。北海道なら可能かもしれないけれど……。 「いやいや、北海道でも人の手が入っていない山は20%もないといわれています」 だったら、東京は何%になるのか。壮大な計画のように思えるが、もっと身近で我々ができることはないのだろうか。 バラやチューリップではなく、日本の在来種の庭を 「今、ヨーロッパのほうでは、もともとその土地に生えていた在来種の植物で庭を作るという動きがあります。そうすれば、その土地の気候に合ったリズムで花が咲き、実がなる。その結果、驚くぐらい鳥や虫が戻ってくることが、データで示されています。  国が大きなお金をかけて30 by 30を具体化していくことも大事ですが、一人一人がちょっとした取り組みをすることで、自然は変わってくるものだと思います」 …

講談社初の試み 米ハリウッドに制作スタジオ設立発表「日本のIPを世界に」 アカデミー賞受賞監督とタッグ

04 November 2025

 株式会社講談社が4日、都内の同社で米ハリウッドを拠点とする新会社「Kodansha Studios」設立発表会見を行い、同社の代表取締役社長の野間省伸氏、アカデミー賞受賞監督のクロエ・ジャオ氏、プロデューサーのニコラス・ゴンダ氏が登壇した。  新会社は、アカデミー賞受賞監督のジャオ氏が最高クリエイティブ責任者(Chief Creative Officer)として企画などを統括し、プロデューサーのゴンダ氏がCOOを務め、タッグを組む。野間氏は「ハリウッドを中心に映画を企画する」と語った。  ジャオ氏は「ワクワクしている。子どもの頃から深く、深く日本の漫画やアニメを愛している。このような機会をいただけたことは光栄です」と喜び、ゴンダ氏は「講談社さんのように100年以上の長い伝統とすばらしいクリエイティビティを保ってきた会社とご一緒できるのは光栄」と述べた。  ハリウッドに制作会社を設立することは、講談社初の試み。野間氏は「講談社は長年にわたってさまざまな物語をつくってきた。近年は海外展開に力を入れている。近年の日本のエンターテインメントコンテンツは世界的に人気がある状況。日本の国としても日本のコンテンツを世界に広めていこうという追い風もある」と話し、「これまで知られていなかった日本のIPを多く世界に広めていくことをやりたい」と見据えた。