Author: d3001

「材料費が高騰して利益が上がらない」3468種類を集めた鳥型サブレーマニアが見たスモールビジネスの課題

26 October 2025

「鳥型サブレー大図鑑」という、なんともマニアックなWEBサイトを運営する高橋さん 写真一覧 これまで10年かけてコツコツ集めた鳥型のサブレーをはじめとした、お菓子は3468種類(2025年10月20日時点)。「鳥型サブレー大図鑑」という、なんともマニアックなWEBサイトを運営する高橋さん。全国を訪ね歩き、各地の菓子店と交流する中で見えてきた課題があるという。【前後編の後編。前編から読む】 材料価格の高騰で販売縮小も 一般的にサブレーは型押しで作られるものが多いが、精巧な鳥型のものとなるとアイシングを施すなどして手間暇をかけたものが多い。1点ずつ手作りのため、おのずと販売価格も高くなる。 ここ数年で高橋さんは、材料価格の高騰により、使用する材料を変更する店や製造量を制限する店、ひいては廃業するお店が増加していることを実感するという。 「趣味のお菓子作りが高じてという人や、副業でクッキーの受注販売をされているスモールビジネスの人たちの間で、受注をいったん休止するという傾向が見られています。 そうした方々は店舗を持っていないことも多いし、自宅で自分のできる範囲の中でやっているので、そこまで固定費はかからないはずなのですが、それでも燃料費の高騰や円安の影響で材料価格もあがってしまい『利益がでにくくなった』というのが理由のようです」(高橋さん、以下同) たとえば、高橋さんが収集を始めた2015年と比較して、小麦粉の価格変動を示す消費者物価指数は1.4倍(統計局・2024年)。体力のない、小規模の菓子店は苦境を迎えているのは想像に難くない。 取材時に持参された鳥型サブレーやクッキー。自宅には常時250点ほどが保管されているという 写真一覧 「こだわりが強いお菓子屋さんほど大変そうです。小麦や卵、砂糖など、使用する銘柄にこだわりがある場合、仕入れ価格が高くなったからといって簡単に変更することはできません。 私の知っているお店でも、ずっと使っていた国産の小麦粉が手に入らなくなったからサブレーの販売をやめるという話を聞きました。別のブランドの小麦粉や輸入小麦粉では、同じものが作れないから、というのが理由です。日本のお菓子屋さんなのに、国産の小麦粉が手に入らないなんて残念ですよね」 さらに高橋さんが懸念するのが、材料費の高騰による味や質の低下だ。 「クッキーは小麦粉、バター、卵、砂糖があってこそあの芳醇な味が出せる、と考えている洋菓子屋さんは多いんです。それをわかってはいながら、材料費の関係などで泣く泣く小麦粉を米粉に変えたり、卵不使用にしたりしている洋菓子屋さんもいます。もちろん最初からプライドを持って米粉クッキーを製造する方もいますが。 仕方なく品質を落としているということであれば、それはすごく胸が痛みますね。またそうやって本来のクッキーの味ではないクッキーが増えて、その味が標準化してしまうことにも懸念を抱いています。 子供たちに『クッキーってあんまりおいしくないよね』と思われたくはないので。苦しいとは思いますが、品質だけは落とさないでほしいなとファンとしては願っています」 大阪でネット販売をしている『クー・ド・ラパン』のカラフルな鳩型クッキーを前列に並べて、アイドルのライブ風にステージを作った時の写真 写真一覧 生き残るためには我慢が必要な時期 最前線でクッキーの製造現場を見続けている高橋さんからすると、洋菓子屋さんを取り囲む現状は厳しいものがあるのだろうか。 「昔は、家族イベントや、人への贈り物をする際に、クッキーなどの焼き菓子を地元の洋菓子店で買うことが多かったですよね。それが今ではどこでも買えるようになりました。通信販売、コンビニやスーパーなど、選択肢がとても広がっています。 実際に商店街の中にある洋菓子店で、以前は20種類ほどあった焼き菓子が、数年の間に10種類程度まで減っているという光景を見かけることもあります。 だから、洋菓子店や個人商店のみなさんには、なんとか販売価格を上げるなどして、物価高騰が落ち着くまで耐えてほしいです」 高橋さんの情報源は主にお菓子屋さんのSNS。この日は「kurimaro collection」の出店を聞きつけて上京。まだ持っていない鳥型クッキーを入念に吟味しながら購入していた 写真一覧 サブレー界を盛り上げる企業努力 大手のメーカーも頑張っている。「鳥型サブレーを作っているメーカーは、いろいろな試みをして客の心をつかんでいる」と高橋さんは話す。 「たとえば鎌倉土産でおなじみ、豊島屋の鳩サブレーは、これまでセット売りしかありませんでした。いちばん少ない単位でも4枚入り。それが鎌倉の小町通りにある豊島屋の店舗では、去年からバラで購入できるようになりました。たくさんはいらないけど1枚だけ食べたいという人や、食べ歩きをしたい観光客に人気だそうです」 また、福岡にあるひよ子本舗吉野堂(株式会社ひよ子)と東京ひよ子(株式会社東京ひよ子)は関連会社だが、それぞれが異なる製法でひよ子サブレーを作っていて、見た目も味も異なっている。 「ひよ子本舗吉野堂からはメープル味や金胡麻味、コーヒ味、東京ひよ子からはカフェオレ味など、定期的に新しい味や商品が発売されています。どちらも商品開発力が高く、切磋琢磨しながらサブレー界を盛り上げようとしているのが頼もしいですね」 kurimaroさんの作る鳥型クッキー。フォルムや色を再現するだけでなく、鼻の色の違いでオス、メスを分けるなど特長や生態をも表している 写真一覧…

バラエティー特番「あの金、どこ行った?」と「マル分の1の頂点」はレギュラー化してほしい

26 October 2025

草彅剛(C)日刊ゲンダイ 【写真】大沢樹生がカッコ良過ぎる! 不器用で真っすぐ、まだ夢の途中だ 先週から今週にかけて目にしたバラエティー特番2本が面白かった。 ■他人の不幸は蜜の味の「あの金、どこ行った」 1つは16日のフジテレビ系「あの金どこいった? 逆転人生にかける有名人」。過去に大金を手にした有名人がお金をどう使い、なぜ失い、そして今どうしているのかを追跡するドキュメンタリーバラエティーだ。番組ではどん底に落ち切って、再起をかけて奮闘する様子も追っていてそこが救いでもある。 最初は元光GENJIの大沢樹生。当時の年収は3000万円で「(光GENJI在籍期間)7年で2億円いったかいかないかくらい」と包み隠さず金額を告白。大沢は1500万円でベンツの560SLを、さらにバブル期に百合ケ丘の山の上に3LDKの分譲マンションを1億5000万円で購入したが、10年後に売る時はわずか3000万円だったと。 ここでMCの草彅が自身もビンテージのジーンズなどを買い、「お金なんて使ったらなくなっちゃう。すっからかん」と明るく笑わせた。 現在、大沢はライブや俳優活動の他、焼津FMでレギュラー(2カ月に1回、8本撮り)、五反田で「樹馬」という馬肉料理の店をプロデュースしている。そこから毎月売り上げに応じて数万円が入るとか。 大沢の他、杉田かおるや亀田興毅、ボビー・オロゴンら有名人、食品偽装の「船場吉兆」のささやき女将の息子、圧巻は「ぷよぷよ」を作った社長で、稼いだ70億円は消え、90億円の借金を抱え、現在は5万円のアパートに暮らす等々。「他人の不幸は蜜の味」だ。 MCは草彅剛とホラン千秋。草彅はこの秋の同局の連ドラ「終幕のロンド」に主演し、遺品整理人を演じる。番宣を兼ねてのMC起用だろうが、草彅のとぼけた味わいがいい具合に毒消しになり、ほっこりしていたのがよかった。 アナログ方式、足で稼ぐ「マル分の1の頂点」 ダイアン津田(C)日刊ゲンダイ もう1本は19日の日本テレビ系「マル分の1の頂点」。あらゆる頂点の分母を調べ、1位がいかに価値のあるものかを明らかにするもの。こちらのMCは劇団ひとりとダイアン津田。目下、ドラマにCMにと引っ張りだこの津田。最近タワマンに越した。そんな話になったのは「東京23区にある約317万2500戸の賃貸物件の中で『築年数が最も古い家』は?」というネタと関連している。 その手法が都内の不動産屋に電話して聞きだすというなかなかのアナログ方式。時間と労力は膨大にかかるが、その地道さは信頼できる。第300位からランキング形式で、築年数とアパート名を発表していき、そのなかの物件をいくつか見に行くという流れだ。 他にも焼き鳥のタレやおでんのダシ継ぎ足しランキングといったばかばかしいことを手間暇惜しまず調査していた。 この2本、ぜひレギュラー化して欲しい。