Author: d3001

《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”

27 October 2025

財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト) 写真一覧 始動したばかりの政権が、いきなり永田町・霞が関を揺るがす全面戦争の口火を切った。積極財政を掲げる高市早苗・首相は最大の障壁となる財務省を中心とした“増税マフィア”に閣僚人事などで正面から戦いを挑んだ。財務省サイドも水面下で反撃の準備を着々と進めている。政権発足早々事態は風雲急を告げている。【全4回の第1回】 高市首相が放った財務省への「三本の矢」 高市首相は就任早々、財務省に真っ向から“宣戦布告”を突きつけた。 新内閣の組閣にあたって全閣僚に「責任ある積極財政」の指示書を出したのをはじめ、総理首席秘書官には元経産事務次官の大物官僚を起用、財務省から派遣される秘書官は人選をやり直させた。首席秘書官に経産官僚を起用するのは財務省を警戒していた故・安倍晋三元首相と同じ手法で、官邸人事で“財務省の言いなりにはならない”という姿勢を鮮明にしたのだ。 対する財務省はシンパの学者やエコノミストを通じて「積極財政は財政破綻を招く」と大メディアで高市批判キャンペーンを仕掛けている。 臨時国会は物価高対策の補正予算をめぐって「赤字国債の増発もやむを得ない」と主張する高市首相とそれを阻止したい財務省が全面衝突するのは間違いない。 高市首相は「喧嘩上等」の構えだ。財務省へ「三本の矢」を放った。 第一の矢は、“増税派の総本山”とされる自民党税制調査会(以下、党税調)の切り崩しだ。 高市氏は総裁に就任するや増税派の「ラスボス」の異名を取る宮沢洋一・党税調会長を交代。「財務省出身者で固められたもの」「スタイルをガラッと変えたい」として、党税調を仕切っている財務省シンパの議員からなる非公式幹部会、いわゆる税調インナーの解体を示唆した。 自民党内の増税派議員の力を弱体化させたうえで、積極財政派の議員でつくる「責任ある積極財政を推進する議員連盟」顧問の城内実氏を日本成長戦略担当相に起用、指示書にわざわざ「税制調査会の事務を担当させる」と明記したのだ。 「自民党の税調とは別に、政府にも総理直属の税制調査会があるが、党税調に権限を奪われて形骸化している。高市総理は政府税制調査会の主導、つまり官邸主導で税制を決めていく考えで、積極財政派の城内大臣に担当させた」(積極財政派議員) 増税派の「ラスボス」の異名を取る宮沢洋一氏 写真一覧 第二の矢は、財務省への“刺客”として財務官僚出身の積極財政派、片山さつき氏を財務大臣として送り込んだことだ。 財務省を長く取材してきた元東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が語る。 「片山氏は財務官僚時代に主計官として予算編成を担当し、数字に滅法強い。予算も財政も、財務省の手口も知り尽くしている。しかも、1982年入省の片山氏は財務省の新川浩嗣・事務次官(1987年入省)や宇波弘貴・主計局長(1989年入省)より先輩だから、宇波主計局長らが『予算のご説明を』などと言いくるめようとやってきても、『宇波くん、何言ってんのよ』とはねのけたり、逆に『勉強不足よ』くらいのことを言って追い返すこともできる立場です。片山氏が高市財政の推進役となれば、現役の財務官僚では太刀打ちできない」 財務省には手強い“刺客”である。 第三の矢が「政府効率化局」の設立だ。 自民党と日本維新の会の連立合意文書には次の一文が盛り込まれている。 〈租税特別措置および高額補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止する。そのための事務を行う主体として政府効率化局(仮称)を設置する〉 米国ではトランプ大統領が政府効率化省(DOGE)を設立し、イーロン・マスク氏をトップに据えて各省庁の予算を大幅に削減、公務員の大量首切りを行なったことはよく知られている。その日本版をつくり、租税特別措置(租特)、つまり各業界への税制優遇や無駄な補助金に大鉈を振るおうというのだ。 「租特は企業が研究開発や設備投資をすれば税金をまけてやるといった制度で、各業界に細かな税制優遇措置が決められている。いわば財務省が大企業に与えるアメです。この特典で財務省は大企業、財界を味方につけてきた。租特に切り込めば、財務省には大ダメージになる」(長谷川氏) (第2回に続く) ※週刊ポスト2025年11月7・14日号

「STARTO社」グループ復活で「紅白」の出場基準は変わる? 番組テーマ「つなぐ、つながる、大みそか」の影響で出場に黄信号の歌手も

27 October 2025

「つなぐ、つながる、大みそか」  大みそかに放送する「」の司会が6年ぶりとなる綾瀬はるか(40)、3年連続の有吉弘行(51)、今年の連続小説朝ドラ「あんぱん」でヒロインを演じた初司会となる(28)、同局の鈴木奈穂子アナウンサー(43)の4人に決定したことに加え、番組テーマが「つなぐ、つながる、大みそか」に決定したことが発表された。  司会者が決まった後にやってくるのは、恒例の出場歌手予想である。すでに複数のスポーツ紙が、旧ジャニーズ事務所の性加害問題で一昨年と昨年は出場しなかった(以下STARTO社)所属アーティストが、3年ぶりに出場する方向で調整していると報じている。また、人気アニメ「ラブライブ!」シリーズ発の女性声優3人組ユニット「AiScReam(アイスクリーム)」の初出場が内定したことも一部スポーツ紙が報じた。 司会者の次に気になるのは出場歌手(番組HPより) 「NHKの山名啓雄メディア総局長は今月16日の定例会見で、STARTO社アーティストの紅白出場について言及しています。紅白出場歌手の選考基準を『今年の活躍』『世論の支持』『番組の企画テーマに合うか』の3つとし、『その基準に合えば、というところも含めて検討している』と含みを持たせていましたが、すでに音楽番組でSTARTO社の所属タレントの起用を再開しており、紅白復帰は自然な流れとみられていました」(音楽業界関係者)  各紙の記事によると、STARTO社の出場グループは若手グループを中心とした2、3組になりそうだというが、出場すれば“ラスト紅白”となるあのグループは、別枠になりそうだという。 「来春のコンサートツアー終了後に活動終了を発表している嵐は特別枠だそうです。そうなると、今の人気ぶりからして、、グループ改名後の新メンバーオーディションが話題で人気急上昇のtimeleszの3組になりそうですが、は年末と年始にドームツアーの公演を控えているので、大みそかは昨年同様、生配信を行うのではないでしょうか。そうなると、とtimeleszの2組が白組として出場する可能性が高いと思います」(同前)  昨年の紅白第2部(午後9時から2時間45分)の関東地区の平均世帯視聴率は、前年比0.8ポイント増の32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)で、2部制となった1989年以降、過去2番目の低さだった。午後7時20分からの第1部は前年と同じ29.0%だったが、STARTO社勢の紅白復帰による上積みが期待できそうだという。 「特に嵐は09年の紅白初出場から、活動休止前最後の出場となった20年までの間、10年、16年、20年の3回、歌手別視聴率トップを獲得。ほかの年でも、いずれも歌手別トップ10入りするほど数字を持っています。ほかのグループも今年の勢いや人気ぶりからして、高い視聴率をたたき出すはず。やはり、紅白にSTARTO勢の力は欠かすことはできないのです」(スポーツ紙記者)  また、AiScReamは、1月発売のデビュー曲「愛スクリ~ム!」が若者の間で流行し、先月時点で関連動画のYouTube総再生回数は175億回超。曲自体も人気となり、(定額聴き放題)の再生数は、ヒットの基準とされる1億回を突破する活躍ぶりだ。  つまりSTARTO社の各グループもAiScReamも、山名メディア総局長が定例会見で選考基準としてあげた「今年の活躍」と「世論の支持」はしっかりとクリアしていることになる。 選考基準はどこにあるのか? 「ここ数年の出場歌手選定に際し、具体的にどのあたりを選考基準にしているかというと、まずはハッキリと数字の出ているCD・配信の“売り上げデータ”です。また、SNS全盛のなか、歌詞やダンスが流行るなど“社会現象になったか”どうかも、YouTubeや各SNSの再生回数などでハッキリ表れています。特に配信やSNSを参考にするようになったのはここ数年のことです。以前はとにかく『NHKへの貢献度』とCDの売り上げが重視されていました。また、『今年も紅白で見たい歌手』のアンケートもしています」(長年紅白に関わっていた元NHK職員)  特定の芸能事務所との癒着も報じられた、紅白に関わったチーフプロデューサーによる巨額の制作費着服事件が発覚したのは2004年のこと。同年の「第55回NHK紅白歌合戦」では、出場者選考の透明性が求められたため、紅白に出て欲しい歌手のアンケート結果を公表した。  その結果、紅白両軍で公表された上位15位までのうち、紅組では2位の宇多田ヒカル(42)、3位の柴咲コウ(44)12位の松田聖子(63)、白組は2位のSMAP、6位のサザンオールスターズ、12位のMr.Childrenの6組が最終的に出場しなかった。 「毎年、結果を公表すればいいと思う人が多いかもしれませんが、実はそれにはデメリットもあるのです。04年で言えば、2位のSMAPは表向きには『この年はヒット曲がなかった』という理由で辞退しましたが、氷川きよし(48)が1位で、SMAPが2位という結果に納得できず。1位だったら普通に出場していたでしょう。アンケート結果を迂闊に公表すると、SMAPのような歌手がいないとも限らないのです」(同前)  そして、何よりも一番肝心なのが、今年のテーマに沿った楽曲かどうかだという。今年のテーマは「つなぐ、つながる、大みそか」。  NHKはテーマ発表時、その理由を《これからの100年も素敵な音楽が私たちをつないでくれますように…そんな願いが込められている》《紅白歌合戦は時代、世代、性別、言葉、人種の壁を超えつなぐ、つながる番組でありたい》としていた。  この掲げたテーマに沿うと、「後世に歌い継ぐ」、「ボーダレス」、「SNSから世界につながる」などの思いが込められている曲が歌唱曲となりそうだ。 「実は、このテーマが厄介。多くの視聴者は、出場歌手がその年に出したヒット曲を歌うと思っていますが、そうではないのです。テーマに沿っていなければ、その年のヒット曲ではなく、過去のヒット曲歌唱もありなのです。同じヒット曲を何度も歌っている歌手が多いのもそのためです。その反面、ヒット曲が歌えないため、紅白から遠ざかってしまった歌手も少なからずいます」(同前) 演歌は厳しい……  昨年まで10年連続で出場を果たしている演歌歌手の三山ひろし(45)は毎年、特技のけん玉を生かし、連続でけん玉の技「大皿」を成功させるギネス記録の更新に挑戦し続けており、もはや、歌唱よりも記録更新に注目が集まっている。 「あの企画はどのテーマでも合うので、特に問題になりません。18年と20年には歌手別視聴率でトップ10入りするほど注目度がありましたが、そろそろ視聴者に飽きられているかもしれません」(同)  さらに、三山も含む演歌歌手勢にピンチが訪れているようだ。 「昨年の演歌勢は三山、常連石川さゆり(67)と坂本冬美(58)、初出場の新浜レオン(29)ら史上最少の6組にとどまりました。今年は特に紅組に有望な歌手が多いので、天童よしみ(71)、山内惠介(42)は落選して4組なるのではとみられています」(先の記者)  選考基準やテーマも大事だが、演歌を心地よく聞きたい中高年が、1年の最後に安心して視聴できる番組ではなくなりつつあるようだ。 デイリー新潮編集部