【スキージャンプ】伊藤有希が全日本選手権ノーマルヒル3連覇「かみ合ってきてくれた」師匠の53歳・葛西紀明は16位「“ここからどうやって上がっていけるかな”っていう期待感と“すごく楽しみだな”」

 11月9日、宮の森ジャンプ競技場(北海道札幌市)で行われた第104回全日本スキー選手権ノーマルヒル。女子は北海道下川町出身の伊藤有希選手(31=土屋ホーム)が優勝し、今大会3連覇を果たしました。

 助走路が氷で作られている冬仕様のアイストラックで行われた今大会で伊藤選手は1回目、「高いゲートから風ももらってラッキーだった」とヒルサイズ(=100メートル)に迫る99.0メートルのビッグジャンプでトップに立ちます。勝負の2回目も「緊張して(踏み切りの)タイミングが遅れてしまった」と言うもののK点(=90メートル)を越える91.5メートルをマークし、1回目のリードを守り切り優勝を飾りました。11月21日から開幕するW杯前最後の国内大会で表彰台のてっぺんに立ち、“日本女子現役最年長ジャンパー”が2026年2月開催のミラノ・コルティナ五輪に向けて弾みをつけました。

 一方、伊藤選手の師匠・北海道下川町出身の“レジェンド”葛西紀明選手(53=土屋ホーム)は1回目、「かなりの追い風、風がやみそうで出た感じ」と悪条件にも見舞われ、84.0メートルと飛距離を伸ばせず16位タイと出遅れます。2回目も87.0メートルとK点には届かず、16位に終わりました。

 男子は金メダリスト・小林陵侑選手(29=TEAM ROY)の兄・岩手県出身の小林潤志郎選手(34=Wynn.)がヒルサイズの100.0メートル、99.0メートルとビッグジャンプを2本揃え、6大会ぶり3度目の優勝を飾りました。

 ◆試合後 伊藤有希選手コメント
「先週の試合、その前の週にあったサマーGPの試合からアイストラック(冬仕様の助走路)になってより冬に近い感覚で飛ぶことができているんですけど、夏から冬への移行という部分を重点的に行ってきてそれが少しかみ合ってきてくれた。最後の最後で(冬)シーズン前はラストチャンスでしたけれども少し(上昇する)“兆し”が見えて良かった。W杯の先に(五輪は)見えてくるものだと思うので、まずはW杯の開幕戦に向かって調整していきますし、W杯の1試合1試合の積み重ねが(五輪に)つながってくれると信じて飛びたい。」

 Q.地元・北海道のファンに向けて
「育てていただいて、いつも応援してくださっている北海道の皆さんに少しでも私の気持ちが伝わるようなジャンプを見ていただきたいので、そのために私も全力で努力をしたい。」

 ◆試合後 葛西紀明選手コメント
「やっぱりラージヒルですね。ノーマルヒルはダメだわ(笑)。ノーマルヒルは弱い(笑)。全然ダメだ(笑)。今日見た感じでは若干“ひざを押すような感じのテイクオフ”だったので、それをなくさないと同じことの繰り返しになっちゃうので。こういうスピードの出ない台だとそういう動きになっちゃうんですかね。どうしても。飛びにいこうとして。」

 Q.いよいよ本格的にミラノ・コルティナ五輪シーズンが始まる
「楽しみですかね。そんなに調子は悪くないですし、“ここからどうやって上がっていけるかな”っていう期待感と“すごく楽しみだな”っていうのはあります。」

 ◆第104回全日本スキー選手権ノーマルヒル結果
 【男子】
優勝 小林潤志郎(Wynn.) 266.3(100.0m 99.0m)
2位 小林朔太郎(雪印メグミルクスキー部)263.4(97.0m 98.0m)
3位 内藤智文(山形市役所)253.1(95.0m 94.5m)
4位 佐藤慧一(雪印メグミルクスキー部)243.7(96.0m 92.0m)
5位 佐藤幸椰(雪印メグミルクスキー部)239.8(91.0m 93.5m)

【女子】
優勝 伊藤有希(土屋ホームスキー部)246.0(99.0m 91.5m)
2位 丸山希(北野建設SC)238.0(96.5m 89.5m)
3位 高梨沙羅(クラレ)227.6 (83.5m 94.5m)
4位 勢藤優花(オカモトグループ)221.7(91.0m 88.5m)
5位 一戸くる実(雪印メグミルクスキー部)207.5(84.5m 86.0m)