
兵庫県知事選挙でのSNSの運用を巡り、斎藤知事とPR会社の代表が去年、公職選挙法違反の疑いで刑事告発されましたが、神戸地検は12日、不起訴処分としました。
選挙でのSNS戦略をめぐる疑惑でしたが、この1年間でどのような経過を経たのでしょうか。
■PR会社が「主体的」にPR活動を行ったか否か 斎藤知事は真っ向から否定
去年11月の兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦知事。圧倒的な得票数での当選に寄与したとみられるのがSNSの影響力。これが火種となりました。
【PR会社の社長】「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、(中略)ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」
斎藤知事から広報を任されたという趣旨のコラムを記したのは、兵庫県西宮市にあるPR会社・メルチュの社長。
選挙カーからの配信に関わっていたことも明かしています。
もし、PR会社が「主体的」にSNSを手掛け、報酬が払われていれば違法となる恐れもありますが、斎藤知事はこれを真っ向から否定。
斎藤知事の陣営からPR会社に71万5000円が支払われたことが明らかになりましたが、斎藤知事の代理人弁護士は「あくまでポスター制作等、法で認められたものであり、相当な対価をお支払いしております」とコメントしていました。
■「主体的にPR活動を行ったことは明らか」神戸学院大・上脇教授らが斎藤知らを刑事告発
こうした問題を受けて、これまで自民党の裏金問題などを追求してきた神戸学院大学の上脇博之教授と郷原信郎弁護士が去年12月、2人を刑事告発しました。
【神戸学院大学・上脇博之教授】「女性社長のnote(コラム)を拝見して、これはどう考えても選挙に主体的に、かつ、裁量のある戦略的なPR活動を行ったことは明らか。買収・被買収が成立する」
これに対し、告発された斎藤知事はー。
【兵庫県・斎藤元彦知事】「詳細は承知していません。いずれにしてもその件は公職選挙法に違反しないと認識している。代理人弁護士に対応をお願いしている」
一貫して、「公選法には抵触しない」と主張。
「メルチュ」の見解を聞くため、関西テレビは何度も取材を申し込みましたが、回答を得ることはできませんでした。
■「選挙運動の対価として認められない」と不起訴処分に
刑事告発を受けて、兵庫県警はことし6月、2人を公職選挙法違反の疑いで書類送検。
この他にも、おととしの阪神・オリックスの優勝パレードを巡る背任の疑いなどでも、告訴・告発が行われました。
当事者が口を閉ざす中、神戸地方検察庁が起訴するか否かが注目されていました。
そして、12日。神戸地検は、斎藤知事と「メルチュ」の代表を不起訴処分としたことを明らかにしました。
不起訴処分の理由については、「選挙運動の対価としては認められなかった」などとしています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年11月12日放送)