肝心の物価高対策は打ち出せず、 足元もグラグラ…高市早苗政権「支持率バブル」は年明けに弾けるのか

予算委員会で片山さつき財務相(66)と頻繁に話し込んでいた高市氏。疲労からか、会議中に10秒ほど目を瞑る場面が何度も見られた

手のひら返しに大荒れ

歴史的な船出となった。

JNNが11月初旬に行った世論調査で高市早苗(64)内閣の支持率が驚異の82%を記録。これは小泉純一郎内閣に次ぐ、21世紀に入って2番目に高い数字だ。

「初の女性首相というフレッシュさ、ハッキリとした物言いが明瞭さを欠いた石破茂前首相(68)と対比されてウケています。赤字国債を発行してでも公共投資を増やし、市中のカネの流れを活性化させるという積極的な財政出動の姿勢も、株式相場に期待感を抱かせている。日経平均はバブル期の最高値である3万8915円を大幅に超える5万円前後で推移しており、景気回復へ国民の期待も高まっています」(全国紙政治部記者)

まさに前途洋々。このまま順調な航海を続ける……かと思われたが、初の国会で高市氏はさっそく嵐に見舞われた。物価高対策について、11月7日の予算委員会で野党から集中砲火を浴びたのだ。なかでも「2年間の飲食料品の消費税0%」の法制化について、高市氏が慎重な姿勢を見せたことに波紋が広がった。石破前首相に対して高市氏自身が「国の品格として食料品の消費税率は0%にすべき」と強く批判していただけに、突然の手のひら返しで質疑は大荒れとなった。

「答弁で総理は『レジ』と5回も連呼、レジの税率変更に1年かかると主張しました。これは石破さんと全く同じ答弁で、先延ばしの際の″常套句″です。
そもそも食料品の消費税減税は石破政権時代から公明党対策として検討されていたもの。連立が解消した以上、高市さんとしては裏切り者の公明党より財務省と関係の深い麻生さん(太郎副総裁・85)を敵に回すほうが怖い。顔色を窺(うかが)う相手に合わせて、狡猾にスタンスを変えたのです。話題になった″午前3時出勤″もこの日です。閣僚や官邸スタッフを準備に付き合わせておきながら、委員会では決まり文句で逃げたのでは周囲もうかばれないでしょう」(野党ベテラン秘書)

物価高の原因となっている円安にも歯止めがかからない。総裁選前は1ドル147円台だったが、11月12日現在では154円台に。約3週間で7円も円安が進行した。

「日銀は円安を是正するために利上げしたがっているのに政府が容認しない。利上げは好調な株価に水を差しかねないからです。しかも、円安対策をしないまま、トランプ大統領(79)の圧力に屈して防衛費を対GDP比2%まで引き上げることを約束してしまった。今後はアメリカから大量に兵器を購入することになります。
総理は野党の提案であるガソリン・軽油の暫定税率廃止に合意し、維新が主張する高校無償化も受け入れるが、財源はどうするのか……。無策のままバラマキを続ければ、’22年に減税政策を強行してポンドの暴落を招き、わずか49日で辞任に追い込まれたイギリスのリズ・トラス元首相の二の舞になりかねません」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

「解散」を求める怪文書が……

円安を放置すれば物価高は止まらず、高支持率という大きな追い風がそのまま強烈な逆風へ変わることは明らか。

そして″支持率バブル″の崩壊にいち早く備えているのが、首相を支えるべき自民党の議員たちである。予算委員会前日の11月6日、『年末年始の解散/総選挙及び予算案成立及び衆議院定数削減事例』と題された怪文書が永田町に出回った。そこには年末から年始にかけて、解散総選挙に打って出た過去の成功例が3つほど記されていた。

自民党中堅議員が囁く。

「船出して早々にボロが出始めていることを考えれば、来年1月の通常国会はさらなる荒波にもまれることになるでしょう。今が支持率のピークであることは明白。″高市フィーバー″が終わる前に、来年早々、解散総選挙に踏み切って議席数を回復すべきだと考える議員は少なくない。怪文書はそのための説得材料だと思います。ですが、高市さんが聞く耳を持たない。まだ何も成し遂げていないのに支持が集まっているのは、実力ではなく期待感によるものだと気づいてほしい」

足元の自民党からの支持もグラつき始めた高市政権。座礁を避けるには船頭がリーダーシップを発揮して、早々に結果を出すしかない。

『FRIDAY』2025年11月28日・12月5日合併号より