【判決】「未熟さにつけ込んだ悪質な犯行」〝4000円援交〟の元官邸事務官に問われた〝大人の責任〟

女子中学生2人に〝援交〟をして、不同意性交等と児童ポルノ禁止法違反の罪に問われていた小泉被告に判決が言い渡された(’24年12月撮影)

女子中学生に4000円を渡し〝援交〟

「Bちゃんからそういう行為(性的な行為)をされてみたいという要望もあり、どうしようかな、これは犯罪だなと思ったのですが、Bちゃんが望むままにやっちまったっていうことが一番の原因でもあります」

’24年5月17日に、2人の中学生、Aさん(当時12歳)とBさん(当時13歳)に現金4000円などを渡して自動車内で性的暴行を加えたとして、不同意性交等と児童ポルノ禁止法違反の罪に問われていた、元首相官邸職員・小泉幸博被告(41)に判決が下された。

10月29日、横浜地裁で開かれた判決公判で、佐藤卓生裁判長は「不同意性交等ではなく、不同意わいせつ罪が成立する」として、「懲役4年6ヵ月(求刑7年)」を言い渡したのだ。

小泉被告は、問題とされている5月17日にAさんと性交したことは認めていた。だが、Bさんに対しては、体を触るなどのわいせつな行為に及んだことは認めつつも、性的暴行に当たる行為はなかったと一貫して否認。それに対してBさんは性的暴行を加えられたと主張した。判決ではこの点では小泉被告の言い分を認めたことになる。

佐藤裁判長は、不同意性交等ではなく、不同意わいせつが成立した理由について、Bさんの供述が捜査段階から性的暴行を加えられた時期があいまいであることを指摘した。

「被告人とBとのやり取りは少なくとも’24年4月ごろから続いており、被害者Bが被告人から複数回、性的な行為をされるなかで、本件と他の機会の行為を混同するなど、記憶違いを起こしている可能性もあるといえる」

5月17日の不同意性交等が成立しなかったとはいえ、小泉被告も別の日にはBさんに性的暴行を加えたと認めている。

あくまで女子中学生の要望に応えたと主張

判決を言い渡した後、佐藤裁判長は、量刑の理由について次のように述べた。

「被告人は、いわゆるパパ活目的で知り合ったAとBに対し、性交やわいせつな行為を行い、その際に動画を撮影している。被害者らのほうから被告人に対して、金銭などを要求し、わいせつな行為を許容するような言動を取っていたという面があったとはいえ、被告人の行為は被害者らの性的行為に対する判断能力の未熟さにつけ込んだ悪質な犯行といえる」

その上で、Aさんの保護者と示談が成立し、「決して許したわけではないが、刑事罰を望まない」と保護者が述べたことなどを考慮して、情状酌量したという。

最終陳述では冒頭のように「Bちゃんが望むままにやっちまったことが一番の原因」と述べ、自分から誘ったのではなく、あくまでも女子中学生からの要望に応えただけだと主張した小泉被告。

また、公判のなかでは、女子中学生から「『エッチなことをされてみたい』と言われて、こんな年の子もそういうことに興味があるんだと思って、要望に応じた」という発言もあり、「小児性愛者ではない」と断言。「Bさんとは、毎回性的な行為をしていたのではなく、車のなかでお菓子を食べながら話をするだけで別れたこともある」とも述べていた。

だが、40歳の男性が女子中学生と頻繁に連絡を取り合い、性的な対象として見ることができるというのは、やはり、どこか認知の歪みがあるのではないだろうか。

小泉被告は今後、控訴しなければ、刑務所に服役することとなる。刑務所でも、「あの子たちの誘いに乗っただけなのに」と考えながら、生活を送るのだろうか。

’24年12月送検時の小泉被告。報道陣のカメラに一瞬鋭い視線を向けたが、すぐに下を向いてしまった