立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員が、事務所に届く大量の迷惑メールについてX(旧ツイッター)で連続して投稿した。内容は高市早苗首相や安倍昭恵さんへの誹謗中傷をやめるよう求める大量の「迷惑メール」が届き議員活動が脅かされているという。警察への相談に至る過程を詳述する。
杉尾氏は7日午前11時にXを更新。警視庁麹町警察署の写真を2枚添付した上で、異常事態を次のように報告した。
立憲・田島麻衣子議員も同様の被害を訴える
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迷惑メールの件で警察に相談に行きました。詳細は申し上げられませんが、前向きに対応して頂き心より感謝いたします。一方、事務所への迷惑メールが続いており、参議院の担当者にも状況を伝えました。予算委質問も控えているので事務所スタッフに多大な負担をかけて申し訳ない思い。
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まさに今国会は、高市首相へ各党の代表質問から、衆院、参院の予算委員会へと本格論戦が始まったばかり。そうした中での、「メール攻撃」とは尋常ではない。
杉尾氏は、この投稿に続いて、「同僚の田島まいこ議員も迷惑メールの被害に遭っています。手口や内容は全く一緒。田島さんの投稿をリポストします」として、立憲民主党の参議院議員、田島麻衣子氏の6日のX投稿をシェアした。内容は次の通り。
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11月1日に1838件の問い合わせメールが事務所にきました。名前が異なるだけで、発信元や内容は全て同じ。発信元に問い合わせると、計1.8万件の同様のメールが、議員・新聞記者・その他団体に一斉送信されたそうだ。
これらは刑法上の罪に該当しうる業務妨害行為。他にも多くの人々が、同じ妨害行為を受けているはずです。
法治国家の日本では、私刑はいかなる理由があっても認められるものではありません。
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いったい何がおきているのか。
大量メールで議員活動に支障 杉尾議員が警察に相談へ
杉尾氏は、11月4日のX投稿で異変を訴え始めていた。
「土曜日未明から午後にかけてご覧のようなメールが実に1530通も私の事務所のアドレスに届いていました。差出人や電話番号は違っていますが、内容は「高市早苗さんや安倍昭恵さんを誹謗中傷するのはやめていただけないか」と言うもので全く同一です」として、メールの画像を添付している。
続けて、「調べてみると某法律事務所のネット相談フォームに私の事務所のアドレスで大量にメールが送られ(法律事務所の話では同様のメールが1.8万件あったそうです)、そのうちの1500通余が自動的に返信されてきたということのよう。」と説明。これを極めて重大な業務妨害と位置づけ、法的措置を検討する意向を示した。
加えて、「本件については党としても対応するよう担当者と情報共有しました。今後、発信者の情報開示請求も含めて対応を検討してもらいます。」としている。
翌5日のX投稿では、事務所に届いた大量メールについて、「同僚の田島まいこ議員の所にも同様のメール1800通余が送られていた事が分かりました」と報告。自動送信ではなく手動によるものらしく、「膨大な数と頻度を考えると組織的犯行ではないか」として、議員総会で同僚に注意喚起し、党として対処する旨を伝えた。
さらに6日には、新たなパターンのメールが到着していたことを現物をシェアする形で告発。「今度は橋下徹さんのオフィシャルサイトを通じて送られ、文面も維新の会への誹謗中傷をやめるよう求める内容となっています。また前回同様、同僚の田島まいこ議員の事務所にも送りつけられています。」と報告した。
大量メールの嫌がらせが止まらず、同日夜には「今度は直接、事務所のアドレスにメールが送り付けられるようになり、明らかに業務に支障をきたす状況。疑う余地のない業務妨害ですので、弁護士のアドバイスに従って明日、警察に相談します。卑劣な行為には断固として闘います。」と宣言していた。
杉尾氏、田島氏、両議員の被害が連動している点が特徴のようだ。
議員事務所へのサイバー的な嫌がらせなのだろうか。公人に対する業務妨害の可能性もある。
政治的緊張と連動? 高市政権以降のSNS上の対立激化
高市政権の誕生以来、政権への世論調査の支持率の高さもあって、政治への関心はSNS上でも高まっている。その一方で、政治家への批判がエスカレートし、業務を阻害するレベルに達した事例として、杉尾氏の一連の投稿は、文脈的にネットハラスメントの深刻さを示唆している。
ネットユーザーの反応はどうか。
「恐ろしいです。アンチが凶暴化していますね。」という、嫌がらせの深刻さを危惧する反応や、「威力業務妨害として警察に協力してもらいプロバイダなどに情報提供してもらうべきかもしれませんね。」と、法的対応を勧めるコメントがある一方で、杉尾氏のコメント欄では「警察への感謝と同時に、なぜ迷惑メールが大量に届いたのかを考える必要があると思います」など辛辣な書き込みもあった。
杉尾氏自身、コメント欄のリプライについても触れ、「余りに酷くて読むに堪えないものが多い。もっとも嫌がらせする側はそれが目的でしょうから」とも答えている。
■杉尾秀哉(すぎお・ひでや) 参議院議員(2期)。1957年9月30日生まれ。福岡県北九州市出身。東大文学部卒。1981東京放送(TBS)入社。1993年「ニュースの森」キャスター就任。外信部ワシントン支局長、社会部長などの役職をはさみ「朝ズバ」「ひるおび」「Nスタ」など。報道局解説専門記者室長として多数出演。2015年TBSテレビを退社。2016年参院選で初当選。
