『DOWNTOWN+』の生配信でついに復活
【「残念プロフェッショナル」の流儀】
2024年1月から芸能活動を休止していたお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志(62歳)が、約1年10カ月ぶりに活動再開。11月1日の夜に吉本興業が提供する有料配信サービス『DOWNTOWN+』で生配信を行いました。
そんな“笑いの神”松本人志の復活を、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地さんはどう見たのでしょうか。
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松本人志(ダウンダウン/芸人、62歳)
生配信とコンテンツを観た感想は…?
40代中盤の筆者は、ダウンタウン・松本人志様が芸能界のゲームチェンジを行っていった様子をまざまざと見せつけられた直撃世代。
「松本人志信者」というほど熱狂的ではないものの、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)のフリートークで何度も何度も笑い転げ、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)のコントは斬新すぎて大きな衝撃を受けました。
松本様が監督した映画『大日本人』(2007年)や映画『しんぼる』(2009年)を、あの天才がどんな奇想天外な物語を見せてくれるのかと、ワクワクしながら劇場で鑑賞した日のこともよく覚えています。
「週刊文春」によって、高級ホテル合コンで一般女性に性的行為を強要したとする疑惑が報じられた後、松本様は芸能活動休止に入ったわけですが、こんなにもあっさりとテレビから「松本人志」が完全に消え去るとは想像できませんでした。
筆者は当然、月額1100円を課金して『DOWNTOWN+』初日の生配信をリアルタイム鑑賞。また、配信開始された松本様によるオリジナルコンテンツ4作品も視聴しています。
生配信のトークはブランクを感じさせず多くの笑いを取っていましたし、オリジナルコンテンツも従来の大喜利やエピソードトークのフォーマットをアレンジさせているのはさすがの一言。やはり松本人志様は笑いの天才なのだと思い知らされました。
松本は“なんでも笑いに変えるプロ”
そんななか、筆者が特に注目したのは、復活の場である生配信での第一声となった「松本、動きました」。
率直に言いますと、この発言はダサかった。ダサかったから、おもしろかった。この一言で、松本様は“なんでも笑いに変えるプロフェッショナル”なのだと感じたのです。
そもそもこの発言は、2019年に吉本興業で起こった闇営業問題の際、松本様がTwitter(現X)で《後輩芸人達は不安よな。 松本 動きます。》と投稿した名言のセルフパロディ。
とはいえ2019年の「松本、動きます」はめちゃくちゃかっこよくてシビれましたが、忌憚なく言うならここに“笑い”はありませんでした。
しかし、今回の「松本、動きました」はかっこ悪くておもしろい。
松本様は「松本、動きました」に続けて、「日本の“お笑い”がしんどいと聞きまして、私、復活することにしました」と語っており、窮している“お笑い”を救うために再び立ち上がったという大義名分を掲げていました。……が、それは半分本音なのでしょうが、もう半分の本音は“まだまだ活躍したい”という利己的な理由で復活したことは明らか。
2019年の「松本、動きます」は後輩芸人たちのための宣言だったので、非常にかっこよかったのですが、そこにおもしろさはありませんでした。
対して2025年の「松本、動きました」は、半分は自己顕示欲を満たすためなのは明白なので、それがダサくて非常にかっこわるく、そのぶん、めっちゃおもしろいというわけです。
正直、ダサいところは見たくなかった
思い返せば、「週刊文春」に疑惑を報じられて以降の松本様の“動き”は、ダサおもしろいことばかりでした。
活動休止に入る直前の2024年1月、松本様はTwitterに《事実無根なので闘いまーす。 それも含めワイドナショー出まーす。》と投稿。松本様は自らの名誉を守るために動こうとしたわけですが、出演はできませんでした。『ワイドナショー』を放送するフジテレビと吉本興業側による協議のうえ、出演見送りという判断をされ、赤っ恥を掻いています。
また、松本様は名誉を傷つけられたとして、「週刊文春」発行元の文藝春秋を相手に、損害賠償および訂正記事掲載を求めて訴訟を起こしていました。ただ、2024年11月に訴訟取り下げをしています。自分の名誉のために動いたものの、その動きを自らストップさせたという迷走ムーブをかましたわけです。
「松本、動きました」も、《ワイドナショー出まーす》も、訴訟取り下げも、スキャンダルの生々しいエンタメとしては興味深くおもしろいものでした。
けれど、一人の“松本人志ファン”として言わせてください。
松本様のダサいところは見たくなかった。
大笑いさせてくるのを、心待ちにしています
一連の松本様のムーブはダサくておもしろかったのですが、そんな“お笑い”は、少なくても筆者は求めていませんでした。
また斬新なセンスで生み出されたコンテンツやトークで大笑いさせてくれるのを、心待ちにしています。
(堺屋大地/コラムニスト・ライター・カウンセラー)